[鳴尾記念]ボッケリーニ、ソーヴァリアント、カラテ…。ハイレベルな一戦を制して飛躍する馬はどの馬か。 - 重賞プレビュー

注目度はG2級!?
実力馬が集まるG3・鳴尾記念

今週から6月の開催。
関西圏では阪神開催が行われます。
開幕週の3日土曜阪神メインは鳴尾記念が行われます。

G3の重賞ながら別定戦という事で、実力あるメンバーが出走しやすい条件ですし、3週後の宝塚記念を見据えた馬も出走するレースです。2013年の3着馬だったダノンバラードは続く宝塚記念で2着、15年の勝ち馬ラブリーデイは続く宝塚記念も勝利、21年のユニコーンライオンは続く宝塚記念でも逃げて2着と健闘しました。

G3の2000Mの重賞でありながら、G1に向けて無視できない前哨戦というのが鳴尾記念の立ち位置です。
G3の重賞とは思えないほど、注目度の高いレースと言っていいでしょう。

今年は重賞勝ち馬10頭が出走と、ハイレベルのG3戦!
ここから宝塚記念への伏兵が現れるか?

今年の出走メンバーを見渡すとG3戦としてはかなりハイレベルと言えます。
登録数16頭に対し、重賞勝ち馬が10頭。別定戦なので、ハンデ重賞のように想定以上に重い斤量を背負わされることがないのもあって、G2戦と言っても良いほどのレベルになっています。

ここで良い勝ち方をすれば宝塚記念でも好勝負が期待できる、伏兵的な存在になってもおかしくありません。
また、このレースを基準に宝塚記念を考察することになると思われるので、その点でも注目です。

開幕週の阪神の馬場を考察する

レースで注目されるのが、馬場状態でしょう。
時期的に芝の生育が進む時期ですので例年速い時計が出る馬場でレースが行われるのですが、今年は早く梅雨入りしてしまったのもあって今週の週中から雨が降っていました。特に木曜から金曜には台風の影響もあってかなりの雨量。レースが行われる土曜は夜明け前に雨が止む予報となっていますが、さすがに馬場にはたっぷりと水分を含んだ状態でレースが行われるでしょう。はっきりと馬場状態を判断することはできませんが、重あるいは不良馬場での開催になるのではないでしょうか。ちなみに、鳴尾記念が6月に移った2012年以降では重、不良馬場でレースが行われたことはないので、過去の傾向はあまり参考にならないと見ています。先行が有利か差しが有利かは分かりませんが、重馬場適性が求められるのは間違いないのではないでしょう。

鳴尾記念 注目馬紹介

ボッケリーニ - 久々の2000M戦。目黒記念を回避した決断が吉と出るか?

このレースで注目を集めるのがボッケリーニ。
本来は先週の目黒記念に出走を予定していましたが、斤量が想定以上だったということで直前に回避。このレースに回ることになりました。

重賞2勝2着4回の実績は、ハイレベルなこのメンバーでも上位。
前走の日経賞でも勝ったタイトルホルダーに突き放されましたが、2着は確保と地力を示しました。

日経賞での不良馬場でも走れていたので雨はマイナスにはならないはずで、他馬が馬場に苦戦するなら相対的に浮上することになるでしょう。ただ、日経賞はかなりタフな馬場と展開でしたので疲労面が気になりますし、目黒記念を直線回避した影響も少し気になります。また、近走は2400M前後のレースを使ってきていて、2000Mのレースは21年の12月以来。久々のペースに対応できるか気になりますし、目黒記念よりもメンバーレベルが上がっていることも気がかりです。それでもG2、G3レベルでは明らかに力上位。底力勝負で存在感を示せるでしょうか?

ソーヴァリアント - 阪神芝2000Mは絶好の舞台 相性のいいコースで力を見せつける

実力伯仲のメンバーで、水分を含んだ馬場状態も含めてどんなレースになるか分かりません。
そのため、コース実績は今回特に注目されることになるでしょう。

同コースの阪神芝2000Mのチャレンジカップを連覇しているソーヴァリアントは、ルメール騎手が騎乗することもあって上位人気になるでしょう。

中山記念では9着と結果を出せませんでした。
敗因は不明ですが肉体的に異常がなかったそうなので、結果を出している阪神芝2000M、ルメール騎手騎乗で改めて期待したいです。未勝利戦で不良馬場での勝利があるので渋った馬場でも大丈夫でしょう。能力通り走ればこのメンバーでも勝ち負けできる存在なのではないでしょうか。

カラテ - 右回りでも結果を出してG1へのきっかけを掴みたい

今回の鳴尾記念は重賞勝ち馬が多いので、その中で実力が目立ちにくく、盲点になっている馬も出てくるでしょう。ちょうど盲点になりそうなのが、カラテではないでしょうか。

昨年の新潟記念から中距離路線にシフトしましたが、4戦して重賞2勝、他の2レースはG1となればG3レベルでは力上位と言えます。特に圧巻だったのが前走の新潟大賞典で、59キロを背負いながら馬場の悪い内を通って3着以下を8馬身突き離しました。7歳になりましたが、ますます力をつけていて、今後はG1を戦うべき馬であることは確かです。今回は「右回りの2000M、阪神コースでどうか?」という面がありますが、57キロの斤量なら互角以上に戦えそうです。渋った馬場も前走でこなしていますので、馬場への対応も問題ないはず。

あとは阪神コースの経験が少ない菅原騎手が巧く立ち回れるか、というところでしょうか。
天皇賞秋、JCでは勝ち馬から0秒7差のカラテ。それを考えればこのメンバーなら思っていた以上の走りをしてくれるかもしれません。

フェーングロッテン - マイペースで進むなら強さを見せる1頭

今年の鳴尾記念は雨の影響が大きいと思われますが、そのなかで各馬がどんな立ち回りをするのかにも注目です。特に開幕初日の土曜は芝のレースでは様子見をする陣営も少なくないでしょう。

そんな展開で『逃げ』という自分のスタイルを持っているフェーングロッテンは安定感があるのではないでしょうか。菊花賞こそ大敗しましたが、重賞を5回使ってラジオNIKKEI賞勝ち、2着1回、3着2回というのは立派な成績です。特に前走の金鯱賞では逃げてしっかりと2着を確保しました。

今回も逃げると思われますが、他に絡んでいく先行馬が少ないのでマイペースで進められる可能性が高いと言えます。あとは渋った馬場がどうか、という点です。3歳春に大寒桜賞で不良馬場を経験していますが、勝ち馬から8馬身離れたので参考外でしょう。とにかく自分の形やリズムで走れるかどうか、という点が焦点になるでしょうか。今年に入って重賞で結果を出している4歳勢の一角がここでも結果を出せるのか注目です。

ヒンドゥタイムズ - 時計のかかる馬場でのスタミナ比べなら

レースの展開はフェーングロッテンが逃げて、ソーヴァリアント、マリアエレーナが続く形になる可能性が高いでしょう。一見スローペースで進みそうですが、週中の雨や台風の影響でかなり水分を含んだ馬場で行われることは間違いないですし、開幕週の馬場ではありますが、時計のかかる馬場で積極的に先行する馬が多くなればなるほどスタミナを問われるレースになるのではないでしょうか。

そんな展開で注目したいのがヒンドゥタイムズです。
2走前の小倉大賞典では開催終盤での重馬場ということもあってかなり時計のかかる馬場のなか、スタミナと底力を見せて勝ち切りました。同コースのチャレンジカップや大阪杯では結果が出せませんでしたが、速い流れで追走に手一杯でした。時計がかかる馬場なら能力的に戦えてもおかしくないでしょう。

早めに先頭に立つと物見をする癖があるようですが、今回は前に有力馬がいるはずですし、差してくる馬もいるので気を抜くこともないはずです。戦前では開幕週の馬場がどうか悩むファンも多いと思うので、盲点になる可能性が高い馬と言えるでしょう。また、水分を含んだ馬場の見切りと判断に優れた武豊騎手なのも心強い点と言えます。混戦であればあるほどレジェンドの立ち回りが光るのではないでしょうか。

スカーフェイス - 阪神コースはメンバー最多の4勝 コース替わりで一発を期待

このレースは重賞勝ち馬が多数いるので、上位は重賞勝ち馬が独占する可能性もありますが、好走の可能性があるとするなら阪神コースの実績が豊富な馬でしょう。メンバーで最多となる4勝を挙げているスカーフェイスに一発の可能性を期待します。

OP入りしてからは結果が出ていませんが、多くのレースに挑戦してきた疲労もあったのかもしれません。それでも転厩後の大阪城Sでは外から伸びての差し切りと、力のあるところを見せました。実は1800Mで結果を出した馬は鳴尾記念では相性がよく、15年2着のマジェスティハーツ、16年3着のプランスペスカ、18年の勝ち馬ストロングタイタン、3着馬トリコロールブルーは、いずれも前走・芝1800MのOPから参戦した馬です。開幕週の馬場をいかして前走よりも長い距離をもたせたという点が好走要因と考えられます。

スカーフェイスは1800Mの大阪城Sから1戦挟んでいますが、阪神コースは得意の舞台。今年は馬場とメンバーのレベルが高いことから合わないかもしれませんが、一発の可能性はあると言えるのではないでしょうか。


さらに、ここで取り挙げませんでしたが、他にも大阪杯5着のマリアエレーナなどがいるこのレース。レベルの高さは本当にG3とは思えないほどです。ダービーが終わって少しずつ夏競馬に移っていく時期ながらも、実力馬が揃った熱戦になるのは間違いありません。宝塚記念への前哨戦という意味でも、阪神開催の馬場を確かめるという意味でも必見のこのレース。この記事が皆さんの参考になれば幸いです。

写真:かぼす

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