「road to the future」未来へ続く道。
このコーナーでは、週末のレースを勝ち上がった一口馬主クラブの2歳馬たちを取り上げていきます。
ここから、クラシック戦線や世代の各路線、古馬になって活躍する名馬がきっと現れるはずです。
今週はどのような期待馬が勝利を収めたのでしょうか?
11月16日(土)
■東京11R GⅡ 東京スポーツ杯2歳S・芝1,800m・1:46.8
クロワデュノール - サンデーサラブレッドクラブ
牡馬(1番人気)
父:キタサンブラック
母:ライジングクロス(母父:Cape Cross)
厩舎:斉藤 崇史(栗東)
騎手:北村 友一
生産者:ノーザンファーム(安平町)
一口価格:1,250,000円(40口)
馬体重が発表されるとさすがに驚きました。前走からプラス24キロ。5か月空いているのですから成長分もあるかと思いますが、さすがに余裕残しに思えたためです。しかし、結果的にこの心配は杞憂に終わりました。
レースは逃げたサトノシャイニングが1000メートルを60秒9のペースで引っ張り、クロワデュノールは前から3、4頭目あたりを追走。ライバルと見られていたファイアンクランツはレース前からテンションが高く、レッドキングリーも若さを見せている状況でレースが進みます。
強かったのはラスト200mから。相手をサトノシャイニング一本に絞ると併せる形で競り合いますが、最後はグッと3/4馬身放してゴールしました。
デビュー戦では驚異的な2歳新馬戦レコードを披露し、今回も余裕残しの中でこのパフォーマンス。
堂々のクラシック候補の誕生と言って良いでしょう。
■東京3R 2歳未勝利・ダート1,600m・1:39.2
エンプレスフレーム - ターファイトクラブ
牝馬(1番人気)
父:カリフォルニアクローム
母:トロピカルガーデン(母父:ハイアーゲーム)
厩舎:上原 博之(美浦)
騎手:T.マーカンド
生産者:奥山ファーム(日高町)
一口価格:60,000円(200口)
デビュー2戦は芝のレースで結果を残せませんでしたが、ダートにかわり2戦連続で2着と好走。3度目の正直で勝ち上がりを果たしました。
スタート後、前の先団争いが激しくなりそうな際に、無理に付き合わずに外に進路を見出したT.マーカンド騎手の好騎乗が光りました。特にラスト400m辺りで追い出される際に見せた反応は素晴らしく、この馬の操縦性の高さが垣間見られました。最後、2着馬に迫られましたが、3着以下には5馬身差をつけていますし快勝といって良いでしょう。
母トロピカルガーデンは現役時代、芝・ダート問わず1,200m戦で3勝。半兄トロピカルヒーロー(父:ビッグアーサー)もスプリント型と、牝系を見ると短いところの方が向いているように思えます。
しかし、父が1,700m戦以上を得意にしていたカリフォルニアクロームということを考えますと、本馬エンプレスフレームは今日くらいのマイルまでは十分に上のクラスにいってもこなせるのではないでしょうか。
■東京5R メイクデビュー東京(牝馬限定)・芝1,600m・1:34.7
インプロペリア - サンデーサラブレッドクラブ
牝馬(1番人気)
父:ロードカナロア
母:パストフォリア(母父:シンボリクリスエス)
厩舎:森 一誠(美浦)
騎手:C.ルメール
生産者:ノーザンファーム(安平町)
一口価格:1,250,000円(40口)
「快勝」という言葉以外、見つかりませんでした。今日はスピードの違いでハナに立ち、追い出されてからはもうひと伸びし後続を突き放しました。
母パストフォリアもサンデーサラブレッドクラブにて一口60万円にて募集され、現在でいう1勝クラスから3勝までを3連勝でクリアするなど芝の1,400~1,800m戦で4勝の活躍を見せました。
母となってからはインプロペリアの全姉にあたる2022年のフィリーズレビューを制したサブライムアンセムなど、姉4頭中3頭がJRAで勝ち星をあげる堅実な産駒を輩出しています。
今日は能力だけで勝った印象に映りますが、実際はまずは1,400戦くらいの方が差す競馬などスピード力を活かした幅広い活躍が出来るのではないかという印象を受けました。もちろん成長してくればマイルも十分に守備範囲となるでしょう。
■東京6R 2歳1勝クラス・芝1,400m・1:22.7
エンブロイダリー - シルク・ホースクラブ
牝馬(1番人気)
父:アドマイヤマーズ
母:ロッテンマイヤー(母父:クロフネ)
厩舎:森 一誠(美浦)
騎手:C.ルメール
生産者:ノーザンファーム(安平町)
一口価格:60,000円(500口)
スタートは五分もダッシュがつかずに後方からレースを進める展開。ペースが遅いことを見越して早めに進出をしたC.ルメール騎手の判断がお見事でした。直線では上がり最速となる33秒1の脚を披露し、特にラスト200mからは強さを見せつけてくれました。
初勝利をあげた際には従来の2歳コースレコードを0秒9も更新する驚異的なタイムをマーク。馬場が良かったとはいえ、これほどまでの数字は能力が無ければ決してマークできるものではありません。
今後改善をしなければいけないのは、ゲート関係。初勝利時もアオリ気味のスタートでしたし、圧倒的な人気に支持されながら敗れた前走のサフラン賞、そして今回の1勝クラスとダッシュがつかず後方からの競馬になっています。そこさえクリアすれば能力があることは十分に分かっていますので、重賞クラスでも上位争いができる逸材だと思います。
■京都2R 2歳未勝利・ダート1,800m・1:54.2
ベイラム - 社台サラブレッドクラブ
牡馬(3番人気)
父:サートゥルナーリア
母:ベイトゥベイ(母父:Sligo Bay)
厩舎:武 英智(栗東)
騎手:岩田 望来
生産者:社台ファーム(千歳市)
一口価格:1,250,000円(40口)
スタートでは無理にハナを奪う争いには加わらないかと思いましたが、1枠を活かして先頭に立ちます。レースは終始他馬に突かれる展開となり、最初の1,000mが1分02秒5とはいえ決して楽な競馬にはなりませんでした。4コーナーではコーナーリングの上手さが光り、直線を向く際には2馬身のリードを奪い最後まで粘り切りました。
母ベイトゥベイは現役時代は加国GⅡナッソーSなど重賞2勝の活躍。母としては重賞3勝のスワーヴアラミス(父:ハーツクライ)など、本馬ベイラムを含めこれでJRAでデビューした産駒7頭中6頭が勝ち星をあげる非常に優秀な成績を残しています。
デビュー戦では芝のレースを使われましたが、比較すると現状はダートのレースの方が良さそうです。距離も現段階では今回のような1,800mくらいがちょうど良さそうに映ります。
この日のレースを見ると競馬場を問わずダート戦はこなせそうで、活躍の場が広がったように感じます。
■京都9R 秋明菊賞・芝1,400m・1:23.0
キャッスルレイク - ロードサラブレッドオーナーズ
牝馬(2番人気)
父:サートゥルナーリア
母:パラダイスリッジ(母父:ディープインパクト)
厩舎:松下 武士(栗東)
騎手:田口 貫太
生産者:ケイアイファーム(新ひだか町)
一口価格:46,000円(500口)
スタートは五分にでて道中は3番手をキープ。4コーナー辺りで一瞬手ごたえがどうかと感じた瞬間がありましたが、気合がのると問題なく直線勝負へ持ち込みます。馬場の良い外ではなく、距離のロスが少ない内側のコースを選択し、先を行く2着馬をゴール前で交わし見事に2勝目を飾りました。
この日は荒れた馬場かつ小雨が降る重い馬場の中、苦にせず結果を残せたことからも力のいる馬場も問題が無いことが見て取れます。
ここまで4戦を1,400m線以下で使われてきていますが、今後の活躍の場を考えるともう1ハロン延長が克服できるかが大きな鍵となります。母パラダイスリッジまマイルから2,000mで安定していましたし、父がサートゥルナーリアということからも、こなせる可能性は十分かと思いますので次走も楽しみにしたいと思います。
11月17日(日)
■東京2R 2歳未勝利(牝馬限定)・芝1,800m・1:45.9
ロートホルン - キャロットクラブ
牝馬(10番人気)
父:サトノダイヤモンド
母:マイミスリリー(母父:Tapit)
厩舎:加藤 征弘(美浦)
騎手:三浦 皇成
生産者:レイクヴィラファーム(洞爺湖町)
一口価格:80,000円(400口)
スタートの出は速くありませんでしたが、逃げの競馬を選択。直線を向いても脚が衰えることは無く、ラスト400mあたりから後続をジワジワ離しはじめ気がつけば6馬身もの差をつけ快勝しました。
母マイミスリリーはケンタッキーオークスの前哨戦にあたるダート9ハロンのガゼルS勝ち馬。また、母の全姉ジャストウィキッドも米国のGⅡ勝ち馬。その子でロートホルンのいとこにあたるウィキッドヘイローは米国にてGⅡを3勝と、非常に優秀な牝系となっております。
今日は他馬に脚を使わせ完封する文句なしの競馬。ラップタイムを考えると2,000mも十分に守備範囲でしょうし、来春の目標へ向けてどのようなローテーションを選択するか非常に楽しみな勝利となりました。
■東京3R 2歳未勝利・芝1,600m・1:33.5
パワースナッチ - シルク・ホースクラブ
牡馬(2番人気)
父:ブリックスアンドモルタル
母:スナッチマインド(母父:ディープインパクト)
厩舎:武市 康男(美浦)
騎手:T.マーカンド
生産者:社台コーポレーション白老ファーム(白老町)
一口価格:70,000円(500口)
スタートを決め道中は4番手をインコースで我慢しながらキープ。直線に向くと、先行馬を競り落とし早め先頭から差し馬を凌ぎ切る。初勝利の内容としては文句のつけようが無いと思います。
母スナッチマインドもシルク・ホースクラブの所属馬として現役時代は5勝をあげ2年連続京都牝馬Sで入着するなど活躍。繁殖牝馬としても先にデビューした姉2頭がJRAで勝ち星をあげています。
また、父ブリックスアンドモルタル×母父ディープインパクトの組み合わせからは、昨年のサウジアラビアRCを制し今年のNHKマイルCで4着だったゴンバデカーブースが登場しています。
今日の走りからは現状、芝のマイル戦までが合いそうです。
■東京4R メイクデビュー東京・ダート1,600m・1:39.4
レイクストライプス - シルク・ホースクラブ
牡馬(4番人気)
父:American Pharoah
母:インファルターメ(母父:Equal Stripes)
厩舎:大竹 正博(美浦)
騎手:T.マーカンド
生産者:レイクヴィラファーム(洞爺湖町)
一口価格:100,000円(500口)
スタートはそこまで目立つものではありませんでしたが、楽な手ごたえで徐々に押し上げいつの間にか3番手まで浮上。直線ではラスト200m辺りで本格的にエンジンがかかるとただ1頭迫りくる後続を抑え、見事に新馬勝ちを果たしました。3着以下には7馬身以上の差をつけていますので、今日は能力が1枚も2枚も上だったと言えるでしょう。
母インファルターメは亜国のマイルGⅠ・CEジュヴェナイルフィリーズの勝ち馬。配合を見るとCandy Stripes(キャンディストライプス)の2×4というクロスが発生しています。キャンディストライプスと言えば、本国では天皇賞(秋)の勝ち馬バブルガムフェローの半兄。日本との縁を感じます。
距離は今日の競馬では推測は難しいですが、少なくとももう1ハロン伸びる分には問題ないでしょう。
もう少しラップが上がり、速いタイムになった際にどのような競馬となるかで再考した1頭です。そこもクリアできるようですとオープン特別以上でも十分に戦える逸材だと思います。
■福島5R メイクデビュー福島・芝1,800m・1:50.5
ウインファヴォリ - ウインレーシングクラブ
牡馬(1番人気)
父:リオンディーズ
母:ウインファビラス(母父:ステイゴールド)
厩舎:栗田 徹(美浦)
騎手:H.ドイル
生産者:コスモヴューファーム(新冠町)
一口価格:75,000円(400口)
スタートでややヨレ、道中は気合が入りすぎる面が見受けられ、4コーナーでは外に膨れ、トップでゴールを駆け抜けた後にはH.ドイル騎手を振り落とす。これだけヤンチャなことをしていながら1馬身差で勝利するのですから、驚くばかりです。
そして、こういった点が解消されればどれほどの競馬を見せてくれるのか、本当に楽しみでもあります。
母もウインレーシングクラブでデビューをし2015年の阪神ジュベナイルFで2着となり、2016年の牝馬三冠は皆勤賞でした。
また、牝系を見ていくと叔父にはGⅠを2勝したウインブライトがいます。
初めに書いた通り、能力の高さは十分すぎるほど垣間見ることが出来ました。一気に改善することは難しいかもしれませんが、一つずつ解決し後々は上位クラスでの走りを見たいと思わせてくれる1頭です。
※本記事内のクラブ名は愛馬会法人名を使用しています
写真:かずーみ、だいゆい、KOH、s1nihs