![[連載・片目のサラブレッド福ちゃんのPERFECT DAYS]チーム福ちゃんの皆さまからの寄せ書き(シーズン2-5)](https://uma-furi.com/wp-content/uploads/2026/02/2026022307.jpg)
福ちゃんの卒業アルバム制作が難航しました。まさか7月中旬に碧雲牧場から移動になるとは思っておらず、予定よりも2か月前倒しで制作を始めなければならなくなったことが、そもそもの原因です。当初の予定としては、8月に入ってから作り始め、9月末の福ちゃんの卒業に合わせて発売を開始しようと考えていました。ところが福ちゃんはもう出て行ってしまい、YouTube上では福ちゃんが碧雲牧場にまだいる映像を流して引っ張っていますが、それにも限界があります(笑)。
さらに移動先のエクワインヴィレッジの獣医師まなてぃさんが、福ちゃんの馴致の様子をXで取り上げてくれたことによって、YouTubeチャンネル上と現実との間に時差というかギャップが生まれてしまっているのです。一刻も早く福ちゃんの卒業アルバムをつくり、チーム福ちゃんの皆さまと祝わなければいけません。予断を許さない状況でスタートし、お盆休みもへったくれもなく、それでも遅々として前に進まず、福ちゃんの卒業アルバムのことばかり考える日々でした。
今回の目玉というか、どうしてもやりたかった企画は寄せ書きです。もともとは福ちゃんの声を担当してくれている人の「卒業アルバムだから、寄せ書きをしてもらったらどうですか?」との提案でした。僕の世代にとっての卒業アルバムというと、学校が作って卒業式に渡されるものという感覚がありますが、彼女たちの世代は少し早めに渡されて、友だち同士でメッセージを書き合う(寄せ書きをし合う)ものだそうです。なるほど、それは面白いですし、これまでのグッズはある意味、一方的に作ったものを買ってもらっていましたが、寄せ書きをすることでチーム福ちゃんとしての共同作業になるのが良いと思いました。皆で卒業アルバムを一緒につくるのです。
もちろん、寄せ書きをしたい人もいれば、寄せ書きはしなくて良いけど卒業アルバムはほしいという人もいるはずです。そこで先行予約という形で、寄せ書きをしてくれる人を募ることにしました。寄せ書きをする権利ということもあり、通常販売価格(3850円)よりも少し価格を高めに設定しました(やりとりをする送料や特典のうちわを入れると、権利というほど高くはありませんが)。
いざ先行予約をスタートしてみると、あっという間に100名を超えて、最終的には130名ぐらいの方々が手を挙げてくれました。ありがたい話なのですが、一刻も早く完成しなければならない中、まずは寄せ書きの台紙を送って、書いて送り返してもらわなければいけません。最近の郵便事情やお盆期間を挟むことを考えても、今日送って、明日届いて、明後日に送り返してもらうというスケジュール感では到底動きませんから、ある程度の時間を取りつつ急がなければなりません。約130名の方々に台紙と返信用封筒、うちわを送るだけでもひと仕事でした。
返ってきた寄せ書きを取りまとめつつ、他のコンテンツの制作をします。文章はかつて書いたものを清書するぐらいですが、碧雲牧場の地図やメンバー紹介、YouTubeチャンネルのダイジェストなど、その他の内容は1から作りますので大変です。作っているうちに、こういうコンテンツもあった方が面白いとアイデアが浮かんできてさらに作るといった具合に、これまでのグッズ制作とは比べものにならない時間と労力、製作費を注ぎ込みました。

僕は「ROUNDERS」をいう競馬の雑誌を5冊作りましたが、作っているときにいつも感じるのは喜びと苦しさです。僕は本のような紙媒体をつくることが好きなので、凝り始めると内容はもちろんのこと、デザインから文字の構成までキリがないほどこだわってしまい、何度も見返しては修正をかけます。今日は良かったけれど、明日見たら違和感を覚えて直す、という繰り返しをすることに。自分の書いた文章だとしても、何回読んでも、毎回修正したくなるのです。良いものがつくれているという感触に喜びを覚えながら没頭してしまうのですが、早く仕上げて世に出さなければならないという切迫感も同時に感じています。ある種、ハイな状態になってしまい、布団に入っても誌面が頭の中でグルグル回って寝つきが悪くなります。今回の福ちゃんの卒業アルバムの制作においても、そうした喜びや楽しさ、苦しさを味わいました。これを幸せというのかもしれません。
特に、チーム福ちゃんの皆さまから送られてきた封筒を1通1通開き、寄せ書きや同封されている手紙を読みながら、スキャンしてデータ化する作業は至福の時間でした。福ちゃんがこんなにも愛され、応援されていて、(感謝しているのはこっちなのに)僕にまで感謝の気持ちを伝えてくださる皆さまがいるのです。また、寄せ書きにも個性が表れています。素朴なモノクロからカラフルなデザインまで。綺麗なイラストを描いてくださる方もいれば、手書きの文字で愛情を伝えてくださる方もいます。失敗したときの予備もつけていましたので、最初にどんな失敗をしてしまったかも分かります。枠の中にいきなり大きく福と書いてしまい、メッセージを書くスペースがなくなったケースもあれば、逆に失敗したときの予備スペースに「私、失敗しないので(笑)」と冗談を書いていた人もいました。福ちゃんが誕生してから1年半、このような素敵な人たちに囲まれて、ここまでやってきて良かったなと素直に思いました。

最も時間がかかったのは、この寄せ書きのパートでした。それぞれに色味や文字の濃淡が異なるため、スキャンした画像を読みやすい(見やすい)ように調整しなければいけません。中には枠から少しはみ出てしまっているので加工したり、郵送する際に折り目がついてしまっていてそれを消したりする作業を130人分行いました。チーム福ちゃんの皆さまなら、他の人々がどのようなメッセージを書いているのか一人ひとり読むでしょうから、なるべく綺麗に読みやすくしたいという想いでした。せっかく送ってもらったのに掲載されていないのが一番申し訳ないので、こちらの手元に届いた寄せ書きが漏れなく掲載されているかの確認を何度も行いました。
雑誌を1冊つくるのと同じぐらいの熱量を込めた結果、8月末には皆さんの手元に届けるつもりが、完成して印刷に出せたのは8月末でした。当初は200ページぐらいになると予想していましたが、最終的に124ページに収まったのは、福ちゃんの写真をメリハリをつけて載せたからです。1ページに1枚の写真をドーン、ドーンと掲載しても良かったのですが、それでは単調で飽きてしまいます。1ページ1枚のパターンもあれば、1ページに2枚、3枚、ときには8枚を載せるパターンもつくり、強弱をつけてみました。これで視覚的にも飽きがこないはずです。

碧雲牧場の皆さんがスマホで福ちゃんを撮ってくれた日常的な写真から、パートで働いている写真が趣味の青木さんが撮影してくれた距離感の近い写真、そしてカメラマンの出越茂毅さん、Photostudの住吉里樹さんがこれまでに撮ってくれた写真を、ここぞとばかりに惜しみなく出しました。何と言っても、福ちゃんの卒業記念として、株式会社ノードネットワークスさんに撮ってもらった立ち写真等で締めくくれたのが良かったです。福ちゃんが誕生した瞬間から、立派に成長して、競走馬としての第一歩を踏み出すまでがきちんと映し出されています。

裏表紙は、「HEKIUN FARM」と刻まれた頭絡をつけた福ちゃんのアップの写真にしました。この写真を表紙にしようと思ったこともありますが、「表紙は可愛い方がいいです」と反対されてやめました。裏表紙には相応しいと思います。僕は福ちゃんの左側からのこの表情を見ると、何とも言えず誇らしく嬉しい気持ちが湧いてきて、涙が出そうになるのです。まるで「モナ・リザ」の絵画のように、慈しみや哀しさ、喜び、愛らしさなど、見る人の見かたによって、あらゆる全ての感情が感じられるようで不思議ですね。

(次回へ続く→)
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