日本競馬史上初となるワールド・サラブレッド・ランキング1位を獲得したジャスタウェイ。
現役時代はG1を3勝(海外G1含む)、引退後は種牡馬としてダノンザキッド・ヴェロックスなどを送り出す活躍を遂げました。
そのジャスタウェイが世界へ飛躍するための足掛かりとしたのが、2014年の中山記念。
今回は、2014年の中山記念を通じてジャスタウェイの現役時代を振り返ります。
天皇賞(秋)で見せた衝撃
ジャスタウェイといえば、アニメ「銀魂」の脚本家・大和屋暁氏が馬主であることが有名です。馬名も「銀魂」に登場するキャラクターのジャスタウェイに由来しています。
そのようなジャスタウェイですが、2歳夏にデビューして新馬戦を見事勝利。
3歳春にはG3のアーリントンカップを勝利するなど早くから頭角を表します。
その後は2年連続毎日王冠2着など勝ちきれない日々が続きますが、2013年の天皇賞(秋)で一気に覚醒。
直線では逃げるトウケイヘイローを早めに捉えたジェンティルドンナを、ジャスタウェイはまったく相手にせず豪脚一閃。
馬場の真ん中を弾丸のように突き抜け、最終的にジェンティルドンナに対して4馬身もの大差をつける衝撃を見せます。
この天皇賞(秋)の勝利をきっかけにジャスタウェイは一気にブレイクしました。
ドバイへと繋がる中山記念
天皇賞(秋)を圧勝した後に陣営はジャスタウェイのドバイ遠征を公表し、そのステップレースとして中山記念を選択します。
迎えた2014年中山記念。
1番人気は前走香港カップで2着と好走したトウケイヘイローで、ジャスタウェイは単勝オッズ5.3倍で2番人気に支持されます。
レースではトウケイヘイローがまさかの出遅れ、その後1コーナーから2コーナーにかけてトウケイヘイローが後方から一気に先手を奪うという変則的な流れとなります。
そのような変則的な流れにもジャスタウェイは動じず、好位の内目をがっちりとキープ。抜群の手応えでレースを進めます。迎えた直線では、ジャスタウェイは逃げるトウケイヘイローと内ラチの僅かな隙間をついて鋭く伸び先頭へ躍り出ます。
終わってみれば、2着アルキメデスに3馬身1/2差をつける圧勝。
天皇賞(秋)で見せた強さを改めて示す形となりました。
世界のジャスタウェイ
中山記念を快勝して臨んだドバイ遠征「ドバイデューティーフリー」。
ジャスタウェイは天皇賞(秋)で見せたような豪脚を直線で繰り出し、2着ウェルキンゲトリクスに6馬身以上の差をつける圧勝を見せます。この結果より、ジャスタウェイは日本競馬史上初となるワールド・サラブレッド・ランキング1位を獲得することとなります。
その後もジャスタウェイは安田記念1着やジャパンカップ2着などの活躍を見せ、5歳冬に引退しました。
「若駒時代は素質を見せるものの勝ちきれない。その上で古馬になって一気に能力開花して他馬を圧倒する強さを見せつける」というジャスタウェイの個性は、いかにも晩成血統のハーツクライ産駒らしい特徴と言えます。
天皇賞(秋)に続き中山記念で見せたジャスタウェイの強さは、競走馬としての本格化を体現したレースだったと言えるでしょう。