[重賞回顧]シゲルピンク×渡辺薫師×和田竜Jトリオでホームラン~2021年・フィリーズレビュー~

金鯱賞でのデアリングタクトまさかの敗戦、そして最低人気ギベオンの勝利から数分後。
第55回フィリーズレビューのゲートが開かれた。

1967年、フィリーズレビューの前身である阪神4歳牝馬特別が創設。2001年にフィリーズレビューと名前を変えて、今年で55回目となった。
長らく桜花賞の前哨戦に位置付けられており、歴代勝ち馬には、エルプスやキョウエイマーチといった桜花賞馬、エイシンサニーがイソノルーブルといったオークス馬、さらには牝馬二冠馬のテスコガビーやメイショウマンボ、牝馬三冠馬メジロラモーヌらが名を連ねる。
上位3頭に桜花賞への優先出走権が与えられるトライアルレース。近年はあまり本番に直結しない印象があるものの、2017年には2着のレーヌミノルが本番桜花賞を制している。


今年も桜花賞のゲート目指して、フルゲート18頭が揃った。
中でも、阪神ジュベナイルフィリーズでソダシに後塵を拝した5頭が再び集合。上位陣に食らいついた5着のヨカヨカ、6着のオパールムーン。それに二桁着順に終わったエイシンヒテンやシゲルピンクルビ―などが出走した。
別路線からは、中京2歳ステークス勝利など短距離で活躍中のゴールドチャリス、ダイワスカーレットの仔アンブレラデート、新馬勝ちから臨むエルカスティージョが参戦。
出走馬の大半は1勝馬であり、単勝オッズ10倍台が9番人気までと、混戦ムードが漂っていた。

1番人気に推されたのは、阪神ジュベナイルフィリーズ組のオパールムーン。
夏の札幌でデビューし、ファンタジーステークスではメイケイエールに4分の3馬身差に迫る2着と、重賞でも好走の実績がある。

続く2番人気は、同じく阪神ジュベナイルフィリーズ組のヨカヨカ。
こちらはメンバーで唯一の3勝馬であり、GIと重賞で入着する活躍から、九州産馬による重賞制覇へ向けて大きな期待が寄せられた。

さらに3番人気のエスカスティージョまでが一桁台のオッズを示した。
以下、9番人気までがオッズ10倍台で続く。

レース概況

エイシンヒテン、テリーヌが大きく出遅れてスタートした。
内からアンブレラデート、ポールネイロン、ヨカヨカ、ピンク帽のフリードの4頭が先手を主張していたが、次第にポールネイロンがハナを奪い逃げる形に。

先頭を譲った3頭の直後に、シゲルピンクルビーやスティクスなど。約9頭は中団に控え、出遅れたエイシンヒテンもそれに取り付いていた。馬群の最後方には人気を占めていたエルカスティージョ、ミニーアイルが追走し、その4馬身後ろの最後尾にオパールムーンが待機する。
先行する馬が多かった序盤は、テンが速くなり前半の3ハロンを33.7秒で通過。比較的ハイペースとなった。

隊列が整い始めるも、それほどペースが緩むことなく、11秒台を刻んでいた。内回りコースに差し掛かるにつれて、後続が追い上げ始め、馬群が凝縮し、各馬の鞍上の動きが騒がしくなっていく。

最終コーナーでは、先行勢が内側から展開し、後方集団は進路を外に求めた。1番人気のオパールムーンは、最後方大外から、2番人気ヨカヨカは、一足先に抜け出した複数を前にして抜け出しの機会をうかがっていた。

残り200メートル地点で、失速する逃げ馬を捉えてヨカヨカが一足先に抜け出す。しかし、最も内からアンブレラデート、中央からシゲルピンクルビー、外からミニーアイル、エイシンヒテンが台頭。先行馬、差し馬入り乱れて4頭が横一線となった。1番人気のオパールムーンはそれらの争いから4馬身後ろで伸びあぐねる。

上位4頭の中からヨカヨカ、シゲルピンクルビーが抜け出し一騎打ちとなる。
馬体を併せたままゴール板へ、わずかに、クビ差シゲルピンクルビーが先着。
1馬身後ろの3着にミニーアイルだった。

各馬短評

1着 シゲルピンクルビー

好スタートから、逃げ、先行馬を前に置き、3列目の内側で待機。直線では前の進路がふさがれたものの、和田騎手の右ムチの応えて進路をスムーズに確保し、鋭く伸びて、重賞初勝利となった。

半姉にチューリップ賞、桜花賞2着や秋華賞3着と牝馬クラシックで好走したシゲルピンク「ダイヤ」(父:ダイワメジャー)。同じ和田竜二騎手が騎乗し、渡辺薫彦厩舎の管理馬で、現在も重賞戦線で活躍中である。姉に先んじて「2勝目」を挙げ、重賞タイトルを獲得した。
ナリタトップロードとテイエムオペラオーでタイトルを競い合ったあの日から約20年、今度はタッグを組んで重賞を制覇──そんな夢の実現へ向けて、牝馬クラシックでのコンビ継続が期待される。

「シゲル」の冠名で知られる森中蕃オーナーは、サラブレッド系種では、これまでにシゲルホノクニやシゲルジュウヤクでJRA障害重賞を制しているが、JRA芝重賞は初勝利。アングロアラブも含めれば、1995年までセイユウ記念を3連覇したシゲルホームラン以来の重賞勝利であった。

2着 ヨカヨカ

好スタートから、好位を確保。直線では、ハイペースの周囲に踊らされずにぎりぎりまで我慢し末脚を見せた。しかし、シゲルピンクルビーにクビ差の2着だった。九州産馬の悲願達成まであと少しであった。

福島2歳ステークス覇者のルクシオンが調教中の事故により早逝したため、九州産馬は単騎での牝馬クラシック挑戦となる。これまでどんな相手であろうと掲示板を外さなかったパフォーマンスは、本番でも期待できるだろう。

3着 ミニーアイル

栗東・武幸四郎厩舎3頭出しの内の1頭で最先着を果たした(スティクス:7着、ゴールドチャリス:12着)。

後方待機から、ハイペースに乗じて鋭く追い上げたが、内を進んだ2頭には及ばなかった。ここれまで1200メートルを中心に使われていたため、次走の動向に注目が集まる。

9着 オパールムーン

最後方をポツンと追走、上がり3ハロンメンバー中最速の脚を使い追い上げたが、直線一気では届かなかった。不利な外枠が響いたか。

レース総評

シゲルピンクルビー、ヨカヨカ、ミニーアイルの3頭が、桜花賞への優先出走権を獲得した。
同日のアネモネステークスも終わり、優先出走権の8枠がすべて埋まった。

今年は、ソダシやアカイトリノムスメが賞金上位を占めているため、出走可能ラインは例年にも増して高くなる。権利を取り損ねたオパールムーンの出走は厳しくなった。

フィリーズレビュー勝ち馬が桜花賞で活躍する印象は近年あまりないように思えるが、今年は、桜花賞2着馬を姉に持ったシゲルピンクルビーが勝利。桜花賞当日の阪神競馬場、多くの観客に囲まれているウィナーズサークルにいるのは、和田竜二騎手と調教師として初GI制覇となる渡辺薫彦調教師、森中氏だろうか、熊本県で生産する本田氏だろうか、調教師として初GI制覇となる武幸四郎調教師だろうか──。

競馬ファンは、本番までにいずれの夢も見ることができる。
写真:バン太

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