私が"史上初・無敗の三冠牝馬"であるデアリングタクトを思い出すとき、まっさきに浮かぶ光景がある。それは彼女が無敗の三冠を達成した秋華賞ではない。 私にとって、最も強烈な印象を残したのは、400日ぶりに復帰したヴィクトリアマイル、本馬場入場のワンシーンである。 コロナ禍によって奪われた我々の歓声。その分まで届けるかのよう...
吉田 梓
競馬と俳句を愛する、介護士&ライター。
障害馬とステイヤーは特に応援してしまう性格で、出走時間になると職場内でふらっと行方不明になることも。
第15回 Gallopエッセー大賞・編集部奨励賞受賞
吉田 梓の記事一覧
──ああ、そうか。もうG1の季節だなぁ。出馬表に彼の存在を認めると、ふと呟いてしまうような馬がいる。競馬に親しんだ時代によって、それがステイゴールドだったり、キセキ、マカヒキだったりするだろう。 競馬歴が長ければ長いほど、名馬たちの顔が浮かんでは消えていく。 私の場合、その筆頭は『最強の2勝馬』と呼ばれた、サウンズオブ...
生きていると、歯がゆくて悔しい、報われない経験をすることがある。 あと一歩だった。もう少しだった。もっと認められたかった。 ──もう、いっそ諦めてしまおうか。 そうやって肩を落として、ふっとターフを見ると、決して諦めずに戦い続ける彼女の姿があった。 どんな馬場でも、どんな距離でも、絶対に掲示板を外さない、不屈の闘志。 ...
小雨が落ち、薄暗い11月のターフを緊張させている。落ち着き払った漆黒の馬体は、何者も寄せつけず、一人旅を展開していた。私は苦い顔をしながら、職場である介護施設のテレビからその様子を見つめる。 2016年、ジャパンカップ。 鞍上は、レースを完全に支配していた。 「武豊?」 競馬とは無縁であるマダムたちも、続々とテレビの前...
2021年、8月31日。 ドゥラメンテの訃報を受け、一瞬で2015年皐月賞の舞台に引き戻された。 「こりゃダメだ! 終わった!」 競馬ファンであれば誰もが経験したことのある、応援馬の絶望的な位置取り。 ドゥラメンテの場合、第4コーナーで斜走してしまい大きく外にふくれてしまっていた。鞍上のミルコ・デムーロ騎手でさえ、「絶...
かつて、キタサンブラックが年度代表馬に選出されることを、阻止しようとした馬がいる。にわかに信じがたいが、名前を聞けば全ての競馬ファンが納得してしまう、最強の馬がいる。 そう、絶対王者、オジュウチョウサンだ。 中山グランドジャンプ&中山大障害のレコードホルダーにして、中山グランドジャンプ5連覇達成の偉業。障害重賞...
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語り継がれし「名馬」たち
レース回顧
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[重賞回顧]”バド”の雪辱を、”スタニング”が晴らす見事な勝利~2024年・エリザベス女王杯~
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