競走馬に会いに行く際、絶対に守ってほしい『牧場見学の9箇条』とは?

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毎日のように『ウマ娘』の話題を見かける日々。そんな『ウマ娘』の人気が"バクシン"的に上がる中「○○ちゃんに会いたい!」という声を、SNSなどで見かけることも増えました。

それと同時に「牧場見学ってどうすればいいのかな?」「どこに問い合わせればいいのかな?」と疑問点も多く見かけます。

せっかく『ウマ娘』効果で多くの方が「馬に会いたい!」と思ってくださっているので、元厩務員として少しでもお手伝いができればと思い、今回は『競走馬に会いに行く際、守ってほしいこと』をお伝えしていきたいと思います。今回、引退馬の情報などを発信されている「競走馬のふるさと案内所」様に引用の許可をいただいた上で、同サイトにある”牧場見学の9箇条”をご紹介させていただきます。

①見学の可否は競走馬のふるさと案内所にお問い合わせください

当たり前のように感じるかもしれませんが、とても大切なことです。

大きな観光牧場であれば沢山の駐車場が完備してあったりと、それなりのホスピタリティが用意されています。しかし引退馬を繋養されている牧場さんは観光が目的で経営されていないことが殆どで、見学を受け入れてくださるのは完全にご厚意です。

牧場側にご迷惑がかからないよう、まずは事前に"競走馬のふるさと案内所"までお問い合わせしてください。いきなり牧場に行くのはもちろん、直接牧場に連絡をいれることも、お忙しい牧場の方々のご負担になることが多いです。

②見学時間は競走馬のふるさと案内所までお問い合わせください

競走馬関係の牧場には様々な種類の牧場さんがあります。

  1. 競走馬を生産する生産牧場さん
  2. デビュー前、現役競走馬をトレーニングする育成牧場さん
  3. 種牡馬が繋養されているスタリオンさん(種馬場)

この3つの種類の牧場で、対応できる時間が大きく変わってきます。理由は様々あるのですが、特に生産牧場さんは放牧時間が育成牧場さんと種馬場さんと変わっているので、見学の電話をする前に、競走馬のふるさと案内所さんで行きたい牧場さんの対応可能時間を確認しておきましょう!

③牧場では牧場関係者の指示に従ってください

これも当たり前のことかもしれませんが、お時間を割いていただいて、あくまで"私有地"にお邪魔しているという気持ちを忘れずに、牧場の方の指示に従いましょう。

牧場さんによって見学のルールが違うことも多々あるので、郷に入っては郷に従えということで、各牧場さんのルールを遵守してください。たとえ牧場見学に慣れてきても、新しい牧場に行く場合は、初めて牧場見学に行くような謙虚な気持ちを忘れないことが大切です。

馬に近づく際は特に注意して、心配な点があれば指示を仰ぐように心がけましょう。
勿論、見学前、見学後の挨拶も忘れずに感謝の気持ちを伝えましょう!

④厩舎や放牧地に無断で立ち入らないでください

先ほどの項目でも述べたように、あくまでも牧場さんの私有地です。

トラブルの原因にもなるので、絶対に放牧地や厩舎には無断で入らないようにしましょう。

これは僕の実体験なのですが、7歳の時に海外にある祖父の家に遊びに行ったときに、放牧地に入って仔馬と遊んでいたら別の馬に轢かれたことがありました。祖父の持ち馬でほぼ毎日接していた馬なので大丈夫かなとは思っていたのですが、毎日接していても興奮すると悪気がなくても轢かれたり、不意に噛みつかれたりします(苦笑)

おうまさんも、特に初めて会う見学者の方には警戒心MAXになっていると思います。中には興奮してしまうお馬さんもいると思いますので、絶対に自己判断で厩舎や放牧地に入るのはやめましょう!

⑤大きな音や声を出さないでください

馬はとても音に敏感な生き物です。
パドックでも大きな音にビックリする競走馬を見たことがあるのではないでしょうか?

殆どの牧場さんは静かな場所にあるので、聞きなれていない音を聞くと、牧場にいるお馬さんたちはそわそわしてしまいます。

悪意がなくとも、馬にとってはパニックの原因になる可能性があることを念頭に、見学してください。

⑥ 危険ですから絶対に馬にさわらないでください

これはとても大切なことですね。

『④厩舎や放牧地に無断で立ち入らないでください』の項目でも説明させていただきましたが、馬に悪気がなくても何かの拍子に突然興奮し、攻撃的になってしまいます。はじめてみる人間がいるとなおさらです。

時々ご厚意で触らさせてくれる牧場さんもいらっしゃいますが、人間に慣れている大人しい馬を選んで触らさせてくれていることが殆どですので、絶対にご自身の判断だけで馬に触るのはやめましょう!

また馬産地では、道路と牧柵の距離が近いところが多く、車を止めて馬を眺める方をよく見かけます。馬産地の馬達は、乗馬をはじめとした観光施設にいる馬とは違い、人間と接する訓練を受けているわけではないので、噛まれてしまう場合もあります。

もし道路沿いの牧柵に馬が集まっていても、近くから眺めるだけに留め、絶対触らないようにしましょう。

⑦牧場内は禁煙です

これはもう、そのままですね。
お昼ごろに厩舎の外で寝藁を乾かしている牧場さんも多いので、絶対に牧場内、牧場付近でタバコを吸うのはやめましょう。またビニール類の「シャカシャカ」という音に馬はとても敏感に反応してしまうので、馬に近づく際は音が鳴るようなものは持っていかないようにしましょう。

⑧カメラのフラッシュはご遠慮ください

思い入れのある馬と会うのは、一生の思い出になることは間違いありません。
ですから、写真を撮りたくなる方も、当然多いと思います。
しかし馬は敏感な生き物ですから、フラッシュに驚いてしまいます。危険ですので、絶対にやめてください。

写真を撮る際は、まず馬がいない方向に向けて、フラッシュが焚かれないか確認の撮影をしてからというのを基本動作にしましょう。過去に馬の死亡事故にもつながった例もありますので、フラッシュはまずオフにする、直接撮る前に別の方向で試し撮りをする。二重の構えで事故の防止にご協力ください。

ちなみに競馬場もフラッシュは厳禁です。これは、『ウマ娘』にも登場するエアグルーヴがパドックでフラッシュに驚いてしまったことがきっかけです。あわせて、ご留意ください。

⑨絶対に食べ物を与えないでください

生産牧場さんは、流産のリスクを極限まで抑えるために、消毒層を設置したり様々な防疫対策をされているといいます。もちろん、他の牧場さんも同じでしょう。

食事にも非常に気を使っていて、毎日馬の状態を観察し、飼葉(馬のご飯)を作っています。
飼葉は燕麦、塩など様々な物を合わせて多い時は大体1kg前後になります。その1kgを超える量のご飯を、牧場さんによってはグラム単位で食事を管理されています。

その中で牧場の方が知らないところでニンジンを食べさせてしまうと、牧場の皆さんの毎日の努力が水の泡になってしまいます。最悪の場合、病気になってしまうこともあるのです。

ですのでニンジンをあげたくても、馬たちのことを思ってぐっと我慢してください。
時々ですが見学者さんを見越して、食事の量を調整し見学者さんにニンジンを馬に食べさせる機会をくださる牧場様もいらっしゃいますので、もしニンジンを与える機会を頂けた場合は、牧場様の最大限のご厚意として受け止め、しっかりと感謝の気持ちを伝えましょう。


さて、"牧場見学の9箇条"紹介は、いかがだったでしょうか?

詳しい方からすれば当たり前のことかもしれませんが、初めて競馬の世界に触れる方からすると意外なところが多かったのではないでしょうか。

私も牧場で働く前は所謂「分かっているつもり」になっていて、先入観を持って馬に接してしまい沢山の失敗を経験しました。初めて見学に行かれる方は、初心に戻ったつもりで是非牧場見学の9箇条ご覧になられてください。

その他、ご不明点などがある方は『競走馬のふるさと案内所』までお問い合わせください。

競走馬のふるさと案内所 牧場見学ガイドはこちら:https://uma-furusato.com/guide/

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