[世界への挑戦]凱旋門の扉を開きかけたあの瞬間 - オルフェーヴル

 2025年終了時点で、のべ38頭もの日本馬が挑戦してきた凱旋門賞。最高着順は2着で、未だ日本から飛び立った優駿が、この舞台の頂に到達したことはない。

 だが、2年連続でパリロンシャンの最高峰へ挑み、1着に最も近い着順を獲得した日本馬も、現時点ではオルフェーヴルただ1頭。特に1度目の挑戦では、4コーナーで大外から進出して抜け出し、栄冠まであとわずかのところまで来ていた。

今回は、オルフェーヴル1度目の凱旋門賞挑戦を中心に振り返る。

■ 金色の馬体、凱旋門の頂に上り詰めるまであとほんの数10メートル

 2011年の三冠馬オルフェーヴルは、2025年までにフランスに挑んだ日本馬で唯一フォワ賞連覇、凱旋門賞でも2年連続2着に好走した名馬だ。国内戦だけでなく、世界一を目指したフランスの地でも、金色の馬体は躍動した。

 大外枠から出走した2012年、オルフェーヴルはゆっくりと最後方のインへ潜り込む。フォルスストレートでは帯同馬アヴェンティーノが外を進み、オルフェーヴルは内で折り合いに専念、末脚を解き放つ瞬間を待っていた。

直線に入りアヴェンティーノが苦しくなったタイミングで、まるで送り出されたかのようにオルフェーヴルが馬群の大外から一気に加速する。残り300mで先頭に並びかけ、200mで単独先頭に立つが、同時に内埒へよれていく。


 残り100m、後方からソレミアが迫ってきた。勝利まで、あと50m──。そこで馬体が並ぶと、ゴール直前でクビ差交わされた。

 インを先行していたソレミアを一度は抜き去り、大差でリード。僅かクビ差の決着まで持ち込んだその走りは、世界の頂点を意識するには十分だった。そして翌2013年の凱旋門賞でも、前を行くトレヴを最後まで追いかけた。

 決して、彼が2着になったという事実がひっくり返ることはない。それでも世界の頂に最も迫った末脚に、今もファンは勝利の日を夢見るのだ。

文:松崎直人

写真:Y.Noda


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