![[新種牡馬対談]エフフォーリアとホットロッドチャーリーの産駒は活躍できるか? 治郎丸敬之×緒方きしん](https://uma-furi.com/wp-content/uploads/2026/05/202605311-1-scaled.jpeg)
いよいよPOG2026-2027シーズンも開幕。この時期になると、POGファンがソワソワするのは新種牡馬の情報だろう。
2026年に産駒が新たにデビューする種牡馬の目玉は、現役時代にGⅠ3勝を挙げたエフフォーリアに、コントレイルと熱戦を繰り広げたサリオスや、ドバイWCでも2着となったチュウワウィザードなど実績馬揃い。しかし、一方で外国からやってきた種牡馬であるホットロッドチャーリーやストラクターなど、新たな血も目白押し。群雄割拠の大混戦となりそうだ。
今回はそんなニューフェイスたちから、エフフォーリアとホットロッドチャーリーについて語り合う。馬体のプロ・治郎丸敬之さんと、ウマフリの代表を務める競馬ライター・緒方きしんのジャッジはいかに──。
■ファン大注目のエフフォーリア! 初年度産駒はいかに?
緒方:今年の新種牡馬で大注目といえば、なんといってもエフフォーリアでしょう。個人的には3歳シーズンに倒した相手が歴史的名馬たちだったことからも、かなりの実力馬だったと思っています。コントレイルもグランアレグリアもクロノジェネシスも倒していますからね。古馬になって歯車が噛み合わないところはあったものの、果たしてどれくらい強かったのかが気になる存在です。
治郎丸:それは同意見だね。というか、天皇賞(秋)と有馬記念の両方を勝った時に「この馬は史上最強馬なんじゃないかな」と思っていたよ。前者はスピード、後者はパワーとタフさと、馬に求められる資質が全く違うレース。それを3歳にして、しかも両方のフィールドでトップクラスにいた名馬たちを打ち負かして勝ったじゃない? とんでもない馬が出たなと感じたね。

緒方:そうなんですよね、それぞれの特化タイプの馬を、相手の土俵で倒しているのが大きいです。ただ、馬体という観点から見ると、もちろん素晴らしい馬体ではあるものの、過去において全く見たことないような異質なタイプかと言われると、そうじゃない気がするんですよね。あの総合力の高さはどういう所から生み出されていたんでしょうか。
治郎丸:エフフォーリアの特徴のひとつは、肩周りやトモにガッチリと筋肉がついているのに間口(前肢同士間の距離)が広くないところ。横から見た時はダートも行けるぞって思わせるくらい分厚そうな見た目でも、正面から見た時はそんな感じはしない。骨格がちょっと薄目なんだよね。つまり、筋肉は表面ついてパワーがありながら、骨格はスピードタイプという感じ。だからそれぞれの要素が求められる両方のレースに対応できた、まさに「美味しいとこどり」の馬体だね。このあたりは6月4日に発売開始した「馬体の教科書」でも書かせてもらってる(笑)

緒方:大注目の一冊ですね。これは必読だなぁ〜(笑) 宣伝はこれくらいにしてエフフォーリアに話を戻すと、自分が馬産地の方々と話した感じだとエフフォーリア産駒は1歳の秋頃から急に変わってくるんだとか。成長力がある種牡馬は魅力がありますよね。名種牡馬の産駒は、成長途上でガラッと雰囲気が変わると言いますし、その情報だけでも成功しそうだなぁと思いました。
治郎丸:あと、エフフォーリアの仔はスピードタイプの馬体構造にありがちな筋肉量の少なさはない感じがするから、見栄えもグッと良くなるのかもしれないね。今年の2歳も基本的には割と大柄なタイプが多いし。
緒方:いかにもエフフォーリアっぽい産駒と、あまり似てない産駒に二分される感じもします。母方の血を出すタイプなのかもしれません。とはいえ似てない方の馬も、色々なカテゴリで走ってきそうな雰囲気があります。筋肉のつき方が立派。
治郎丸:産駒の雰囲気にはバラつきはあると思う。恐らく、5歳の春に電撃引退した事情が絡んでいるんじゃないかな。シーズン直前の2月にスタッドインしたから、予定の空いている繫殖牝馬も少なかっただろうし…。生産者の方々も考える時間が少なかったからね。1年目の成績だけでなく、長い目で見てあげたい種牡馬だと思うよ。POGだと、やっぱり父に似て、サイズ感のあるやつを指名した方がいいかもね。
緒方:種付け頭数が増える2世代目以降にも期待ということになりますね。そのためにも、この世代でしっかりと活躍馬の傾向を頭に叩き込んでおきたいところです。個人的には筋肉ムキムキな米国血統より、国内血統の繁殖が相性が良さそうだなと思っています!
治郎丸:エフフォーリアは既にサンデーサイレンスのクロスを持っているけど、Northern Dancerの血はそんなに入っていないからね。Northern Dancer系の濃い血が入っているかつ、サンデーを内包していないような繁殖牝馬は面白いかもしれない。それこそ、さっき話した事情もあって国内血統の繁殖はいろんな肌馬が集まっているだろうから、緒方君の言う通り、まずは初年度産駒がどういう走りを見せてくれるかというのを見定めるのが大事になりそうだね。
緒方:POGファンの相馬眼も試される種牡馬になりそうですね。国内の血の方がフィットしそうと感じている身としては、その予感が当たって欲しいなぁ。
■米国からやってきたホットロッドチャーリーは、サンデーサイレンスに並びうる存在!?
治郎丸:いきなりブッコむけど、ホットロッドチャーリーはこの先、種牡馬界に新たな旋風を起こしてくれる存在になってくれると思っている種牡馬なんだよね。僕は2年前からこの種牡馬はブレイクするって賭けて、自分の繁殖牝馬にも付けているくらいだし。
緒方:本当にいきなりですね! 対談初回は芝の内国産種牡馬で統一したかったのですが(笑) ホットロッドチャーリーは現役時代にペンシルベニアダービーなど17戦4勝、ケンタッキーダービーやドバイWCでも2着となった実績馬で、入線時に掲示板を外したことはわずかに1回のみという安定感を持ちます。安定感は魅力ですが、昨今素晴らしい種牡馬が輸入されているなかで、この時点でそこまで言い切る人は少ないと思います。それほど確信があるんですね。
治郎丸:安定した成績を出しているのに、馬体はちょっとヒョロっとした感じなんだよ。米国のダート馬って、かなりムキムキの筋肉質なタイプが多い。そんな馬たちを相手に、この馬体で互角に渡り合っているんだから、相当な実力なんだろうなと踏んでいる。馬体からは分からないバネとか、心肺機能の強さとか、根性とか…そういうものが高いレベルで備わっている馬なんじゃないかな、と。かつてのサンデーサイレンスもそういうタイプだったから、彼を連想させるところは少なからずあるよ。

緒方:まさかここで歴史に名を遺した大種牡馬の名前が出てくるとは…ますます期待が高まりますね。まぁ、治郎丸さんに乗っかるわけじゃないですが、血統ファンの自分としても面白い存在だと感じていました。Deputy Ministerが入っている以外は、日本で流行しているような血が少なく、配合しやすそうです。かのサンデーサイレンスもNorthern Dancerの血が多くなっていた時期に来日したことで繁殖を集めたことがその後の大成功に繋がっていますし、現在は逆に彼の血が日本競馬では主流の時代。そう考えるとまさに『第二のサンデーサイレンス』になり得るかも。
治郎丸:しかも、ホットロッドチャーリーのお兄さんであるMitoleは、種牡馬としてはBCターフスプリントを勝利したShisospicyを送り出した。もうすでに成功の域だよね。恐らく、彼らの母親であるIndian Missから伝わる牝系が非常に優秀なスピードを持っているんだろうね。Mitoleの父であるエスケンデレヤは、日本だとそこまでスピードタイプの馬を多く輩出していなかったというのもあるから。ならば、ホットロッドチャーリーも間違いなく産駒に良い速力を伝えてくれるんじゃないかな。
緒方:たしかにそうですね。生産界でも見抜いている人は多いはずで、中央競馬でデビューを控えている組でもスカーレットインク牝系の馬と配合されていたりします。これはなかなか見逃せないな。
治郎丸:実際、既にホッカイドウ競馬では彼の産駒が能力試験の初日に一番時計を叩き出して、デビュー戦を圧勝している。各地区で5月末までに3頭デビューして2勝3着1回っていう数字が、種牡馬としての能力の高さの片鱗を証明していると言って良いと思うよ。
緒方:ここまでの成績を見せられると、残る焦点は「日本の芝が合うのか」です。近年、日本競馬ではDeputy Ministerの血を持つ繁殖牝馬が、キタサンブラックらを通じて芝の活躍馬を出しているので、時代の流れはきている血統かと思います。日本の芝への適性が高いと嬉しいです。
治郎丸:そこは未知の部分だけど、僕も行けるんじゃないかなと思っている。とはいえ、POG的には、お父さんの馬体が薄いから、一見芝向きに見えるようなタイプの馬の方が父系の血を濃く受け継いでいて、ダートでバリバリ走るかもしれない。それでも、打率も高いしホームランも打てる、野球界で例えるならドラフト1位で指名されるバッターのような産駒を数多く送り出してくれると思うよ。本当に期待している!
緒方:治郎丸さんは、しっかりと断言してくれるので話していて楽しいです(笑) 来年、答え合わせをしましょう!
今年の新種牡馬ではホットロッドチャーリーが自信の大本命と語った治郎丸さん。かつてのサンデーサイレンスのような活躍を期待したいというほどの言葉からは、かなりのワクワク感と興奮、そしてその先に見える夢への展望がひしひしと伝わった。
さらにエフフォーリアの産駒も、今年はもちろん、来年以降の指名に向けて我々の相馬眼が試される戦いとなりそう。今年の新種牡馬たちにも注目だ。
写真:s1nihs、かず

6月3日(水)に新刊「馬体の教科書」が発売されました! この1冊さえあれば、馬体のことがほとんど分かって、なおかつ最高に走る馬を自分で選べるようになる、そんな都合の良い、いや、理想的な本になっています。書き下ろしの馬体構造論から、キタサンブラック、ゴールドシップ産駒の見かたまで、楽しく読みながら馬体について学んでいただけるはずです。
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