巷で話題になっているゲームアプリ「ウマ娘 プリティーダービー」。
実際の競走馬をモデルにしたこのゲーム。登場するウマ娘たちの中に現役で走っている馬をモチーフとしたキャラクターはいませんが、子供、孫あるいは親戚にあたる馬が現役で駆けている例はたくさんあります。
そういった競走馬を「ウマ娘 プリティーダービー」から競馬を持った方々にも応援してもらいたい。そんな思いからこの「今も駆ける スターの血を引く者」では、ウマ娘にも登場するキャラクターのモデルとなった競走馬と血縁関係に当たる馬を、その週のビッグレースからピックアップして紹介していきたいと思います。
今日は秋のG1の開幕を告げるスプリント王者決定戦、スプリンターズSから2頭を紹介したいと思います。
ピクシーナイト
ピクシーナイトは曽祖父がグラスワンダー、母の父がキングヘイロー、母の母の父がサクラバクシンオーとウマ娘に出てくるキャラクターのモデルとなった馬の血を多く持っています。この中でも今回注目するのは「母の父キングヘイロー」です。なぜなら、最近母の父にキングヘイローを持つ馬が破竹の勢いだからです。
母の父キングヘイローと言う馬は過去にJRAの重賞を8勝しています。その中で2021年に入ってあげた勝利が半分を超える5勝。そのうちラジオNIKKEI賞のヴァイスメテオール、レパードSのメイショウムラクモ、セントライト記念のアサマノイタズラと7月以降だけで3勝しています。
それ以外にも遠く異国の地フランスではディープボンドが凱旋門賞の前哨戦フォア賞を制覇、新潟の新馬戦では父にキタサンブラックを持つイクイノックスが2着馬に1秒差をつける圧勝を飾り多方面で活躍を見せています。
今回スプリンターズSに出走するピクシーナイトもここ2戦勝ててはいないもののCBC賞、セントウルSと重賞で2走連続2着に来ており安定した成績を残しています。
キングヘイローはウマ娘でも「良家のお嬢様」と言う設定ですが、実際のキングヘイローも母父合わせてG1を11勝している世界的な良血馬です。最近の躍進はその良血の底力を見せつけたものと言えるでしょう。この勢いに乗ってピクシーナイトのG1制覇も期待できるのではないでしょうか。
また、母の父キングヘイローは日本時間で日曜日の夜に行われる凱旋門賞にもディープボンドが出走します。キングヘイローの父ダンシングブレーヴは「80年代ヨーロッパ最強馬」との呼び声が高く、1986年の凱旋門賞を制しています。そのひ孫が日本馬として初の凱旋門賞制覇となればヨーロッパでもニュースになることは間違いないでしょう。ピクシーナイトともども注目したい存在です。
ビアンフェ
函館スプリントS勝利を足掛かりに、昨年シンガリ負けからの雪辱を期すビアンフェ。この馬にもサクラバクシンオー(母の父)の血が入っています。しかし今回は父方の血に注目してみたいと思います。
父キズナは母がキャットクイルと言う馬でこの馬はキズナの他にも桜花賞・秋華賞の牝馬二冠を制したファレノプシスを産んだ良母として知られています。キャットクイルにはお姉さんにパシフィカスと言う馬がおり、この馬はウマ娘にも登場することで知られるビワハヤヒデ・ナリタブライアンきょうだいのお母さんにあたります。
ビワハヤヒデ・ナリタブライアンの2頭は中長距離路線で活躍した馬で、短距離のスプリンターズSにはゆかりがないように感じる人もいると思います。しかし、ナリタブライアンは実は一度芝1200mのG1高松宮記念(当時は高松宮杯)に出走した経験があります。
当時のナリタブライアンは股関節炎の休養明けを5戦して1勝のみ。阪神大賞典でのマヤノトップガンとの激闘や天皇賞での2着など成績だけ見ればさほど悪くはないのですが、三冠を達成した当時と比較するとその圧倒的な強さは影を潜めていました。
そのタイミングで出てきたナリタブライアン高松宮記念出走の報。競馬関係者やマスコミからは批判も多く上がりました。
「ナリタブライアンはスプリント戦でも強いのか？」多くのファンの疑問と興味の眼が送られる中、スタートした高松宮記念。前半はスプリント戦特有のスタートダッシュについていくのがやっとという感じでした。直線に入った時は後方圏外と思われたナリタブライアンでしたが、直線はやっとエンジンがかかったのか鋭い末脚を発揮し馬群を縫うように伸び、最後は4着と三冠馬としての面目を保ちました。
後に調教師の大久保正陽氏は「本当に強い馬は距離やコースを問わず勝てるはずだ」と言う信念のもと出走したと述べており、レース後には「盛り上がったでしょう」とコメントしています。
その出走にはいまだ賛否が分かれるでしょうが、スプリントG1になって最初の年だった高松宮記念と言うレースを競馬ファンに印象付けたのは事実だと思います。ナリタブライアンはスプリント路線の注目度を上げたと言えるのではないでしょうか。
ウマ娘でのナリタブライアンの育成では、高松宮記念があるシニア級3月後半に阪神大賞典が目標レースとして設定されているので出走させることは出来ませんが、「スプリンターズS制覇」を目指すことは可能です。チャレンジャーの方は目指してみてはいかがでしょうか。
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