エプソムカップってどんなレース?
1983年に日本ダービーが50回を迎えたのを機に、東京競馬場とイギリスダービーを開催するエプソム競馬場が姉妹競馬場として提携した際に記念植樹(東京競馬場からは桜が、エプソム競馬場からは柏が贈られた)とカップの交換を行い、1984年から東京競馬場で「エプソムカップ」を、エプソム競馬場では「The JRA Condition Stakes」が行われるようになりました。
創設時はハンデキャップ重賞で行われていましたが、1996年より別定戦で行われるようになりました。
エプソムカップを制した馬
エプソムカップはG3ですが、秋のG1戦線や翌年の競馬で活躍する馬を出しています。1991年のこのレースを制したプレクラスニーは同年の天皇賞・秋を制し、1996年の勝ち馬マーベラスサンデーは翌年の宝塚記念を制しています。
最近では2015年の優勝馬エイシンヒカリが同年の香港カップ、翌年のフランスG1レースイスパーン賞を制しました。
今年の主な出走馬
レイエンダ(牡5 美浦・藤沢和厩舎 57Kg ルメール騎手騎乗)
昨年のこのレースを制したレイエンダ。
勝てば、アメリカンボス(1999年、2000年)、マイネルアムンゼン(2003年、2004年)に続くエプソムカップ連覇が掛かっています。
父はキングカメハメハ。全兄に日本ダービー、天皇賞・秋を制したレイエンダがいます。母方の曾祖母ウインドインハーヘアはディープインパクト、ブラックタイドの母として知られています。
昨年のこのレースは好スタートを切って2番手を追走。スローペースの恩恵もあったかも知れませんが、ラスト600mのタイムはメンバー中最速の32.7秒をマーク。初の重賞タイトルを獲得しました。その後は富士ステークス2着、ダービー卿チャレンジトロフィー3着など重賞で結果を残しています。特にダービー卿チャレンジトロフィーは4コーナーで9番手から追い込み、勝ったクルーガーとは0.3秒差。昨年の様に前で競馬を進められれば、エプソムカップ連覇の可能性は十分にあります。
サトノアーサー(牡6 栗東・池江厩舎 56Kg レーン騎手騎乗)
一昨年のエプソムカップを制したサトノアーサー。
その後は毎日王冠6着後、約1年休養に入りましたが、復帰後はリステッド競走で2着や3着に入るなどコンスタントに活躍しています。
父はディープインパクト。母のキングスローズはニュージーランド1000ギニー(日本でいう桜花賞・G1・芝1600m)を制した活躍馬です。
東京芝1800mに限ると、3戦1勝3着1回と安定した戦績をあげています。唯一6着に敗れた毎日王冠でも、アエロリット、キセキ、ケイアイノーテックといったG1ホースが出走したなかでの0.6秒差と、健闘しています。また、重馬場の適性も、一昨年のエプソムカップの優勝や前走・都大路ステークスで0.1秒差の3着に入るなど、対応力を見せています。レーン騎手を配した点を考慮しても、約2年ぶりの勝利に向けて視界がひらけてきました。
アイスストーム(牡5 栗東・吉村厩舎 56Kg 武豊騎手騎乗)
同じ東京の芝1800mで行われたメイステークスを制したアイスストームは、初の重賞タイトル獲得を目指し出走します。
父のストーミングホームはイギリスG1レース・チャンピオンステークス(約2000m)などG1レースを3勝。母方の祖母のストームソングは現役時代にはブリーダーズカップジュヴェナイルフィリーズ(ダート約1700m)など、アメリカのG1レースを2勝しています。
東京芝1800mの戦績は3戦2勝3着1回と、サトノアーサーと同様に安定しています。
デビュー当初は芝2000m戦で2勝をあげていますが、オープンクラスに昇級後の戦績を見ると、現状のベストは芝1800mではないでしょうか。
不安点をあげるとすれば、稍重馬場になるとこれまで結果を残していないという点です。
ただ、2勝クラスでの13着は、函館競馬場という特殊な馬場に向かなかった、前々走の六甲ステークス(7着)は距離が芝1600mとこの馬にベストな条件ではなかった……と、それぞれに理由はつけられますし、参考外としても良いかもしれません。今回得意の東京芝1800mで、真価が問われます。
ピースワンパラディ(牡4 美浦・大竹厩舎 56Kg 津村騎手騎乗)
ここまで8戦4勝、2着2回、3着2回と安定した実績を残しているピースワンパラディ。
こちらも初の重賞タイトルを目指し出走します。
父のジャングルポケットは、現役時代に日本ダービーやジャパンカップを制した東京巧者です。母のクリアソウルは1勝に終わりましたが、4代母に当たるタレンティドガールはエリザベス女王杯を制した実績馬です。母の血統を辿ると、名門・千代田牧場が誇るワールドハヤブサにたどり着きます。
デビュー後2連勝して青葉賞では3番人気に支持され3着に入ったことのある素質馬です。良馬場ではラスト600mのタイムが32秒台を出せる一方で、不良馬場で行われたオリエンタル賞(2勝クラス)でも34.5秒の末脚が出せるなど、オールマイティーに活躍してきました。今回で2度目の重賞挑戦となりますが、今の充実ぶりから行けば単なる通過点にしか過ぎないかもしれません。
ここで強い競馬を見せてくれたら、秋競馬を盛り上げる存在として名乗りを上げることになるでしょう。
アンドラステ(牝4 栗東・中内田厩舎 54Kg 岩田望騎手騎乗)
底を見せていない馬といえば、6戦4勝2着1回3着1回のアンドラステ。
こちらは初の重賞競走出走となります。
父は牡馬三冠馬のオルフェーヴル。母のヴァリディオルは未勝利に終わりました。母方の祖母のヴァレラはドイツのG3レースユングハインリヒガベルシュタプラー賞(芝2200m)など重賞を2勝しています。
2戦目の1勝クラス(中京・芝1600m)では重馬場で1分33秒4の好タイムをマーク。
これは翌日の中京記念(G3)の優勝タイムより0.2秒速いものでした。
前走のパールステークスでは前半1000mが61.3秒とスローペース中で中団に待機。最後の600mのタイムを33.5秒と最速の脚を見せ、逃げ粘るナルハヤを交わしてのゴール。
本日行われるマーメイドステークスに出走せず、このレースを選んだあたり、陣営の本気度の高さ・自信の高さが伝わります。
その他では全7勝を東京芝コースで挙げているダイワキャグニー(牡6 美浦・菊沢厩舎 56Kg 内田騎手騎乗)、前走の新潟大賞典で2着に入ったアトミックフォース(牡4 美浦・武藤厩舎 56Kg 武藤騎手騎乗)、昨年のこのレース2着のサラキア(牝5 栗東・池添学厩舎 54Kg 石橋騎手騎乗)、3着のソーグリッタリング(牡6 栗東・池江厩舎 57Kg 藤井騎手騎乗)が出走します。