古馬牝馬戦線がスタート。明け4歳馬の本格参戦で、牝馬戦線がよりハイレベルに。
18日(土曜)には阪神競馬場で京都牝馬Sが行われます。いよいよ、古馬牝馬戦線がこのレースからスタートします。今年も京都競馬場の改修で阪神での開催になりますが、ここから中山・阪神・福島と牝馬重賞が続き、5月のヴィクトリアマイルへと向かう馬たちが揃っていきます。
その古馬牝馬路線の初戦である京都牝馬S。これまでの牝馬重賞を戦ってきた馬たちは勿論のこと、明け4歳馬や条件戦を勝ってきた馬たち、別路線から参入する馬たちなどが揃って、興味深いメンバー構成になりました。
今後の牝馬戦線を占う上で重要なレースになりましたし、新たな勢力図がここで出来る事でしょう。先につながるレースとして注目のレースと言えそうです。
京都牝馬S 有力馬紹介
ウォーターナビレラ - 阪神芝1400Mはベストのコース!武幸四郎厩舎&武豊騎手の名コンビ。
実力伯仲のメンバーですが、多くの注目が集まるのは同コースのファンタジーS勝ちがあるウォーターナビレラでしょう。
武幸四郎厩舎所属の同馬に武豊騎手が騎乗という点でも注目ですが、昨年の桜花賞はクビ差の2着という実力もポイントです。それ以降は結果が出ませんでしたが、おそらくは距離が長かったということでしょう。
同コースで行われたファンタジーSでは、後に函館SS・シルクロードSを勝ったナムラクレアに勝っているのですから、適性の高さは明らかです。加えて、阪神は速い時計が出る馬場なので、先行力がいきる状態とも言えます。次戦以降に適鞍があるかどうか…という点を考えても、ここでの勝負度合いが高いと言えるのではないでしょうか。変り身を期待したい1頭です。
ウインシャーロット - 対牡馬でも通用する先行力。1400Mがベスト条件か。
今の阪神が速い馬場で、先行力がいきそうな馬場という事であれば、安定した先行力と戦績を持つウインシャーロットも注目でしょう。(5,6,2,1)と14戦して新馬戦の4着以外は全て3着以内という超堅実派。
5走前は後にマイラーズカップを勝ったソウルラッシュの2着、4走前は後に毎日王冠で2着だったジャスティンカフェの2着と強豪を相手にしてきました。その後3勝クラス、リステッドと連勝し、前走のターコイズSではクビ差の2着と、牝馬重賞では明らかに力が上位と言える存在です。
戦績も脚質も安定度が高く、距離もおそらくベストでしょう。今回も3着以内の可能性が高いですし、戦ってきた相手を考えれば勝ち切る可能性も十分と言えるはず。実力的にも展開を考える上でも、中心すべき1頭です。
ミスニューヨーク - 牝馬同士なら実績上位。前が流れるなら末脚が光る。
21年、22年のターコイズSを連覇したミスニューヨークは、牝馬限定重賞では実績上位です。6歳になりましたがまだまだ元気。昨年暮れのターコイズSでは外から豪快に差し切りました。中山芝1600Mの適性を高さを示したとも言えますし、中京記念4着の結果からも他のコースでもマイルならある程度走れることを示しています。
『今回の阪神芝1400Mがどうか?』という面は確かにありますが、前が流れる展開になって、ゴール前に坂があるコースならば追い込みが届きやすいとも言えます。地力上位なのは確かですが、前半の流れに乗れるかどうかがポイントになるでしょう。
ロータスランド - 昨年は息子とのコンビで勝利。今年は父が騎乗で連覇を狙う。
今年も阪神開催という事で、昨年の覇者ロータスランドも当然勝ち負けを期待できるでしょう。
昨年のこのレースでは、岩田望騎手が嬉しい初重賞制覇。その後も、高松宮記念2着と大健闘でした。
ただ、渋った馬場が得意の同馬。今回は速い時計が出る良馬場の可能性が高いですし、ウインシャーロットやウォーターナビレラが先行するスピードについていけるかという点は気がかりです。
しかし、今回騎乗する岩田康騎手は同コースの阪急杯・スワンS・阪神カップと阪神芝1400Mの重賞を3勝したダイアトニックの鞍上でもありますから、その手腕を評価すべきでしょう。馬自身も先行、差しと器用に立ち回れる馬ですので、岩田康騎手と好相性ではないでしょうか。あっと言わせてもおかしくありません。
テンハッピーローズ - 阪神最後の騎乗となる福永騎手。最高のドラマを見せられるか。
今週が日本での最後の騎乗になる福永騎手。土曜が阪神、日曜が東京での騎乗になります。その土曜最後の騎乗である京都牝馬Sが、福永騎手やなとって最後の阪神での騎乗になります。
阪神芝1400Mの重賞がラスト騎乗という事で思い出されるのが、松永幹夫騎手(現調教師)が引退した日のことです。松永幹夫騎手は2006年2月に引退することになるのですが、2月26日の重賞である阪急杯を11番人気だったブルーショットガンで勝利、続く最終Rもフィールドルージュで勝利して1400勝を最後の最後で達成して引退しました。引退式で『今日1日は自分のところに競馬の神様が降りてきてくれたような気がします』と語った引退式は競馬界の名シーンの一つとして今もなお語り草になっています。
福永騎手は、もう少し騎乗する機会がありますが、阪神でのラスト騎乗という事であれば松永幹夫騎手と同様に重賞を勝ってほしいと願うファンも多い事でしょう。
騎乗するテンハッピーローズは、これまであげた4勝すべてが福永騎手での勝利。そのうち3勝が1400Mですし、阪神芝1400Mでの勝利もあります。2走前は牡馬混合のリステッド競走でも2着ですからここに入っても地力は足りていると言えます。実力伯仲の大混戦のレースで起こった『漫画のような劇的な勝利』を期待してもいいのではないでしょうか。
ララクリスティーヌ - 波乱の立役者。再度あの末脚を繰り出せるか。
阪神芝1400Mのコースは、昨年のスワンSと同じコースでもあります。そこで10番人気ながら2着だったララクリスティーヌも、無視できない存在と言えるでしょう。
デビュー2戦目の紅梅Sでは、後に安田記念を勝つソングラインの2着。その後は条件戦から勝ちを積み重ねてきました。4走前の雲雀Sでは後に1200MのOPを勝ったオパールシャルムに勝利。そして2走前のスワンSではダイアトニックの2着と健闘しています。前走は1600Mに距離延長しますが、差し比べを制して勝ち切りました。牡馬混合のリステッド競走を勝てる力があるので、力そのものはここでも上位でしょう。
牝馬限定戦ではありますが、対牡馬の重賞でも戦える、あるいは結果を残してきた馬が揃ったハイレベルなメンバー構成になりました。詳しく取り上げられませんでしたが他にもヴィルシーナの娘のディヴィーナ、昨年2着のスカイグルーヴ、昨年のフィリーズレビューを勝ったサブライムアンセムもいて、本当にどの馬が勝ってもおかしくありません。今後の古馬牝馬戦線の基準がこのレースで出来るのは間違いないでしょう。このレースの出走馬たちは、その後も注目していきたいところです。この記事が皆さんの参考になれば幸いです。
写真:かぼす