過去10年で2頭のダービー馬を輩出した出世レース!
今年も大物が出現か?
25日の阪神メインは毎日杯が行われます。
皐月賞トライアルではないので、毎年のように多くの有力馬が集まるわけではありませんが、13年の勝ち馬キズナ、21年の勝ち馬シャフリヤールと、2頭のダービー馬を輩出しています。
直線の長い阪神芝1800Mで切れ比べになりやすいメンバー構成になるからこそ、クラシック級の大物が現れる下地があるレースと言えます。
いまだ主役と言える馬がいない今年の3歳牡馬クラシック路線。
このレースからダービー馬が出てくる可能性もあるのではないでしょうか。
乗り変わりでも力を発揮できるか?
馬の真価が問われる一戦に。
今年の毎日杯は、有力騎手の乗り替わりが一つのポイントになるでしょうか。
有力馬に騎乗するルメール騎手はドバイ遠征。まだキャリアの少ない3歳馬たちが重賞の舞台で乗り替わっても力を出し切れるのかどうか、という点も注目です。
その一方で伏兵勢には、そのまま主戦騎手でこのレースに挑む馬もいます。馬の力を出し切れるという点でも大きいです。そこまで力の差がないのであれば、継続騎乗が好走の要因になる可能性がありそうです。
毎日杯 注目馬紹介
キングズレイン - 真価が問われる良血の大器。ここを勝てば文句なしにクラシックの主役へ!
多くの注目を集めるのが、ホープフルSで3着だったキングズレインです。
ホープフルSでは完全に前残り展開の中、後方から一番外を回って3着まで追い込んできました。
展開と距離ロスが大きい中で見せた脚は見せ場を作りましたし、一番強い競馬をしているとも言えます。
ホープフルSで2着のトップナイフは弥生賞ディープインパクト記念で2着、ホープフルSで4着のファントムシーフは共同通信杯で勝利と、ホープフルS組が年明けのレースで結果を出しています。
キングズレインは、そんな馬達に対して僅差の結果でしたし、むしろ競馬の内容としては一枚上の走りをしていたのですから、ここでは力上位の存在です。
渋った馬場がどうか、という点は不明ではありますが、母タッチングスピーチは重馬場で行われた京都記念で2着と結果を残していますし、母の母リッスンの産駒からは時計がかかる馬場を得意とする馬が多く出ています。
新馬戦では重馬場で3着という結果でしたが、まだ馬が未完成だったので参考外でしょう。
能力的には最上位、渋った馬場も血統から克服可能な裏付けもあります。
ここでは結果はもちろん、内容まで問われる一戦になりそうです。
オメガリッチマン - 京成杯2着は実力か、フロックか。真価が問われる一戦に。
大注目のキングズレインですが、そのライバル候補を探していきましょう。
判断が難しいところではありますが、実績的に2番手なのが、京成杯2着のオメガリッチマンです。
京成杯では9番人気と低評価でしたが、直線で勝ったソールオリエンスが膨れてできたスペースを通って2着まで浮上しました。ただ、恵まれた展開だったのは確かです。さらに癖馬でもあるので、展開やポジションによってはヨレたり、真っすぐ走れなかったりするリスクがあるでしょう。
時計のかかる馬場は向きそうですし、タフな馬場と展開で浮上してもおかしくない馬なのではないでしょうか。
ノッキングポイント - 乗り替わり、関西遠征、馬場状態…。多くの変化を乗り越えられるか?
能力の素質という点では、ノッキングポイントでしょう。
新馬戦では後にデイリー杯2歳Sを勝ったオールパルフェに勝利しています。
2戦目のサウジアラビアロイヤルカップでは断然の1番人気に推されましたが出遅れて、その後左右から挟まれて後方に。更にグラニットが大逃げという展開で、直線で伸びず4着までが限界でした。
さらに3戦目のジュニアカップでは2コーナーでぶつけられてスイッチが入ってしまって消耗してしまいました。
ただ、4戦目の1走クラスでは力を出しての勝利。2,3戦目で不利があったことを考えれば素質と能力は上位です。ただ、2勝はともにルメール騎手でのもの。ここで乗り替わってどうか、切れ味を発揮できる馬場・展開になるのか、という疑問があります。
自分の得意とする条件ではないと思いますが、重賞で1番人気に推された素質を発揮できるでしょうか。
ドットクルー - 前走は同コースで勝利。継続騎乗で経験がモノを言うか。
先週のフラワーカップでは前走で同コースを経験していたエミューが勝利したように、キャリアが少ない3歳馬にとって重賞と同じコースを経験しているのは大きな強みです。前走で毎日杯と同じ阪神芝1800Mを勝っているドットクルーは大きなアドバンテージを得ていると言っていいでしょう。
前走のアルメリア賞では前半1000Mが58秒5というHペースの展開でしたが、3~4コーナーで外を回って差し切りました。少頭数のレースだったとはいえ、ペースが速かったので後方からという競馬ができたのは収穫です。回りの馬の動きによって位置を変えてもしっかり走れる地力の高さの証明とも言えますし、騎乗した岩田望騎手と手が合っていると言えます。
父は現役時に渋った馬場で好走していたディーマジェスティなので、馬場状態への対応力は高そうです。メンバーの中で前走からの変化が一番少ない馬なのは確かです。あとは相手との力関係がどうか、というところでしょう。
フルメタルボディー - 芝でもダートでも。時計のかかる馬場で浮上を期待。
渋った馬場になった場合、芝・ダートどちらでも走れる馬が激走する可能性もあるかもしれません。
その条件に合いそうなのがフルメタルボディーです。
新馬戦では芝1400Mで2番手追走から押し切り、2戦目はダート1400Mで3着。この寒椿賞は後にダートの1勝クラスを勝つ馬が4頭も出たというハイレベルなレースでした。そこで3着ですからダート馬としての能力も相当と言えます。3戦目のジュニアカップでは勝ち馬には離されてしまいましたが、内々をしぶとく回って3着でした。このレースではここで人気のノッキングポイントより上位に入っていますし、そもそもリステッドで3着ですから実績的にも上位です。
血統的にも09年の京成杯AHを勝ったザレマの仔ですから良血ですし、マインドユアビスケッツ産駒はホウオウビスケッツがスプリングSで2着と結果を出しましたので血統的な勢いもあります。注目度はやや低いかもしれませんが、距離延長に対応できれば馬場を味方に好走するかもしれません。
キャリアの少ない3歳牡馬のレースですが、今回はかなり条件が変わってしまう馬が多く、馬そのものの地力や対応力が問われるレースになりました。上位人気馬が力通り走れば一気にクラシックの主役になる可能性もある一方で、上位人気馬が力を出し切れず大波乱の可能性もありそうです。非常に難解なレースですが、この記事が皆さんの参考になれば幸いです。
写真:かぼす、オルドリーバ