オークスってどんなレース?

オーク(Oak)は英語で樫(かし)を意味する言葉です。

イギリスダービーの創設者である第12代ダービー卿エドワード・スミス・スタンレーは、樫の森が茂るオークスと呼ばれる土地を所有していました。
1779年、彼はエリザベス・ハミルトンと結婚した際に、その記念として競馬を開催することを思い立ち、その中に夫人の希望を入れ、3 歳牝馬のレースを行い、これをオークスと名付けたと言われています。

日本の優駿牝馬(オークス)ってどんなレース?

1938年秋に3歳牝馬限定の「阪神優駿牝馬」を阪神競馬場(旧鳴尾競馬場)芝2700m戦で開催。
その後、第2回から第5回までは芝2450mで行われ、第6回では京都競馬場の芝2400m戦として行われました。

戦後の第7回(1946年)からは東京競馬場の芝2400mに移行し、レース名を「優駿牝馬」に変更。第14回(1953年)以降は現在の5月下旬に開催時期が移動しました。

「優駿牝馬(オークス)」と名付けられたのは、第26回(1964年)からになります。そして2003年からは外国産の牝馬にも出走権が付与されました。

優駿牝馬(オークス)を制した馬達

優駿牝馬(オークス)を親子制覇した馬は第6回(1943年)のクリフジと第15回(1954年)のヤマイチ、第44回(1983年)のダイナカールと第57回(1996年)のエアグルーヴと、今のところ2例しかありません。

第40回(1979年)を制したアグネスレディーは、1990年の桜花賞馬アグネスフローラを輩出。
アグネスフローラの子供にはアグネスフライト(2000年日本ダービー馬)とアグネスタキオン(2001年皐月賞馬)がいます。さらに種牡馬時代のアグネスタキオンは数多くの名馬(ダイワスカーレットなど)を出していて、アグネスレディーから数えると親子4代に渡ってG1レースを制した事になります。

今年の主な出走馬

デアリングタクト(牝3 栗東・杉山厩舎 55Kg 松山騎手騎乗)

桜花賞馬のデアリングタクトが無敗でオークス制覇に挑みます。

父のエピファネイアは現役時代、菊花賞とジャパンカップを制覇。エピファネイアの母、シーザリオは2005年(第66回)のオークスを制しています。母のデアリングバードは未勝利に終わりましたが、祖母のデアリングハートはクイーンステークスなど重賞2勝。2005年の桜花賞でも3着に健闘しました。 ちなみにこの時の2着馬は、父の母であるシーザリオでした。

ここで勝利すれば、1957年のミスオンワード以来となる無敗での牝馬二冠制覇となります。しかしその偉業達成に向けて、克服しなければならない課題もあります。その壁のひとつが「初めての関東遠征で馬体重・調子をどれだけ維持できるか?」という点でしょう。 初めての輸送をどうこなすかが、今回の大きなポイントとなります。

それでも、エルフィンステークス・桜花賞で見せた豪脚は、直線の長い東京競馬場では魅力です。桜花賞の勝ちっぷりから重馬場での適用も証明済み。53年ぶりの快挙に向けて充実一途を辿ります。

アブレイズ(牝3 栗東・池江厩舎 55Kg 藤井騎手騎乗)

無敗でのオークス制覇となると、フラワーカップを制したアブレイズの存在も侮れません。

父のキズナは現役時代に日本ダービーを制しています。また、母のエディンは現役時代4勝をあげました。母の父のジャングルポケットは東京競馬に強いトニービンの子供で、ジャングルポケット自身も日本ダービーやジャパンカップを制した実績を持ちます。

騎乗する藤井勘一郎騎手は小学校の時にテレビでフジキセキの弥生賞を見て騎手になるのを志したという経歴があるそうで、中学3年の時にはJRAの競馬学校の受験を考えましたが、体重が規定の43kgに落ちずに断念したそうです。そして15歳の時にオーストラリアで単身渡ると、その後、オーストラリア・シンガポール・マレーシア・韓国など13か国で騎乗しました。南関東の短期騎手免許を取得し、2018年にJRAの騎手免許を6度目の受験で合格。 2019年に35歳でデビューした苦労人です。

これまでのオークスを制した馬で、最も少ないキャリアで制したのは昨年のラヴズオンリーユーと2006年のカワカミプリンセスの「3戦」です。キャリア2戦でのオークス挑戦は厳しいものですが、持ち前の先行力を生かして、最少キャリアでのオークス制覇を狙います。

デゼル(牝3 栗東・友道厩舎 55Kg レーン騎手騎乗)

2戦2勝と言えば、スイートピーステークスを制したデゼル。こちらも無敗でのオークス制覇を狙う1頭です。

父のディープインパクトはこれまで4頭のオークス馬を輩出。母のアヴニールセルタンは現役時代フランスのG1レース・フランス1000ギニー(日本で言う桜花賞 芝・約1600m)とフランスオークス(芝・約2100m)と2勝を挙げています。母の父Le Havre(ルアーヴル)はルメール騎手とのコンビでフランスのG1レース・ジョッケクルブ賞(芝2100m)を制しました。産駒には昨年のフィリーズレビューを制したプールヴィルがいます。

後方からレースを進めるタイプで、過去2戦のラスト600m(上がり3ハロン)のタイムはメンバー中最速です。スイートピーステークスのラスト600mのタイムは32.5秒と、驚異的なタイムを出しています。2番目に速かった馬のタイムでも33.3秒でしたから、その差は歴然です。

スイートピーステークスを勝ってからのオークス制覇は2006年のカワカミプリンセス以来ありませんが、底知れぬ瞬発力でデアリングタクトの前に立ちはだかります。

ミヤマザクラ(牝3 栗東・藤原英厩舎 55Kg 武豊騎手騎乗)

桜花賞組から逆転を狙う1頭が、桜花賞5着のミヤマザクラ。

父はディープインパクト。母のミスパスカリは現役時代3勝挙げました。父ディープインパクト×母ミスパスカリという血統からは、スプリングステークスを制したマウントロブソン、菊花賞3着のポポカペトル、現在オープンクラスで活躍しているボスジラなど、活躍馬が多く登場しています。また母方の祖母ブルーアヴェニューからはクロフネ(NHKマイルカップなどG1レース2勝)が輩出されている大物感のある血統です。

クイーンカップ(芝1600m)を制していますが、マイル以外での好走歴もあり、芝2000mの京都2歳ステークスでは日本ダービーに出走予定のマイラプソディを相手に0.3秒差の2着と健闘しています。今回のメンバーの中で、芝2000m以上のオープンレースで実績を残している数少ない馬です。 オークス3勝の武豊騎手がどのようにミヤマザクラを勝利に導こうとするのか、楽しみな1頭です。

ウインマリリン(牝3 美浦・手塚厩舎 55Kg 横山典騎手騎乗)

オークストライアル・フローラステークスをレースレコードの1分58秒7で制したウインマリリンの存在も侮れません。

父のスクリーンヒーローは現役時代、ジャパンカップを制覇。種牡馬としても天皇賞・秋を制したモーリス、有馬記念を制したゴールドアクターといった活躍馬を出しています。また、母のコスモチェーロからはラジオNIKKEI賞を制したウインマーレライ(父はマツリダゴッホ)をはじめコンスタントに活躍馬が登場しています。

主戦の横山武史騎手が騎乗停止のため、父である横山典弘騎手が騎乗します。横山典弘騎手とフローラステークス優勝馬とのコンビと言えば、2010年の勝ち馬サンテミリオン(この年はアパパネと同着優勝)が思い浮かびます。それ以降はフローラステークスの勝ち馬からオークス制覇を成し遂げた馬はいません。 サンテミリオンから10年、横山典弘騎手がどんな手綱捌きを見せるのかにも注目です。


その他では、桜花賞3着のスマイルカナ(牝3 美浦・高橋祥厩舎 55Kg 柴田大騎手騎乗)、桜花賞4着のクラヴァシュドール(栗東・中内田厩舎 55Kg デムーロ騎手騎乗)が出走します。
また昨年の優勝馬、ラヴズオンリーユーが勝った忘れな草賞を今年勝ったウインマイティ―(牝3 栗東・五十嵐厩舎 55Kg 和田騎手騎乗)も優勝を狙う1頭です。

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