[インタビュー]馬事文化を広めたい!桜花のキセキ・成瀬琴さん独占インタビュー

馬事文化応援アイドル「桜花のキセキ」。
競馬場でのイベントや競馬メディアなどで見かけた事のある人も少なくないだろう。
乗馬レッスンや流鏑馬、引退馬支援など、その活動は多岐にわたる。流鏑馬で新人戦3位になったメンバー、競馬メディアで調教推奨馬を紹介しているメンバーなど多彩な顔ぶれで、多くの競馬ファンから支持される存在へと上り詰めた。
今回は、2020年6月に加入したメンバーである成瀬琴さんにお話を伺ってきた。

「ゼンノロブロイをみて、競走馬ってカッコいいなって」

屈託のない笑顔に、気品ある立ち振る舞い。
姿勢の良さからも伝わってくる爽やかさ。
まさにアイドルといった印象を受けるが、どうして彼女は、あえて「馬事文化応援アイドル」になったのだろうか?

「小さい頃から大の動物好きでした! 中でも馬が特に好きで。だから馬事文化応援アイドル『桜花のキセキ』の存在を知ったとき、私にはこれしかないな……と(笑) 新メンバーとして加入が決まった時は『やった!!!』と、思わずガッツポーズでした」

成瀬さんは、競馬ファン顔負けとも言える生粋の「馬好き」アイドルだ。
その馬への愛情は、一朝一夕には築き上げられない深さを感じられる。

彼女が馬好き・動物好きに育ったきっかけのひとつは、彼女の家族にある。
馬に関わる仕事をしている父をはじめ、馬好きの家族に囲まれて育ったことで、子供の頃から馬と接する機会が人一倍多かったのだ。小学生の頃からポニーに乗ったりエサやりをしてきたという彼女に、競馬場デビューの日はいつかと尋ねると「お母さんのお腹にいた頃からですね(笑)」という答えが返ってくる。

「1番通っていたのは東京競馬場でした。でもおじいちゃんおばあちゃんに連れられて中山競馬場に遊びに行っていたのも楽しい思い出として残っています。特にパドックで馬を見るのが好きでした!」

そんな成瀬さんの印象に残っている馬は、ゼンノロブロイ。
ゼンノロブロイといえば、天皇賞秋・ジャパンC・有馬記念と3連勝を達成した実力馬だ。種牡馬としてもオークス馬サンテミリオン・JDD馬マグニフィカをはじめ、ペルーサやタンタアレグリア、メートルダールといった個性豊かな人気馬を送り出している。

「それまでは、馬といえば『可愛い!』というイメージが強かったんです。でもゼンノロブロイの活躍を見て、幼いながら『競走馬ってカッコいいんだな!』と感じるようになりました。そこからさらに馬の魅力に引き込まれていきましたね。ゼンノロブロイがイギリス遠征したときには、家族で応援しに行きました(笑)今でもゼンノロブロイの血が流れている馬が走っているのを見つけると、嬉しい気持ちになります!」

担当馬との死別をきっかけに、馬業界を目指すように

趣味のひとつに乗馬をあげている成瀬さん。
乗馬ライセンスの3級も持っているが、高校時代には障害の練習中に落馬してしまったことがあったそうだ。それでも、馬そのものが怖くなることはなかったのだという。

「大学に入学してからは馬術部に入ってマネージャーをやっていました。弟が馬術の選手というのもあるのかもしれませんが、ずっと馬に関わっていたかったという気持ちも大きかったと思います。馬のお世話が楽しかったので、大学在学中は部活しかやっていませんでした(笑)」

さらには、部活の延長線上でホースセラピーにも関わっていたというほどの熱の入れようだ。
イベントなどでも自らの手足を動かしながらの活躍だったようで、その当時のことを「ニンジンを何百本切ったかわかりませんね……(笑)」と振り返る。
子供たちや障がい者の方々を相手に、エサやり体験やひき馬のお手伝いをしてきたことで「馬は、人を笑顔にする力を持っている」と感じたのだという。

「馬にニンジンをあげているだけで人が笑顔になるのを目の当たりにして、馬が持つ不思議なチカラを強く感じました。馬って『綺麗』と『可愛い』と『カッコいい』を兼ね備えていると思うんです! そして見た目の素敵さだけでなく、それぞれの個性の豊かさも魅力です。なんだか馬って、性格とかも人間味があると思うんですよね」

馬術部の楽しかった思い出は、遠征の際に馬と長時間かけて移動したこと。大学時代の思い出を振り返るのにも、馬は欠かせない要素になっている。
そんな彼女だが、大学の馬術部時代には馬との別れも経験した。
部活に入ってから「1番好きで、1番多く接していた馬」が、放牧先の怪我で安楽死の措置が取られてしまったのだ。

「元々、歩様が悪くなっているというという理由で放牧に出すことになっていたんです。だから放牧地に送り出すときにも、思うところがあって……。馬運車に乗せるとき、もしかしたらもう2度と会えないんじゃないか、これが最後なんじゃないかと思ってしまうと、とてもつらかったです。そしてそれが現実に……。『その馬と関わっていられるうちに、最大限に愛情を込めて面倒を見るべき!』ということを強く思うようになりました。その経験をキッカケに、馬と関わる業界に携わりたいと思うようになりました」

予想精度をあげるため、パドック派からデータ派へ!

「小さい頃は『誘導馬のお姉さんになってみたいな〜』なんて思っていたんですよね(笑) アイドルになったのも、子供の頃からアイドルを目指していたわけではなく、やりたいことを考えていった時に浮かび上がったのが『桜花のキセキ』だったんです。バレエを15年間やっていたので踊りはもともと好きでしたし、まさに天職ではないかと運命的なものを感じました!」

合格したのは2020年3月で、本来は4月にデビューする予定だった。しかしコロナ禍により、デビューを6月に遅らせることを余儀無くされる。
お披露目ライブも無観客と、少なからずコロナの影響を受けた。
それでも成瀬さんは、ひとつひとつ目の前のイベントをこなしている。

「初めてのライブは無観客でしたから、カメラが回るまでの待ち時間が1番緊張しました。踊り始めると楽しくなって緊張も吹き飛びましたよ! あとは一日も早く、トークショーやライブでファンの方々と直接お会いしてみたいです!」

そんな彼女が今取り組んでいるのは「予想の勉強」だ。
競馬メディアで予想を披露しているものの、なかなか苦戦しているのだとか。

「動画で予想を披露しているんですけど、喋り方からして下手くそで……。もちろん予想自体も難しいなって痛感しています。桜花のキセキ加入前は、パドックで気に入った馬を応援しよう、くらいのスタンスだったんですが、今は無責任なことができる立場ではないので予想関連の本を色々読んで勉強しています! まずは的中率を高めていきたいですね」

予想するにあたって、それまでのパドック派から「ローテ重視派」「データ派」へと切り替えた。過去10年分の馬券圏内にきた馬の前走などを調べ、なるべく完成度の高い予想が出来るように時間を惜しみなく使う。1番当てたいレースを尋ねると「毎週末のレースです」という答えが返ってきたことからも、やる気がうかがえる。

「最近すごいなと思ったのは、クロノジェネシスです。宝塚記念の勝ちっぷりは感激しました! 牝馬が牡馬を撃破するレースは結構好きですね。自分が女子だからか、桜花賞・オークスは女の子ばかりで特別感もあって好きです!」

もともとの馬への愛情に加えて、競馬への興味も十分な成瀬さん。
ブレイクに向けて、注目し続けたい逸材だ。
アイドルとしてスタートを切った彼女の未来には、大きな可能性が広がっている。

「これからはホースセラピーや乗馬はもちろん、たくさんのことに挑戦してみたいです! 来年は東京オリンピックで馬術競技もありますので、桜花のキセキとしても関わっていきたいと思っていますし、日本の在来馬にも興味ありますね。馬に興味がなかった人にも『桜花のキセキ』を通じて馬事文化に触れ合って欲しいです。まだまだ勉強中の身ではありますが、みなさんと一緒に競馬を楽しめたらと思います! 毎週の予想配信やTwitterでの活動を通じて、競馬の楽しさをアピールしていきたいです。応援、よろしくお願いします!」

写真:三木俊幸

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