近5年間の募集馬だけでも9頭のGⅠ馬を輩出している名門サンデーレーシング。

  • ラッキーライラック(阪神JF・エリザベス女王杯・大阪杯)
  • アルアイン(皐月賞・大阪杯)
  • アエロリット(NHKマイルC)
  • フィエールマン(菊花賞・天皇賞春)
  • クロノジェネシス(秋華賞)
  • ステルヴィオ(マイルCS)
  • グランアレグリア(桜花賞)
  • メジャーエンブレム(阪神JF・NHKマイルC)
  • タイムフライヤー(ホープフルS)

わずか5年間でこれだけの成績をあげ、フィエールマンを除く8頭はPOG期間に重賞制覇をあげているのですから驚く限りです。実にGⅠ勝ち馬を含む重賞馬は22頭にものぼります。
まさにPOGにおいても「絶対に無視する事が出来ない」一口馬主クラブと呼べるでしょう。

近5年以内にノーザンファームで生産されJRAで出走したディープインパクト産駒・224頭のうち180頭が勝ち上がり、GⅠ馬11頭・14頭の重賞馬が誕生しています。勝ち上がり率は80.4%。驚異的な数字です。
さらにはサンデーレーシング所属馬に絞り込むと、43頭中37頭が勝ち上がっています。勝ち上がり率86.0%、現状勝ち上がれていないのは6頭のみという結果です。

今回はこの前編でディープインパクト産駒に絞って4頭を紹介し、次回の後編で他産駒の4頭を取り上げたいと思います。


クイーンズキトゥン

父:ディープインパクト
母:ステファニーズキトゥン
母父:Kitten's Joy
藤沢和雄厩舎 (美浦)
2018年2月17日生まれ
牡馬・募集額8,000万円
母9歳時の出産で2連産目(第2仔)

米国にてブリーダーズカップ・フィリー&メアターフを含むGⅠ制覇5勝の名牝・ステファニーズキトゥンと日本の至宝ディープインパクトとの間に生まれたクイーンズキトゥンにまずは注目ください。日本での父ディープインパクト×母父Kitten's Joyの組み合わせは過去に3頭いて、そのうち2頭が新馬勝ちをおさめています。
同配合のルヴォルグが一口馬主クラブのワラウカドから募集され人気しましたので、この配合か記憶にある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

管理するのは近5年間で9頭を預託され8頭を勝ち上がらせている名伯楽・藤沢和雄調教師です。しかもただ勝ち上がっているだけでなく、グランアレグリア(桜花賞)、チェッキーノ(フローラS、オークス2着)、ロックディスタウン(札幌2歳S)などPOG期間で重賞・G1級の結果を出しているのが特徴です。
決して馬に無理をさせる厩舎ではありませんので、「一戦必勝タイプ」として考えていたほうが良いかもしれません。

馬体を見ると「まさにディープインパクト産駒だなぁ」と溜め息がでそうになるほどの好馬体です。
2月までは「まだまだ発展途上かな?」という印象でしたが、そこからどんどん良化し、4月のあたりでは弾むような走り方に変わってきました。
秋口から始動し、クラシックを意識できる1頭ではないでしょうか。

シャフリヤール

父:ディープインパクト
母:ドバイマジェスティ
母父:Essence of Dubai
藤原英昭厩舎 (栗東) 
2018年4月13日生まれ
牡馬・募集額1億2,000万円
母13歳時の出産で2連産目(第6仔)

続いては、米国で12勝をあげBCフィリー&メアスプリントを制し、2010年の米国牝馬チャンピオンスプリンターに輝いたドバイマジェスティを母に持つシャフリヤールです。

まずは、これまでデビューした兄姉を振り返りましょう。

  • 2012 ゴールドエッセンス(牝馬:父キングカメハメハ)24戦3勝
  • 2014 アルアイン(牡馬:父ディープインパクト)20戦5勝 GⅠ皐月賞・大阪杯
  • 2015 ダノンマジェスティ(牡馬:父ディープインパクト)5戦3勝
  • 2017 ヒメノカリス(牝馬:父ディープインパクト)2戦1勝

サンデーレーシングの活躍馬は、この様に「兄姉が堅実に勝ち上がり複数勝利をあげる一族」から登場するケースが非常に多いです。血が成せる業というべき事なのでしょう。

また、サンデーレーシングで募集額1億2,000万円以上の場合、近5年間では過去15頭中14頭がPOG期間内に勝ち上がりを果たしています。しかし意外なことに過去25年を振り返ってもこの価格帯からPOG期間に重賞制覇を果たした馬がでていないのですが、今回そうした傾向が切り替わるタイミングになる可能性があるかと思います。

管理する藤原英昭厩舎は、近5年間で3頭の預託で2頭が複数勝利あげています。エイシンフラッシュでのダービー制覇やエポカドーロでの皐月賞制覇など、クラシック実績があるというのも心強いです。

馬体や動画を見ても父ディープインパクトの柔軟さを引き継いだ素軽そうな動きには好感が持てます。現状ではじっくりと乗り込みを行い夏の北海道へ入厩の後、クラシックを逆算したレース選択になっていくのではと睨んでいます。超高額馬に見合った活躍が期待されます。

トレデマンド

父:ディープインパクト
母:コンドコマンド
母父:Tiz Wonderful
松永幹夫厩舎 (栗東)
2018年1月24日生まれ
牝馬・募集額7,000万円
母6歳時の出産で2連産目(第2仔)

米国にてデビュー戦で12馬身差をつけ圧勝した28日後にGⅠスピナウェイSに挑戦し、出遅れながら後続に13馬身半差をつけて優勝する快速ぶりを見せつけ、合計重賞3勝をあげたコンドコマンドの第2仔になります。8戦5勝の現役時代、2着につけた着差の合計は約44馬身ですから、いかに快速を誇ったかが分かります。

全兄アルジャンナはデビュー勝ちをおさめた後、東京スポーツ杯2歳S2着、きさらぎ賞3着、毎日杯2着と勝ち切れはしないものの能力の高さを披露してくれています。

管理する松永幹夫厩舎は、近5年でサンデーレーシングから4頭預託され2頭が勝ち上がりを果たしています。代表馬は阪神JF・エリザベス女王杯・大阪杯の覇者、ラッキーライラックです。
積極的な上位騎手の起用であったり、クラブ馬の扱い方も慣れている点にも期待が高まります。

カタログの段階から抜群の存在感を放ち、クラブの動画でもデビュー前の新馬とは思えないほどの迫力が見て取れます。関係者のコメントも上々で、兄同様に重賞戦線を沸かせてくれる存在になってくれるのではないでしょうか。

ディーコンセンテス

父:ディープインパクト
母:スウィートリーズン
母父:Street Sense
高野友和厩舎 (栗東)
2018年2月19日生まれ
牝馬・募集額7,000万円
母7歳時の出産で2連産目(第2仔)

母は、米国にて2歳時にスピナウェイS、3歳時に好メンバーの揃うエイコーンS、さらにテストSと、GⅠを3勝したスウィートリーズンです。奇しくも先ほどご紹介したトレデマンドの母・コンドコマンドの勝利したスピナウェイSの、前年の勝ち馬です。

父ディープインパクト×母父Street Senseの産駒はJRAでは3頭中2頭が勝ち上がり、全兄のディアスティマはデビュー勝ちの後に京成杯3着になっています。兄は切れる脚というよりもスタミナを活かし前団につけ、長い脚で勝負する競馬をしていますが、ディーコンセンテスはどうでしょうか。

管理する高野友和厩舎は、近5年でサンデーレーシング最大の16頭の預託をされているエース厩舎です。16頭中10頭が勝ち上がりを果たしています。
フラワーCを優勝し牝馬ながら皐月賞で1番人気になったファンディーナやフィリーズレビューを制したリバティハイツなど、クラブ馬でクラシックを賑わせたことも記憶に新しく、厩舎のあげた重賞11勝のうち9勝をディープインパクト産駒・キングカメハメハ産駒で制しているといったデータもあります。
元々ノーザンファーム空港に勤務していたという経験を活かし、さらなる飛躍が期待される厩舎です。

馬体を見ると全兄・ディアスティマとは違った雰囲気で、切れ味で勝負するタイプに感じられます。
それは動画を見ても裏付けられていて、スピードタイプで桜花賞を意識したい一頭だと感じました。
あとはこの記事を書いている段階での408kgという馬体が、どこまで大きくなってくれるか……という点がポイントになりそうです。


以上、高橋楓が選ぶサンデーレーシング・ディープインパクト産駒からピックアップした期待の4頭です。

奇しくも全馬が米国のGⅠ馬からの選出となりました。
正直言いまして、そこを最初から意識して選出したわけではなく、記事を書いていく途中で「あれっ」と気づいた次第です。
裏を返せばノーザンファームが意識的にブリーダーズカップ好走馬やスピナウェイS優勝馬など、明確なコンセプトを持って米国から有力繁殖を輸入してきた事の証明になったのではないでしょうか。
当面の間、サンデーレーシング×ノーザンファーム×米国GⅠ実績のある母馬には要注目です!

この記事が皆様のPOG戦略のお役に立てれば幸いです。

※記事内のクラブの名称はクラブ法人名を使用しています。
※記事内の数字は2020年5月1日現在になります。
※記事内の写真は募集カタログの写真になります。

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