[POG2020-2021]注目馬紹介~一口クラブ・東京サラブレッドクラブ編~

例年、高い勝ち上がり率を誇る通称「東サラ」こと東京サラブレッドクラブ。
今回はその「東サラ」所属の2020-2021年度POGにおける注目馬をピックアップしたいと思います。
いつもは馬主名義であるクラブ法人名を利用するのですが、このクラブの場合は愛馬会法人名である東京サラブレッドクラブが浸透しすぎているため、あえて「東サラ」と呼ばせて頂きます。

東サラの最大の特徴は、バイヤー系という強みを活かして色々なタイプの募集馬を募っている点、そして近5年間での勝ち上がり率が50.6%とハイアベレージをキープしている点があげられます。中でもノーザンファーム生産の募集馬に至っては勝ち上がり率67.3%という数字を叩き出しています。
全一口馬主クラブの平均が41.2%、例年競馬場までたどり着くことができたサラブレッドの平均勝ち上がり率が30%~35%と言われているのですから、いかに高い数値かお分かり頂けると思います。

そんな東サラの中で、POG向きに注目したい4頭をご紹介していきます。


レッドベルオーブ

父:ディープインパクト
母:レッドファンタジア
母父:Unbridled's Song
生産牧場:ノーザンファーム
藤原英昭厩舎(栗東)
2018年4月5日生まれ
牡馬・募集額8,000万円
母8歳時の出産で4連産目(第4仔)

現在の東サラ軍団を牽引する名繁殖牝馬・レッドファンタジアの仔が、今年もクラブから募集されました。ここまで全てディープインパクトが配合され、

  • レッドベルローズ(牝馬・2015年産)[3-1-4-6]
  • レッドベルディエス(牝馬・2016年産)[3-1-0-4]
  • レッドベルジュール(牡馬・2017年産)[2-0-0-1]2019年デイリー杯2歳S優勝

と、堅実な走りをしてくれています。
2017年に亡くなったエリモピクシーは産駒9頭で37勝をあげ、そのうち4頭が重賞制覇を達成するという名繁殖牝馬でしたが、次はレッドファンタジアがその歴史を作ってくれる気がしてなりません。
競走成績こそ未勝利で終了してしまいましたが、Unbridled's Songの血が繁殖となりうまく作用しているようです。父ディープインパクト×母父Unbridled's Songの配合は言わずと知れたスーパー配合の一つです。20頭がJRAでデビューし18頭が勝ち上がり、90%の勝ち上がり率を記録。主な代表馬は2020年無敗の皐月賞馬コントレイル、2014朝日杯FS優勝馬のダノンプラチナと大物も登場しています。実に確実性の高い配合と言えるのではないでしょうか。

管理する藤原英昭厩舎は近5年間で4頭の預託ではありますが、オープンクラスまで成長したレッドオルガ、オークス4着レッドサクヤ、そしてGⅡ勝ちのレッドベルジュールの3頭が勝ち上がっている厩舎です。POGファンからも信頼度の高い名門厩舎ですから、安心して指名できると のではないでしょうか。

すでに5月7日にゲート試験を合格し現在はノーザンファームしがらきで調整中です。馬体や調教の動画を見ても、やはりこの血統通りスピード感のある走りを披露しています。また、クラブ公式の公開近況でも書かれていますが、全兄が喉鳴りを発症した事もあり検査を実施し、そのタイミングでは異常なしという事も確認が取れています。東サラの次期エースとして、兄の走れなかったクラシックへと進んで欲しい逸材です。

レッドジェネシス

父:ディープインパクト
母:リュズキナ
母父:Storm Cat
生産牧場:ノーザンファーム
2018年3月17日生まれ
友道康夫厩舎(栗東)
牡馬・募集額7,000万円
母8歳時の出産で2連産目(第5仔)

愛国GⅢ勝馬ラッキーと大種牡馬Storm Catの間に産まれたリュズキナは、伯父には英2000ギニー等の勝馬キングオブキングスをはじめ重賞活躍馬がずらりと並ぶ愛国の良血馬です。レースには出走する事無く豪で繁殖生活に入り、その後日本へ渡りました。その日本での初めての産駒・イルブリオは右目に角膜内皮炎によりJRAでは出走する事が出来ない「失明」の診断を下されてしまいます。それでも競走馬として生まれたからには競馬場を走らせたいという関係者の思いで、イルブリオの眼でもレースに出走可能な仏国に渡っています。そしてその全弟が、このレッドジェネシスとなります。

父ディープインパクト×母父Storm Catも、日本を代表する好配合の一つです。JRAデビュー59頭中39頭が勝ち上がり(66.1%)で、9頭が重賞馬です。キズナ(2013年ダービー)サトノアラジン(2017年安田記念)、ラキシス(2014年エリザベス女王杯)、ラヴズオンリーユー(2019年オークス)、アユサン(2013年桜花賞)、リアルスティール(2016年ドバイターフ)、エイシンヒカリ(2015年香港C、2016年仏イスパーン賞)と、活躍馬が多数います。

管理する友道康夫厩舎は近5年で4頭がデビューし2頭が勝ち上がっています。言わずと知れた名門厩舎で、ここまでGⅠ制覇12勝をはじめ重賞を43勝しています。クラブ馬では重賞5勝にとどまっていますが、デゼルをはじめ、クラシックの舞台にはあげていますので今後に期待です。

本馬は4月24日の段階でゲート試験をクリアし、ノーザンファームしがらきで調整をしています。1歳の調教の段階から、「父譲り」というワードが何度もでてきた期待の一頭です。日本でデビューできなかった全兄の分まで、競馬場を元気に駆ける姿を期待したいと思います。

ルージュアリュール

父:ディープインパクト
母:ジョリージョコンド
母父:Marju
生産牧場:ノーザンファーム
2018年5月7日生まれ
松永幹夫厩舎(栗東)
牝馬・募集額5,000万円
母10歳時の出産で4連産目(第4仔)

今年から東京サラブレッドクラブは、牝馬のみ、冠名が「レッド」から「ルージュ」に変更となりました。ブエナビスタと幾度となく名勝負を繰り広げたレッドディザイアなど印象に残っていた冠なだけに少し寂しいですが、「ルージュ」が新しい歴史を作ってくれる事を期待しています。

母ジョリージョコンドは愛国にてGⅢ3着など[1-4-1-4]の成績で繁殖に入ります。1歳下の全妹ライトニングパールは英国GⅠ馬、4歳下の全弟は2016香港ヴァーズ、2017宝塚記念を制したサトノクラウンがいる名門ファミリーの出身です。ここまで3頭がJRAでデビューし、

  • ファストアプローチ(騙馬・2015年産)平地[3-3-0-10]障害[0-0-0-1]2017年札幌2歳S 2着
  • シークレットアイズ(牝馬・2016年産・全姉)[0-0-1-5]
  • メリディアンローグ(牡馬・2017年産・全姉)[1-1-3-1]

という成績を残しています。ディープインパクト産駒の2頭のデビューが遅れた事が気がかりではありますが、総じて良血馬らしい走りはできているでしょう。

今回管理するのはレッドディザイアの松永幹夫厩舎。近5年は7頭預託で2頭の勝ち上がりのみにとどまっていますが、意外な事に東サラから松永幹夫厩舎に預けられた『ノーザンファーム生産馬』となると、20戦3勝で引退したレッドアーヴィングのみになっています。今回掴んだ機会で、奮起が期待されます。

本馬に関しては、スピード感ある走りが出来る事は調教動画等でも確認出来ましたので、あとは5月15日現在411kgとなっている小柄な馬体がどこまで成長できるかがカギになりそうです。


ここまで、「ディープインパクト産駒×ノーザンファーム生産」馬を3頭ご紹介致しました。なぜここまでこだわったかというと、近10年間でこの組み合わせは14頭がデビューし14頭全馬がJRAで勝利をあげている組み合わせだからです。

そのうち8頭は新馬勝ちを果たし、11頭は重賞にも出走しました。新馬勝ち率が57.1%という数字は、一口馬主やPOGに馴染みがある方ならば、どれほど凄い数字かお分かり頂けると思います。
昨年はレッドベルジュールがデイリー杯を制しています。東サラにおいて、この組み合わせは要注目になっています。


しかし、それだけを特集しても面白みがありませんので、もう一頭ディープインパクト産駒以外から取り上げたいと思います。

レッドソルダード

父:マジェスティックウォリアー
母:レッドソンブレロ
母父:キングカメハメハ
生産牧場:ノーザンファーム
2018年5月2日生まれ
須貝尚介厩舎(栗東)
牡馬・募集額1,800万円
母6歳時の出産で3連産目(第3仔)

母レッドソンブレロは偉大なる『スカーレットレディ一族』の血を引く良血馬です。
スカーレットレディは産駒14頭で通算勝利数50勝をあげ、そのうち4頭で重賞21勝をあげています。代表産駒はGⅠを9勝したヴァーミリアンで、重賞制覇馬もサカラート、キングスエンブレム、ソリタリーキングと名だたる活躍馬が並ぶ、歴史的名繁殖牝馬です。
母レッドソンブレロは未出走で繁殖生活に入りますが、初子レッドパラス[1-1-0-8]第2仔レッドブロンクス[1-1-1-4]と勝ち上がっているのは、その血が成せる業ではないでしょうか。

管理する須貝尚介厩舎は近5年間で3頭のみの預託で、勝ち上がりはレッドエンヴィー1頭です。しかし元々、極端に多くのクラブ馬を預かる厩舎でもありませんし、東サラとはレッドリヴェールでGⅠ制覇、そしてダービー挑戦をした間柄でもありますので、気にしすぎる事はないでしょう。

半兄レッドブロンクスは仕上がりは早いタイプで、POG期間だけで[1-1-1-4]の成績でしたが、本馬レッドソルダードも負けじと順調な仕上がりを見せています。3月27日にはすでにゲート試験を合格し、ノーザンファームしがらきにて、じっくりと乗り込みを行っています。父マジェスティックウォリアーですから芝、ダート問わずの活躍が期待できそうです。


以上、高橋楓が選ぶGⅠレーシングの期待の4頭です。
昨年同様に今年も東京サラブレッドクラブからは堅実かつ楽しめそうな募集馬が多数募られました。
特に「東サラ×ノーザンF生産」は要注意です。POGの戦略上、どこかで入れてみるのはいかがでしょうか。

この記事が皆様のPOG戦略のお役に立てれば幸いです。 

※記事内のクラブの名称は愛馬会法人名を使用しています。
※記事内の数字は2020年5月27日現在です。
※記事内の写真はクラブ募集時の写真となっています。

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