競馬は6月から新年度! 2019年生まれの2歳馬たちの新馬戦が始まりました。
今週から土日新馬戦の回顧を連載します。勝った馬を中心に取り上げますが、次戦以降に巻き返しの可能性がありそうな素質馬もどんどん取り上げていきますので、ぜひご覧下さいませ。
今回は6月5日の東西新馬戦を取り上げます。
東京5R 芝1600m コマンドライン 美浦:国枝厩舎
東の1番星はコマンドライン。
単勝人気は1.1倍と断然の支持を集めていました。
コマンドラインは父ディープインパクト、母コンドコマンドの牡馬。全兄には今週末のエプソムカップに参戦するアルジャンナがいます。
500キロ台の雄大な馬格の持ち主で、国枝厩舎の牡馬クラシック候補としてデビュー前から注目されておりました。
レース概況
最内のフェスティヴボスと大外のエレクトロワールド、そしてコマンドラインの3頭が好発進を決めました。
エレクトロワールドがハナを切ろうとしますが、コンクパールの二の脚が早く、後続との差を離して逃げます。
コマンドラインは先行する馬たちの後ろに入れて4~5番手の競馬を選択し、折り合いよく進めます。
直線に入り、逃げを打ったコンクパールが手ごたえを残してラストスパートへ。
先行各馬が手ごたえ一杯になる中、コマンドラインは末脚を繰り出すため、外にでる安全策。残り300mあたりからルメール騎手の鞭が入ります。
1発目ではまだ反応が鈍かったコマンドラインですが、2発、3発と入るにつれ加速し、コンクパールを残り100m付近で捉えると3馬身離してゴールイン。逃げたコンクパールが2着、先行して直線で盛り返したフェスティブボスが3着、エレクトロワールドは残り300mあたりでばてて6着でした。
勝馬・注目馬短評
勝馬:コマンドライン
戦前の評判に違わぬ走りで順当に新馬勝ちとなりました。
新馬戦からかかりそうな気配のあった全兄アルジャンナに比べて気は良さそうで、折り合いの問題もないように見えます。加速に少し時間がかかるようですが、スピードに乗れば長くいい脚を使えそうなので、距離は1800mや2000mでも問題なく走れそうです。
サンデーレーシングのクラブ馬なので、クラシックに向けて夏は英気を養い、秋の東京開催で復帰するのではないでしょうか。兄の勝てなかった東京スポーツ杯2歳ステークスで見たいですね。
注目馬:コンクパール
コンクパールはアメリカンファラオ産駒の外国産馬です。スタートを五分に出てからの二の脚が早く、すぐに好スタートを切ったフェスティブボス、エレクトロワールドに追いつきます。
追いついたところでスイッチが入ってしまい、一気に逃げに出てしまい、コマンドラインの格好の的にされてしまいましたが、3着馬を2馬身離して粘り込んでおり、1戦使ったレース慣れが見込めそうです。
アメリカンファラオ産駒は揉まれたり囲まれたりすると持ち味の活かせない産駒が多いため、次戦で距離短縮の単騎逃げが叶えば勝ち上がりも狙えそうです。
中京5R 芝1600m クラウンドマジック 栗東:加用厩舎
西の1番星はクラウンドマジック。後方から鮮やかに差し切りました。
父は牝馬三冠馬デアリングタクトや皐月賞馬エフフォーリアを出して絶好調のエピファネイア、母母ゴールデンジャックの牝系は活躍馬が多く、近親にはサイドワインダーやミツバといった重賞ウィナーの名前もあります。
オーナーが大事にしている血統から、期待を込めての出走でした。
レース概況
クラウンドマジックは出遅れて最後方からのスタート、7枠のスズカワールド、ジャズブルースが好発進を決めます。チャオベッラが和田騎手に促されて内からハナに立つと、7枠2頭とゴ―ウィズフェイス、ラクスバラディーが先団を形成。クラウンドマジックは岩田騎手が無理に押さず、先頭から12-13馬身後ろで末脚を溜めます。
逃げたチャオベッラが残り400で一杯になると、外からスズカワールド、ジャズブルースが先頭争いに加わります。残り200mで外々を回っていたラクスバラディーが末脚を繰り出し、抜け出しを図ります。
しかし、更にその外から岩田騎手のアクションに呼応するかのようにクラウンドマジックがラクスバラディーを追い詰めます。
ゴールで首差差し切ってクラウンドマジックが1着、差し切られたラクスバラディーが2着、先行して粘っていたスズカワールドが3着、ジャズブルースは最後にナインティゴッドに交わされて5着でした。
勝馬・注目馬短評
勝馬:クラウンドマジック
東のコマンドラインとは異なり、7番人気での勝利。オーナーや厩舎所縁の血統馬でしたが、クラブの血統馬が人気するレースでは盲点になりがちですね。
最後の直線で岩田騎手は一度イン突きを試みるのですが前が開いていなかったため、追いながら外に出しており、スムーズな競馬が出来なかったことを考えれば、それでも勝てた馬の能力を評価するべきでしょう。
次走はスムーズな競馬が出来るのか、あるいは追い込み一辺倒になってしまうのかを見極める試金石になりそうですね。岩田騎手がかなり追っていたのを見ると距離はあってよさそうですし、追えば追った分だけ伸びてくるエピファネイア産駒らしい走りが出来そうですね。
注目馬:ナインティゴット
「未完の大器」シルバーステートの初年度産駒で、武英智厩舎、鞍上は武豊騎手ということもあり3番人気に支持されていました。クラウンドマジックほどではないもののこちらもゲートで出負けしていて、武豊騎手らしい折り合いに専念したレース運びとなりました。コーナーに入る前に行きたそうなそぶりを見せておりましたが何とかなだめて直線に入ることが出来ました。
しかし、直線に向いたところで前にいたラクスパラディーがよれたためにその外に交わしに行かざるをえず、追い出しが遅れてしまいました。さらに外から差したクラウンドマジックには完敗の内容ですが、外から交わされたところで手前を変えて盛り返しており、スムーズに終えていれば2着争いまでは出来たはずです。
今回の経験を活かして折り合いさえつけば、次戦はもう一歩前進した結果となるでしょう。距離はこのままマイルぐらいがよさそうです。
総評
初めての新馬戦回顧、いかがでしたか?
勝った2頭はどちらも先団馬群を外から差しての勝利で、現時点で末脚をしっかり使える姿を見せてくれました。新馬戦らしく、コマンドラインは追ってからの反応に、クラウンドマジックは出遅れたゲートに課題は残しましたが、改善すればさらにいい走りが出来るはずです。
次回は日曜日3レース分の回顧です。記事で取り上げなかった馬も、今後リクエストがあれば何かの形で取り上げたいと思いますので、お気軽にご連絡ください!