[連載・クワイトファインプロジェクト]特別編 当プロジェクトの社会貢献活動について

読者の皆様、前回はお休みをしてしまい申し訳ありません。

しかし、この1か月の間に水面下で模索していたことが、ようやく概要レベルでご報告できるようになりました。

今回は特別編として、当プロジェクトが予定している社会貢献活動についてご報告したいと思います。

──なぜ社会貢献活動なのか、と思われる方も多いかと思います。順を追って説明します。

まず最初に、私はこの「トウカイテイオー後継種牡馬プロジェクト」は、私個人としては普通に経済活動だと思っています。バイアリーターク系のサイヤーラインを守り、発展させていくというのはあくまで競馬産業という中の一活動にすぎません。だからそこにいわゆる「公益性」はないと思っています。ただ一方で、すでに再三申し上げているように日本でも欧州でも特定の血統による寡占化が加速度的に進展しており、バイアリーターク系や他の異系の血統も次々淘汰され、世界中のサラブレットは同じような血統ばかりとなり、国際血統書委員会が危惧している事態も現実のものになっていくでしょう。私はそれに警鐘を鳴らしているわけで、人間が生み出したサラブレッドという哺乳動物を持続可能なものにしていくために、業界として「議論」をしなければならないと思っています。

しかし、「議論」というのはなかなか難しい。シンプルに言えば、競走用サラブレッドは、経済動物イコール「家畜」であり、「ビジネスの道具」でしかないのです。だから、本来は人工授精で能力の高い特定の血統だけをどんどん大量生産し、その中でさらに優秀な種だけを残していけばいい。しかし、現実はそうはなっていません。それは、この産業にかかわるステークホルダー(馬主)の多くが、この産業が持つ「不確実性」に価値を見出しているからに他なりません。利益を確実に上げたいなら金融商品に投資すればいいわけで、それなのにサラブレッドに何億もの資金をつぎ込むのは、それが人間の射幸心を駆り立てるからなのだと思います。そこの原則は、アラブの大富豪であれ地方競馬馬主さんであれ、さらに言えばクラブ法人の出資者のかたであれそう変わらないと思います。よって、血統の議論はどうしても「強さ」追求が優先され、「持続可能性」については関心が薄いのが現実です。

そして一方で、本来は「家畜=ビジネスの道具でしかない」馬たちに射幸心を駆り立てられる過程の中で、多くの人が馬たちにある種の「愛着」を持ちます。それは馬主、生産者、厩舎関係者だけでなくファンも同様です。そして、その期間は(繁殖入りしない限り)儚いほど短く、経済用途が終わった後にその「愛すべき対象」を社会の中でどう生かしていくのか、という問題が発生します。それが、「引退馬セカンドキャリア問題」の本質だと思っています。

 すみません。前置きがだいぶ長くなりました。

 これだけ長い前置きのあとでこんなことを書くのも身も蓋もないのですが、世の中には、サラブレッド以外にも「光」をあてなければならない対象はたくさんいます。読者の皆様においても、それぞれの価値判断に基づき、社会貢献活動にご尽力されている方はたくさんいらっしゃるでしょう。

私は、自分で言うのも極めて恥ずかしいのですが、人格劣等、極めて俗物であり、決して褒められた人生は送ってきていません。しかし、そこそこ年数だけは食っているこれまでの人生でも、様々な理由で幼少期から経済的にご苦労されてきた若い友人を何人か知っています。もちろん、経済格差をどう埋めていくかは様々な要素があり、私のごとき一市民がネットコラムで答えを出せるような問題ではないのですが…月1回でも子供たちがおなか一杯ご飯を食べ、(孤独なお留守番ではなく)友人と楽しく語らう機会を提供する「子ども食堂」の活動には、いつも関心は持っておりました。

 そして、つい最近、競馬関係者において「子ども食堂」の支援を積極的に行っている方がいることを知りました。

 競馬界にそういう偉大な先輩がいるなら、私もやってみよう。関心を持つだけで、何も行動しないのは、日本の未来に0.001%でも責任を有している大人として情けない。社会貢献活動に多大なご活躍をされている俳優の杉良太郎さんは「売名でもなんでも、やらないよりやったほうがいい。どんどんやるべきだ」という趣旨のご発言をされていたと聞きます(ニュアンス違っていたら申し訳ありません)。

私は売るほどの名もありませんし、子ども食堂への支援が直接的にプロジェクトに何か恩恵をもたらすことはまずないと思います。しかし、せっかく馬にかかわる活動を続け、コラム、YouTubeなど配信チャンネルを持っている身でもあるので、こういった活動をすることで、馬に触れあう機会があまりないお子さんや親御さんに馬の魅力をお伝えするとともに、子ども食堂の活動を視聴者の皆様にお伝えすることで少しでも関心を持っていただければと思います。「馬の魅力や社会的意義を発信する」ことと、「社会的に光の当たりにくいところに光を当て、支援の輪を広げていく」こと…それを同時にできるのは、馬に関わっている人間としての知恵の見せ所かなと思っています。

ということで、私はこの国に生まれた一人の大人として、少しでも世の中に恩返しをしていきたいと思っています。具体的に発表できる状態になりましたら、続報をお届けしたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

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