長いことコラムをお休みしてしまい申し訳ありません。また5月いっぱいまでは休載させていただくのですが、近況報告を兼ねまして書きたいと思います。
クワイトファインおよび産駒たちの動きとしましては、それぞれ下記の通りです。
・クワイエットエニフ(バトルクウ2022、幼名カカラ) 南関デビュー予定。順調にいけば夏頃入厩。
・テイオーノユメ(ママテイオーノユメ2022) 私の馬ではないので詳細はオーナーサイドからの発信を見ていただきたいのですが、4月中に門別で能検を受ける予定と聞いています。競走馬としてのデビューはこちらが先になるでしょう。
・2024年度産駒は、ウェストブックステーブルさんのガレットデロワ号が牝馬を産みました。今年はこの1頭だけです。
・クワイトファイン自身は、一年お休みしたバトルクウに種付けし、3週の検査で受胎が確認されています。
今のところ今シーズンの種付け予定は自己所有(借り腹)のバトルクウ1頭のみです。今後、お世話になっているオーナーさんや牧場さんからお声がかかるかもしれませんが、それ以外の種付けオファーは皆無と言っていい状況に変わりはありません。そして、当歳時に惚れ惚れするような好馬体で話題となったバトルクウ2023も、クラブ法人からのオファーは今のところありません。
全姉にあたるクワイエットエニフが南関東でそれなりの活躍を見せれば、クワイトファイン産駒に対する不当な低評価を跳ね退けることはできると思いますが、それまで待つのもなかなかしんどい作業です。クワイトファインだからと買い叩くのではなくフラットに馬をみて購入を検討いただけるオーナーさんが現れてほしいと思いますし、この馬に見向きもしなかったクラブ法人経営者に地団駄踏ませるくらいの活躍を期待したいと思います(もちろん、今からでもオファーがあれば真摯に対応します)。
とはいえ、私もただ朗報を寝て待っているわけではありません。
そんな中、競走馬の世界にも新たなビジネスモデルが現れようとしています。
俗に言うファンクラブ、サポータークラブとでも言いますか、賞金の分配を伴わず、その馬の現役生活を応援するという新たな形です。
クラブ法人、いわゆるファンドではないので、例えば広尾TCさんのパンサラッサのように海外G1を勝ったからとて会員さんに多額の分配金が入るわけではないでしょうが、その代わりそこまで大きな戦績を残せなくとも、会員さんは毎月一定額の拠出だけで、いわゆる『愛馬』気分を味わえるのでしたら、本当に馬が好きでリターンを求めない人なら率直に言ってクラブ法人よりも遥かにローコストで馬とともに人生を歩むことが出来ます。
そして、もう一つの動きとしては、『繁殖牝馬の共有』です。こちらは私も面識のあるオーナーさんが主宰されているようですが、応募が殺到してすぐ満口になったと聞いています。
馬主の資格を有していなければ、せっかく産まれた仔馬の所有者にはなれません。基本は産駒をセリ等で売却し、その売却代金が還元されるシステムのようですが、それでも多くのファンの方が申し込んだということは、競馬ファンの方にとって、「生産にもかかわりたい、自分の好きな種牡馬を配合して理想の仔を送り出したい」という欲求は根強く存在し、また、それが馬主資格のない一般の競馬ファンにとっても「手の届くところまで来ている」ということなのでしょう。
競馬サークルの既存の勢力がこのような潮流をどう見ているのか、敵視していくのか、味方として取り込もうとしているのかはわかりません。しかし、欧米のように一部の金持ちだけが支えるビジネスモデルの競馬と違い、勝馬投票券を買っていただくファンの方々によって賞金を得ている日本の競馬ビジネスは、こうしたファンの欲求を無視はできないでしょう。まして、これから物価高、少子高齢化のなかで日本国内でも馬を持てる層は間違いなく減ってきますし、そうでなくとも競走馬の所有は、基本は損が出るのがデフォルトです。そのコストを『同志』で応分に負担するシステムを構築するのは息長く経営を続けていくなら絶対に必要なことです。一人だけの力で「好きだから!」とか「気合!」だけで乗り切れるものではありません。
そして、もう私はこのようなビジネスモデルをすでに実践しているのです。現役時代にこれと言った実績のない1頭の種牡馬に対し、スタートアップ時に500人以上の方々が、そして時間の経過とともに話題性は薄れるにもかかわらず、4年たった今もなお毎月350人以上の方々が支え続けている…。世界中どこを探したって、こんな馬はいませんよ。しかも運営しているのが、ビジネスの才能もなければ資本力も知名度もないごくごく平凡な中年サラリーマンであるにもかかわらずです。
正直、なぜ多くの競馬マスコミがクワイトファインプロジェクトのことを頑なに触れようとしないのか、理解に苦しんだ時期もありました。いろいろ大人の事情はあるのかもしれません。しかし、もはや「ファンが馬産にも所有にもコミットする」時代は来ています。しかも分配を得るのが狙いではなく(もちろん分配はあるに越したことはないですが)、純粋に馬に関わりたい、馬を応援したい、という一昔前では考えられない潮流です。これを理解しようとするならば、まずは「クワイトファインプロジェクト」を掛け値なしに純粋に評価してみてはどうでしょうか。競馬ビジネスの大いなるヒントが私のプロジェクトには埋まっています。
いろいろ思いを書いていたら文字数がオーバーしてしまいました。ぜひ、志ある方々とビジネス連携をしたいと考えています。
最後に一点だけ追加します。金沢競馬応援について、まず第一弾として6月2日に協賛レースを開催する方向で調整中です。決まりましたらまた何らかの方法で告知します。