日本各地で桜が開花し、厳しい寒さも和らいだ週末──中山競馬場では、古馬の王道レースへの前哨戦「日経賞」が行われた。

舞台は有馬記念と同じ中山競馬場の芝2500m。
トリッキー且つタフなこのコースを舞台に、今年は阪神競馬場で行われる天皇賞春などを目指す15頭が顔を揃えた。久々の晴れ間の下、いったいどのようなレースが繰り広げられたのか。

レース概況

このレースでファンの期待を集めたのは、牝馬のカレンブーケドールだった。

最近ではシルバーコレクターの印象が定着してしまったカレンブーケドール。
今年こそ悲願のG1制覇に向けて、この春は天皇賞春を目標にしたうえでこの日経賞に乗り込んだ。
鞍上には初コンビとなる松山弘平騎手を配し、前哨戦から必勝態勢で臨む。

続いて人気を集めたのは、ワールドプレミア。
菊花賞の勝ち馬は主戦の武豊騎手がアクシデントで騎乗出来ず、こちらも初コンビの石橋脩騎手が手綱を握った。悲願の盾取りへ向けて、負けられない前哨戦であった。

向こう正面でゲートオープン。
各馬まずまず揃ったスタートになった。

先行争いでウインマリリンが一瞬意欲を見せるも、ジャコマルがハナを奪った。
ダンビュライトは今日はハナを主張せず3番手で競馬を進め、続いてウインキートスが追走。その後ろ5番手にカレンブーケドールががっちり先行勢をマークしてレースを進めた。

1周目のホームストレッチ。
動きを見せたのはオセアグレイトとナイママで前へ進出し、先団まで追いついた。

1000m通過は62秒9で通過。
各馬向こう正面へと入る。依然ジャコマルが先頭。
ダンビュライトが2番手でウインマリリンが内の3番手に。

そしてその外までオセアグレイトが上がって、カレンブーケドールは差が無く追走する。
ワールドプレミアも中団でレースを進めた。3コーナーで一気にピッチが上がり、後続各馬が前へとまくり上げる。勢いが良いのがワールドプレミアで、4番手付近まで上昇して直線を迎えた。

逃げるジャコマルをコーナーワークで内から差したウインマリリンが先頭に立つ。
さらに内を突いたカレンブーケドールと外をまくり上げたワールドプレミアが前へ迫るも、先頭にまでは及ばずウインマリリンが押し切ってゴールイン。昨年のフローラステークス以来となる重賞制覇を果たした。

各馬短評

1着 ウインマリリン (横山武史騎手 4人気)

先行勢から早め抜け出したウインマリリンが日経賞を制した。

道中は2番手を追走し、逃げたジャコマルをマーク。直線手前で内から抜け出し、迫った2頭を振り切ってのゴールだった。

終始経済コースを通った横山武史騎手の位置取りもお見事。
実績ある4歳馬が、始動戦を最高の形で制した。

2着 カレンブーケドール (松山弘平騎手 1人気)

今日こそ勝利をと出走したカレンブーケドールだが、今回も惜しい2着となった。

道中は先行勢の5番手追走。直線前で進路を内に追い込み、ウインマリリンの2番差しの形で追い込むも届かず2着となった。しかし今年も粘り脚は健在。新緑の仁川へ未知の距離へと挑む。

3着 ワールドプレミア (石橋脩騎手 2人気)

上位2頭とは違い、捲り上げて上位争いを繰り広げた。
道中は9番手辺り。折り合いを専念する形で追走した。2週目の3コーナーで前へとスパート。勢いそのままに直線で追い上げるもカレンブーケドールに内から差されての3着となった。

しかし一昨年の有馬記念以来となる圏内入着と、少しずつリズムが戻ってきた。
今後のG1戦線の主役を、虎視眈々と狙っている。

総評

日経賞は、牝馬ウインマリリンの勝利で幕を閉じた。

馬の勢いも当然ながら、関東の若武者横山武史騎手の勢いを感じる一戦となった。
もちろん2.3着の2頭も今後のG1戦線では重要な立ち位置を担うだろう。そしてウインマリリンは世代交代の進む女王系譜を辿る、急先鋒となった。

今後のG1戦線を占う重要な一戦であったとみて良いだろう。

あなたにおすすめの記事