[重賞回顧]復活を期す名門と黄金タッグが送り出したホープ~2021年・新潟2歳ステークス~

夏競馬に行なわれる2歳重賞の第二弾、新潟2歳ステークス。ローカルらしい小回りで直線が短い競馬場で行なわれる他の3レースとは異なり、日本一長い直線を使って行なわれる点が、このレース最大の特徴といえる。

2021年の出走頭数は12頭。
人気は3頭に集中し、その中で1番人気に推されたのがアライバルだった。ノーザンファームの生産馬で、父ハービンジャー、母は桜花賞2着、オークス3着のクルミナルという良血馬。6月、東京で行なわれた芝1600mの新馬戦を、先行策から上がり33秒7の末脚を使い2馬身半差の完勝。ルメール騎手が継続騎乗することも、人気を集める要素となった。

2番人気に続いたのはオタルエバー。
こちらは、1ヶ月前に同じコースで行なわれた素質馬揃いの新馬戦でデビュー。5番人気に甘んじたものの、蓋を開ければ2着に4馬身差をつける圧巻の逃げ切り勝ちだった。勝ち方のインパクトでいえば、出走馬中ナンバーワンといっても過言ではなく、重賞でも実力が通用するか注目を集めた。

3番人気はセリフォス。
川田騎手と中内田調教師の黄金タッグで、中京芝1600mの新馬戦を快勝。2着との差は1馬身半だったものの、最後は抑えるほど余裕のある勝ち方で、勝ち時計も上々。2着に降したベルクレスタは、続く未勝利戦を完勝しており、それもこの馬の人気を後押しする材料となった。

単勝オッズ10倍を切ったのはこれら3頭で、以下クレイドル、スタニングローズ、ウインピクシスの順で、人気は続いた。

レース概況

ゲートが開くと、ダッシュがつかなかったクラウンドマジックは最後方からの競馬。セリフォスとグランドラインもやや立ち後れ、後方からのレースとなった。

先手を切ったのは、予想どおりオタルエバー。タガノフィナーレが直後につけるところを、外からコムストックロードが交わして2番手に上がる。4番手は、内から早々に挽回してきたセリフォスと、ウインピクシス、キミワクイーンの3頭が横並び。人気のアライバルは、中団やや後ろの9番手を追走していた。

最初の600mが36秒2、800m通過も48秒5とかなりのスローペース。先頭から最後方までは、10馬身以内のほぼ一団。道中は、隊列も大きく変わらず、そのまま最後の直線勝負を迎えた。

直線に入り、オタルエバーのリードは2馬身。追う2番手は4頭が横一線で、最も勢い良く伸びてきたのは、最内を突いたセリフォス。しかし、オタルエバーもしぶとく、交わすのにやや手間取っていたが、残り150mで先頭に立つと、そこからは徐々に差が開きはじめる。

2着争いは、粘るオタルエバーに、コムストックロードとアライバルが襲いかかり、ゴール寸前でアライバルが2番手に上がったものの、セリフォスまでは届かず。

結局、セリフォスが1馬身4分の1差をつけ、1着でゴールイン。2着にアライバル、4分の3馬身差の3着にオタルエバーが粘りきり、上位人気3頭が、そのまま1~3着を独占した。

良馬場の勝ちタイムは1分33秒8。8頭の1戦1勝馬が出走したレースをセリフォスが完勝し、次なるステージに勝ち進んだ。

各馬短評

1着 セリフォス

開催6週目で馬場の内目も悪くなってきていたが、その部分を苦にせず伸びて完勝。いかにも、父ダイワメジャー×ヨーロッパ色の強い母系、というところを見せつけた。

32秒8の末脚でスローからの上がり勝負にも対応したが、本来は、瞬発力勝負よりも持久力勝負が得意のはず。次走も楽しみとなったが、朝日杯フューチュリティステークスで、よどみない流れからの持久力勝負になれば、好勝負は必至とみる。

2着 アライバル

残り800mを通過してからレース全体がペースアップした際に、進路取りの差はあったものの、セリフォスは加速して前との差を詰めることができた。対して、こちらはやや置いていかれる形になり、ついて行けず離されてしまったことが、最後の着差に出てしまった。

その点がいかにもハービンジャー産駒だが、どちらかといえば、こちらはもう少し長い距離、ホープフルステークスが向いているだろうか。

3着 オタルエバー

最後は上位2頭に後れを取ったものの粘り通し、前走の実力が本物だということを、改めて証明した。

ただ、残り200mを過ぎたところで苦しくなったか、騎手の右鞭に反応して内に寄れたのが痛かった。先行してレースを作れるのが強みで、1400mのレースで一度見てみたいと思うが、果たして次走はどこになるだろうか。

レース総評

前半800m通過が48秒5に対して、後半800m通過は45秒3と完全な後傾ラップ。セリフォスは、早期から完成度が高いダイワメジャー産駒らしく、さほど得意ではないはずの瞬発力勝負にも対応し勝利した。

「返し馬もポケットで歩いているときも、やたらと左に行きたがっていて、枠も枠だったので、内を気持ちよく走らせようと思った」とは、レース後の川田騎手のコメント。さすがトップジョッキーらしく、レース前の些細な動きと最内枠からのスタートを関連付けて直線のコース取りを決め、見事勝利に導いた。

その川田騎手と中内田調教師といえば、言わずと知れた黄金タッグ。8月29日現在、調教師リーディング2位の中内田師は、2016年の当レースで重賞を初めて制して以来、今回が3勝目と得意にしている。

上記のコメントから察するに、右回りに対応できるかどうかが、今後の課題になるだろうか。それを乗り越えることができれば、川田騎手と中内田調教師のコンビで2017年の朝日杯フューチュリティステークスを制した、ダノンプレミアムの後釜のような存在になるかもしれない。

また、周知のとおり、今年は追分ファーム生産の2歳馬がここまで絶好調。8月29日現在、既に7頭が勝ち上がっている。JRAの重賞勝利は、2019年の目黒記念をルックトゥワイスが制して以来。先週は、土曜札幌のメインレースもアンティシペイトが勝利しオープンに昇級。復活を期す名門から、楽しみになりそうな存在が2頭、相次いで登場した。

写真:かずーみ

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