[重賞回顧]桶狭間に向けた府中決戦〜2021年・武蔵野ステークス〜

12月に迫った、砂の王者決戦チャンピオンズカップ。

その出走権を掛けたトライアルレースが、各地で行われている。
13日には東京競馬場でG3の武蔵野ステークスが行われた。2月のフェブラリーステークスと同じコースで行われることで、今後のダートグレード戦線にも大きな影響力を持つこのレース。

はたしてどの馬が凱歌を上げるのか。

レース概況

今年の武蔵野ステークスは、ダート初挑戦の馬やタイトル奪取に燃える馬など、様々な馬が集った。

その中で人気を集めたのはタガノビューティーであった。
重賞は未勝利ながらこの東京コースは庭だと言わんばかりの好成績を誇る。ここ2戦も連勝中で、得意舞台の武蔵野ステークスに照準を合わせてきた。初重賞制覇に向け、末脚を発揮したいところ。
そして芝でも実績を積んだエアスピネルにも人気が集まった。
こちらはダートに新天地を求めて1年、G1でも連対を果たすなど持ち前のポテンシャルを存分に発揮している。同期のマカヒキが復活勝利を挙げたように、エアスピネルも2017年10月以来の勝利を狙う。
そして南部杯の雪辱を狙うソリストサンダーなど重賞舞台で好走した各馬に加え、ダイワキャグニーなど芝から新たな挑戦をする馬など個性豊かなメンバー構成となった。

向こう正面の芝コースからのスタート。

スタートでレピアーウィットが大きく立ち上がってしまったが、他の各馬はまずまずのスタート。
芝での先行争いは出ムチをふるってリアンヴェリテ、南部杯から勢いに乗るヒロシゲゴールドが先頭2番手に。そして芝での先行経験があるバスラットレオンとダイワキャグニーも前段に取り付いた。連れてテイエムサウスダンとエアスピネルが追走し、馬群はやや縦長になった。タガノビューティーは長い直線での末脚にかける作戦に出た。

3コーナー過ぎの欅を超えると前段は馬群が凝縮。
各馬が逃げるリアンヴェリテを巡って殺到し直線に向いた。リアンヴェリテが二の足を使って踏ん張るところにヒロシゲゴールド、ダイワキャグニー、ソリストサンダーが接近する。伸び脚が良いのは外ソリストサンダーで、一気に前段を飲み込んで先頭に立った。内目からエアスピネルも伸び、オメガレインボーが強襲するもソリストサンダーには及ばず。

南部杯の雪辱を果たして、ソリストサンダーが見事武蔵野ステークスを制した。

各馬短評

1着 ソリストサンダー (戸崎圭太騎手 3人気)

直線で外から伸びたソリストサンダーが武蔵野ステークスを制した。

中団やや前でレースを進めると直線手前で前段に接近。粘る先行勢を直線半ばで力強く突き抜けた。

昨年は人気薄で2着に好走していたが、今年は人気を集めて勝ち切った。
成長力を見せつけ、いよいよ大舞台で輝く。

2着 エアスピネル (田辺裕信騎手 2人気)

ダートで活躍を続けるエアスピネル。
G1連対の舞台で、またも連対をマークした。

道中は先頭勢を見る位置で競馬を進め、直線では進路を内にとり、力強く伸びてソリストサンダーを追った。
砂のタイトルはお預けとなったが、今後も主力候補として貪欲にタイトルに挑む。

3着 オメガレインボー (横山和生騎手 6人気)

近走、安定感を見せるオメガレインボーが3着となった。
こちらは最後方からレースを進め、直線での勝負に賭けた。

直線では大外を強襲して差し脚を伸ばし、上がり最速を披露して馬券圏内に滑り込んだ。
近況の好調ぶりも目覚ましく、初タイトルも夢ではない。豪脚を武器にダート戦線を駆け回る。

総評

武蔵野ステークスはダートグレードで戦績を残した馬同士での決着となった。

ソリストサンダーは昨年のリベンジを果たしての快勝。早めに抜け出して後続を封じる走りは大舞台でも脅威となるだろう。

激戦必至のダート戦線に、新たな主役候補が躍り出た。

写真:shin 1

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