[重賞回顧]仁川を超特急で駆け抜ける〜2021年・京阪杯〜

11月最終週の日曜日は東西で豪華重賞二本立て。
阪神競馬場では、スプリント重賞・京阪杯が行われた。

来年の短距離戦線につながるステップとして重要な一戦となる京阪杯。
雅に走る京阪電車のように、今年も快速馬揃いのスプリント戦が幕を開ける。

レース概況

コントレイル感動のラストランから30分後、レースの熱気は阪神競馬場に移った。
阪神の最終12Rに組まれた京阪杯は人気が2頭に集中した構図。

1番人気に支持されたシヴァージは、前走のスプリンターズステークスで下馬評を覆して3着に食い込むなど、充実の1年を過ごしている。シルクロードステークス以来の重賞制覇を目指した戦いとなった。
2番人気は、重賞連勝中のレイハリア。3歳馬ながら前走で古馬を撃破し、ここでも主役級の評価となった。
G1こそ無念の回避だったが、立て直してどうなるか、その走りに注目が集まった。

向こう正面から、レーススタート。

スタートダッシュ良く16頭が飛び出した。
手綱を押して押して前へ出たのは4枠の2頭、CBC賞勝ち馬のファストフォースと連勝中のサヴォワールエムだった。その2頭にレイハリアとシゲルピンクルビーの3歳馬2頭が追い付き、レースを引っ張るのは4頭となった。
1列後ろにシヴァージとアイビスSD覇者のオールアットワンス、レッドアンシェルなどが追走した。

3コーナーを曲がって後方にいたタイセイビジョンやエイティーンガールが捲り上げ、馬群が一気に凝縮。
馬群が10馬身圏内に団子状態となって直線に向いた。まずは逃げるファストフォースが後続を突き放しにかかる。シゲルピンクルビーが追い出すも中々差が詰まらない。

このまま逃げきりかと思ったところ、外から伸び脚良い馬が突っ込んできた。
道中最後方に居たエイティーンガールがタイセイビジョンを連れて追い込んでゴールイン。

上がり最速で、1年ぶりの重賞制覇を手にした。

各馬短評

1着 エイティーンガール (秋山真一郎騎手 10人気)

最後方追走だったエイティーンガール。3コーナーでまくり上げて展開を動かし、直線での勝負に賭けた。外々を回って直線でも伸び脚がさく裂。切れ味鋭い末脚で逃げ粘るファストフォースをあっさりとらえて見せた。人馬共に久々の美酒となった京阪杯。今後の飛躍に対して大いに期待がかかる勝利だった。

2着 タイセイビジョン (幸英明騎手 3人気)

こちらも伸び脚を発揮し、2着を確保した。
タイセイビジョンも道中はやや後方目でレースを進め、エイティーンガールとともに上昇を開始。ポジションでは勝ち馬より前へと付けており、エイティーンガールと併せる形で追い込んだ。上がりの脚では勝ち馬に及ばなかったが、しぶとい脚で2着を確保。流れをつかむ2着と言えるだろう。

3着 ファストフォース (小崎綾也騎手 6人気)

夏の短距離戦を沸かせたファストフォースが3着となった。
ゲートから押して逃げの手に打ったファストフォース。直線では一時突き放す力強さを見せた。
後続の強襲にあいつつも3着に踏みとどまったのは収穫だろう。
小倉をレコードで駆け抜けたスピードは今も健在。そのスピードで短距離戦線を駆け回る。

総評

京阪杯は追い込み2頭の決着となった。

上がり最速の脚で追い込んだエイティーンガールは重賞2勝目。札幌のイメージが近年強くなってきたが、この冬から春にかけて新たな切れ者が現れた形だ。今後もこの末脚は短距離戦線で大きな武器となるだろう。

写真:@2ndyuminyna

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