春の浦和開催の名物競走「さきたま杯」。浦和競馬場のダート1400mを舞台に行われる重賞競走で、これまで23回の歴史が刻まれている。
このレースの特徴は「地方馬が好走しやすい」という点。過去10年で見ても2011年にナイキマドリード、2016年にはソルテと、地方馬が2勝をあげている。
さらに昨年もキタサンミカヅキが3着に粘るなど、南関所属の実績馬が好成績を残す舞台として健在だ。
今年も地元浦和所属のブルドッグボスを筆頭に、8頭の地方所属馬がJRA勢を迎え撃った。
史上初の無観客で行われた今年のさきたま杯は、レーススタート直後に一波乱が起こった。
大外枠で先行が期待されたJRA・ゴールドクイーンが躓いてしまい、最後方からのレースとなってしまったのだ。そんな波乱の先行争いは、好ダッシュを決めた地元ノブワイルドが制する。
その後ろの2番手にサイタスリーレッドがつけて、3番手にはキャプテンキングと、地方勢が先行集団を独占した。
JRA勢ではノボバカラが4番手につけ、1番人気に推されたジャスティンは中団からレースを進める。
地元のブルドッグボスも中団に控え、縦長でレースは進んだ。
3コーナーを迎え、ノブワイルドがリードを広げにかかる。
3馬身後ろではサイタスリーレッドを交わしてノボバカラが2番手に浮上。その後ろからキャプテンキングとブルドッグボス、ジャスティンが並んで4コーナーから直線に向いた。
依然、ノブワイルドのリードは3馬身。単独2番手からノボバカラとブルドッグボスが前を追う。
残り100m付近でノボバカラとブルドッグボスが、一気にノブワイルドに襲い掛かっていく。
そして3頭広がったゴール前、抜け出したのはJRAのノボバカラだった。
南関東ジョッキー3人によるたたき合いは森泰斗騎手に軍配が上がった。
非常に見ごたえのある直線の攻防であった。
各馬短評
1着 ノボバカラ
好スタートから終始好位に付け、3コーナーから進出を開始すると、直線で前をしっかりとらえきるという、まさに王道競馬を見せつけた。
JRA勢では最も人気が無かったが、前走かきつばた記念では2着と、復活の片鱗を見せていた。息の長い活躍を見せるノボバカラの復活は、ダート短距離界にとって嬉しいニュースとなった。
2着 ブルドッグボス
地方馬最先着となったブルドッグボス。地元浦和では安定感抜群のパフォーマンスを見せていたがこのレースでもその力をいかんなく発揮した。
最後は勝ち馬を追い詰めているように、今後も重賞戦線で主力級の活躍が期待出来そうだ。
3着 ノブワイルド
好スタートからレースを引っ張ったノブワイルド。3コーナーで後続を1度突き放したレースっぷりは「さすが重賞馬」と感じさせるレースであった。
勝利まで感じさせる粘り腰を発揮したこの一戦は、着順以上に価値のあるレースだろう。
昨年成し遂げられなかった短距離界の王座奪取に向けて、次走以降も粘りある走りを期待する。
写真:三木俊幸