すばるステークスは2017年以降、1月中旬に行われているオープン競走。2019年からはリステッド競走に指定の上、別定戦で行われている。

フェブラリーハンデキャップがGIIに昇格し、フェブラリーステークスと名称が変わった1994年以来、主に、京都競馬場ダート1400メートルで行われてきた。
1989年に始まった本レース。実は、1993年までは主に京都競馬場芝2000メートルで開催されていて、1992年にはオースミロッチが勝利している。

2月上旬や中旬に行われていた2016年以前も同様に、上半期のダート王決定戦フェブラリーステークスにはあまり直結しない。しかし、2001年優勝のノボジャックや2016年のニシケンモノノフは後にJBCスプリントを、2014年のベストウォーリアは、後にマイルチャンピオンシップ南部杯を連覇するなど、これからのダート短距離界を担う新星が現れる一戦でもある。

さらに、今年はすばるステークス史上初となる中京競馬場での開催。左回りのため、フェブラリーステークスに通用する馬が現れても不思議はない。


16頭が出走する中、単勝オッズ一桁台に推されたのは、6頭であった。
1番人気は、4.0倍のレシプロケイト。鞍上には川田将雅騎手が起用された。これまでコンビで6戦2勝2着4回と抜群の成績を挙げ、エニフステークス(L)では2着であった。
柴山雄一騎手と臨んだ前走、りんくうステークス(OP)ではハナ差及ばずの2着となっていて、オープン競走勝利の目処が立っている。

続いて5.7倍の2番人気に推されたのは2勝クラスから2連勝でオープン昇級を果たしたスリーグランド。未勝利戦で敗退が続き、川崎で初勝利。JRA復帰初戦は15番人気の低評価を覆す勝利して以降、掲示板を外さない安定した走りを見せて出世した昨年の3歳シーズンであった。
ジャパンダートダービーや東京ダービーを制し、2017年のNAR年度代表馬に表彰され、現在岩手で活躍するヒガシウィルウィン(父:サウスヴィグラス)の半弟にあたる。

僅差の5.9倍、3番人気に推されたのは、グルーヴィット。一昨年、3歳の夏、同じ3歳のクリノガウディーをハナ差下して中京記念を勝利。その後、有力馬として上位人気に推されるが、下位敗退が多かった。
昨年の武蔵野ステークス10着敗退以来2回目のダート挑戦となる。

以下、4番人気には昨年の本レースで1番人気に支持されて5着に敗退したブルベアイリーデ。2歳時に兵庫ジュニアグランプリを制し、4歳となったテイエムサウスダンが5番人気。昨年3連勝で欅ステークスを勝利したトップウィナーが6番人気に推された。
成人の日に行われた本レースには、新成人の団野大成騎手が参戦。2017年に勝利し、昨年には3着となったスマートアヴァロンに騎乗した。

レース概況

揃ったスタートを見せ、クラヴィスオレアとリアンヴェリテ、トップウィナーがハナ争いを演じ、芝からダートコースへ移った。
先頭3頭の後ろには、テイエムサウスダンとハーグリーブスが。中団には、ブルベアイリーデやグルーヴィット、レシプロケイト、スリーグランドが横並びに位置どり。後方グループには、スマートアヴァロンやテーオーヘリオス。最後方にはアードラーが控えた。
激しい争いを制し、リアンヴェリテが単独で先頭に。前半の600メートル地点を34.5秒で通過した。

やがて、第3コーナーに入り、後続が接近。
好位にいたブルベアイリーデやグルーヴィット、テイエムサウスダンが進出し、逃げあぐねた 2頭を吸い込んで2番手に浮上。位置を下げて、外を回っていたハーグリーブスやアードラー、スマートアヴァロンなどの後方グループが追い上げを図った。
最後の直線に入ると、内を追走した各馬の脚が止まり、軒並み失速。そんな中、好位外目にいたテイエムサウスダンが先頭へ。浜中俊騎手の右ムチに応え、後続との差を広げた。それを合図に、中団から追い込んだアヴァンティストが、差し切りを試みる。しかし、差が縮まることはなかった。

最終的に、テイエムサウスダンがアヴァンティストに2馬身離して先頭で入線。1分23秒4で走破した。
後方待機していたハーグリーブスは、大外からしぶとく追い上げたが、内で粘るブルベアイリーデを捕らえるのみの3着。アヴァンティストからは3馬身半後方での出来事であった。

各馬短評

1着 テイエムサウスダン

好位から抜け出して勝利。上がり3ハロンをメンバー中最速タイの36.5秒でまとめた。
オープン級競走は、兵庫ジュニアグランプリ、昇竜ステークスに続いて3勝目。通算5勝目。
母ムービングアウトは、ラングフールを父に持つ。全姉のムービングライトは2017年の船橋記念で3着。全兄のヴィグラスムーヴは、岩手や船橋で通算22勝を挙げている。

馬名の意味は、「冠名(テイエム)+父名の一部(サウス)+父父母名(Broom Dance)より」。

2着 アヴァンティスト

昇級後初めてのオープン競走だったが、最後の直線でよく伸びて2着に健闘。
オープンクラスでも通用することを十分に示した。

3着 ハーグリーブス

道中で位置を下げ、最後の直線では絶望的とも思われたが、追い上げて何とか3着を確保した。

6着 レシプロケイト

勝負所で促されるものの、反応が悪く伸びなかった。
同じ条件で行われた昨年のエニフステークスでは、同じハイペースでの2着。左回りは、未勝利戦勝ち上がり後の1勝クラス、新潟ダート2500メートルで6着に敗れて以来2回目のことであった。

レース総評

ダートグレード競走の兵庫ジュニアグランプリを制したテイエムサウスダンが、すばるステークスを勝利した。

同じように兵庫ジュニアグランプリを制したのち、すばるステークスを制した馬といえば、2016年のニシケンモノノフが挙げられる。
彼は兵庫ジュニアグランプリを制覇後、降級から舞い戻って5歳ですばるステークスを勝利。黒船賞、プロキオンステークス、カペラステークスと重賞2着を経験したのち、年末の兵庫ゴールドトロフィーで悲願の重賞制覇。翌年にはJBCスプリントでGI制覇も成し遂げ、通算12勝し現役を退いている。

テイエムサウスダンはまだ4歳、通算11戦とダート馬にしては若い。果たしてこれからどのような成長曲線を描くのだろうか。

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