牝馬の活躍が目立つ近年、このクイーンCからも多数の活躍馬が登場している。
ホエールキャプチャ、ヴィルシーナ、メジャーエンブレム、クロノジェネシスなどは、このレースの勝ち馬である。

また、メジャーエンブレムは参戦当時すでに阪神ジュベナイルフィリーズにてGI制覇を達成していた実績馬であり、ホエールキャプチャ・クロノジェネシスも阪神ジュベナイルフィリーズ2着馬。2歳女王決定戦で賞金加算をした馬たちが、3歳始動戦として用いているのだ。
さらに、コイウタ、ヴィルシーナ、ホエールキャプチャなど、同コースで行われるヴィクトリアマイルを制する馬も多い。
クロノジェネシスは秋華賞を勝利したのち、宝塚記念、有馬記念と春秋グランプリ制覇を果たしている。昨年2着のマジックキャッスルは、秋華賞で牝馬三冠達成のデアリングタクトに迫る2着、その後、愛知杯を制して重賞馬の称号を獲得している。上述の今後の牝馬クラシック路線を占ううえでも見逃せない一戦である。


フルゲート16頭のうち、23頭が出馬投票。回避もあり、11分の8の抽選が行われた。新馬戦で圧巻のパフォーマンスを見せ、クイーンカップでも上位人気が予想されたレフトゥバーズは抽選を突破することができず除外、翌日の共同通信杯で牡馬相手に出走することとなった。

3.2倍の1番人気に推されたのは、ククナ。
デビュー以来ルメール騎手が手綱を取り続けている。
デビュー2戦目、札幌の未勝利戦を勝利したのち、重賞初挑戦となったアルテミスステークスで後の2歳女王ソダシに、1馬身3/4差の2着。無理をせずに阪神ジュベナイルフィリーズを見送った。牡馬相手となるシンザン記念で1番人気だったが、4着に敗れている。1番人気は、今回と同じ東京1600メートルの重賞で好走している点が高く評価されたのも大きい。

続いて4.9倍の2番人気となったのは、アカイトリノムスメ。
夏の新潟でデビューするも、7着敗退。間をあけて再び競馬場に姿を見せたのは、秋の東京開催であった。未勝利戦で勝ち上がり、1勝クラスの赤松賞では上がり33.9秒の末脚を見せて連勝。
母は、2010年の牝馬三冠馬アパパネで、兄弟にはモクレレ、ジナンボー、ラインベックらがいる。現在のところ、出世頭は新潟記念2着2回のジナンボーであろう。アカイトリノムスメには、アパパネ産駒初の重賞勝利が期待されていた。

5.4倍の3番人気となったのは、リフレイム。夏の新潟でデビュー、最後の直線外へ逃避しながらも先頭を守り切ったパフォーマンスは記憶に新しい。その後秋の東京、1勝クラスで連勝を果たし、京王杯2歳ステークスでは牡馬相手に1番人気に推されたが5着に敗退した。牝馬相手となる今回は、パフォーマンスの前進が期待される。

6.5倍の4番人気の、ベコニア賞2着から臨むステラリア、これまで4戦は馬券圏内を外したことはない安定した走りが評価された。続く9.5倍の5番人気は、アールドヴィーヴルは新馬戦からの参戦となった。

そのほか、サウジアラビアロイヤルカップにて1番人気に推され、ステラヴェローチェに次ぐ2着となったインフィナイト。藤田菜七子騎手が騎乗するレッジャードロなどのメンバーがそろった。

レース概況

レッジャードロとカイトゲニーが後手を踏む。
好スタートを切ったサルビアやエイシンヒテン、インフィナイトが先手を主張する中、エイシンヒテンがハナを奪った。
逃げ馬を見つめる先行集団に、リフレイムやアカイトリノムスメ、ククナと人気どころで固まる。中団には、アールドヴィーヴルやイズンシーラブリーがポジションをとる。
最後方には、出遅れたレッジャードロが追走。馬群は、縦長となった。

大勢は変わらず、600メートルを34.6秒で通過。
ペースは落ち着き、第4コーナー直前には、馬群は凝縮していた。
エイシンヒテンが依然先頭のまま、最後の直線へ進入する。後続は、横一直線に広がっていた。
中団の1番人気ククナは、進路三方向が包囲される。
前にアカイトリノムスメ。左にリフレイム。右にアールドヴィーヴルが位置していた。

先行していたインフィナイト、アカイトリノムスメが逃げるエイシンヒテンが差し掛かる。
残り200メートル、アカイトリノムスメが先頭に躍り出る。後方ではようやく進路を見出したククナが、アールドヴィーヴルとともに猛烈な追い上げを見せる。リフレイムはついていけずに後退した。

抜け出したアカイトリノムスメに、追い上げる2頭。
しかし、アカイトリノムスメが振り切り、ゴールを先頭で駆け抜けた。

各馬短評

1着 アカイトリノムスメ

中団から早めに抜け出し、後続を振り切っての勝利。アパパネの娘として初めて重賞制覇となった。
福島の新馬戦で3着となったのち、3連勝で阪神ジュベナイルフィリーズを制し2歳女王となったアパパネは、その後、三冠牝馬となった。
同じように未勝利戦敗退後3連勝で重賞初制覇となった娘。母のような活躍を、どうしても期待してしまう。

2着 アールドヴィーヴル

ククナに密着しながら道中を進む。
上がり3ハロンメンバー中最速タイの34.1秒の末脚を見せ、勝ち馬にクビ差迫った。
賞金加算に成功、クラシックに向けて一歩前進した。

3着 ククナ

囲まれて進路がない状態で、終いの追い上げは不本意なものであろう。

レース総評

アパパネの主戦、蛯名正義騎手は騎手を引退。
アパパネとディープインパクトとの間に生まれた仔も、アカイトリノムスメがラスト。ディープインパクトとの仔では唯一の牝馬だ。

世代交代の一端を、垣間見たような気がした。

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