G1とG1の狭間となる開催でありながら、秋の中距離戦線において非常に重要な一戦となるエプソムカップ。生粋の東京巧者や、マイルなどで戦績を積んだ馬、さらに中距離戦線でより飛躍を目指す馬など、多種多様な路線からメンバーが揃う。
今年もフルゲートとなるメンバーが集結した。毎年この時期に行われる分馬場は渋りやすいレースだが、2020年の今年は何と不良馬場での開催。
出走各馬とっては非常に厳しい条件での戦いとなった。
今年のメンバー構成は例年通りバラエティに富んだ18頭だ。
あがり馬のピースワンパラディやアンドラステ、このレースを制覇した経験のあるサトノアーサーやレイエンダが人気を集める。さらに穴馬としても、牝馬戦線で主役を張るシャドウディーヴァ、現役屈指の東京巧者ダイワキャグニー、連勝を狙うアイスストームなど、まさに「どの馬にも可能性がある」と言えるような混戦メンバーだった。
レース直前で雨は降っていなかったものの、前日から馬場コンディションは変わらずの不良馬場。各馬がどのように馬場を克服するのかにも注目が集まった。
レース概況
15時45分、レーススタート。
好スタートを決めたのは大外のトーラスジェミニ。ゲートの出をいかして一気に3馬身のリードを取る。
2番手にアトミックフォースとダイワキャグニー、その後ろにサラキアが続いた。
各馬のポジションは戦前の予想通りで、人気を背負ったサトノアーサーとピースワンパラディはそれぞれ中団あたりにつけていた。
前半の1000mの通過は59秒1、この馬場にしては速いペースで進み縦長の馬群のまま直線を迎える。
直線に入っても先行勢の脚は鈍らない。逃げるトーラスジェミニと番手から追うダイワキャグニーが競り合い、ここでダイワキャグニーが先頭に立つ。残り200mを切ったあたりから後続各馬も追い上げ、ソーグリッタリングやアンドラステ、サトノアーサーなどが差し迫った。
しかし、ダイワキャグニーはそれらを寄せ付けなかった。
内田博幸騎手の豪快な左ムチに応え、1馬身のリードを保ってゴールイン。
生粋の府中巧者が、遂に重賞初制覇を果たしたのだ。内田騎手とコンビを組んで8戦目。人馬息の合ったレースで見事府中の混戦重賞を競り勝った。
また、レース後にダイワキャグニーの大城敬三オーナーの訃報が発表されました。
ご冥福をお祈りいたします。
各馬短評
1着 ダイワキャグニー
道中は3番手を追走。番手で常にトーラスジェミニを見る形でレースを進め、直線で一気にとらえるまさに正攻法のレースを見せた。
得意の東京で悲願の重賞制覇。
この走りは天国のオーナーにしっかり届いたことだろう。
2着 ソーグリッタリング
2着のソーグリッタリングは勝ち馬より後ろの中団を追走。直線でしぶとく脚を伸ばし、ゴール寸前でトーラスジェミニを交わして2着入線を果たした。
この馬も東京での実績は申し分なく、エプソムカップは2年連続の馬券圏内となった。
3着 トーラスジェミニ
このレースで最大のサプライズは、この馬だろう。
しんがり人気を跳ね除け見事3着に食い込む好走。
自らの得意戦法である逃げの手を打ち、直線でもダイワキャグニーに食い下がる場面も見られた。
今後の重賞戦線における、楽しみな逃げ馬が登場した。