ウマフリ読者の皆さん、こんにちは。
元JRA調教師の角居勝彦です。
「東映エージエンシー×ホースコミュニティ」のクラウドファンディングにご協賛いただいた皆様、ありがとうございました。その返礼として、ウマフリにて6回にわたり思い出の馬を語っていこうと思います。
今回取り上げるのは、シャケトラです。
シャケトラ
父:マンハッタンカフェ
母:サマーハ
獲得賞金:2億7,512万円
生年月日:2013年3月17日
皆さんよくご存じの金子真人オーナーの馬です。
そのころの角居厩舎には、オーナーが沢山持たれている馬の中でも本当に筆頭ともいえる素質馬を預からせてもらえていました。
見るからにスーパーホースという感じの馬で、早くから「長い距離で」と考えていました。
なかなか体調がしっかりしないので使っては休んでを繰り返した馬でもありました。
体のつくりが大きくて柔らかかったんですけど、体に芯が入るまでは繰り返しのお休みが必要だったのです。
だんだん背中に芯が入ってきて良くなってきたというタイミングで、AJCC・阪神大賞典と連勝。そのまま天皇賞(春)に向かい、スーパーホースになりかけたタイミングだったんですけど、調教の事故で予後不良になってしまって……。
本当に…… 調教中、目の前での事故でしたので、本当にショックでしたね。
天皇賞(春)の最終追い切りということで、新聞記者の方も含めて皆さん注目された中での事故。周囲にも私にも、非常に大きな衝撃が走りました。
素晴らしい馬だったので、天皇賞(春)でも1番人気になるであろうと想定されていたと記憶しています。
あの天皇賞(春)を走らせられなかったことが大きな心残りです。
種牡馬にして生産界に返してあげたいというのが僕の夢でしたけど、それにもうちょっとで手が届くと思った……そんな矢先の出来事でした。
「ちょっと焦ってしまったのかな」
「油断してしまったのかな」
ということは、今でも思います。
しかし、亡くなってからでも競馬ファンの中ではシャケトラをずっと想ってくれている人が沢山いるのも知っているので、そういった意味では幸せな馬だったとも感じています。
写真:Horse Memorys