ダービーデーの締めくくりは、伝統の重賞競走「目黒記念」。ハンデ戦らしく毎年大混戦のメンバー構成となり、年によっては大波乱の決着もみられる長距離重賞だ。
今年のメンバーも、ハンデを考えると力が抜けた馬のいない混戦メンバーとなった。
1番人気でも単勝オッズが4.1倍というのが、今年も難解なレースとなっていたことを物語る。
それでも長距離レースを主戦場とする猛者たちが集結し、重賞で実績を残してきた馬と新興勢力が激突する構図となった。
ダービーの衝撃から1時間半後の東京競馬場。
無観客競馬のためいつものスタンドの熱気はないものの、それでもダービーデー特有の緊張感が場内を包んでいるように見えた。
そして17時ちょうど、ゲートオープン。
18頭が揃って飛び出し、ポジションを探りながら1コーナーに飛び込んでゆく。
先手を奪ったのは外枠の2頭パリンジェネシスとバラックパリンカ。展開は縦長で進み、7番手のオセアグレイトから後ろは各馬間隔をあけてのレースとなった。
1000m通過は1分0秒1。
そこまでスローにはならない流れで3コーナーを回る。先頭は以前、パリンジェネシス。じわっと外からニシノデイジーが顔をのぞかせる。
後続各馬も差を詰め、オセアグレイトが進出を開始。4コーナーから直線を向いた。
直線入り口では横に広がった団子状態。
ハンデ戦らしい熱戦だ。
先頭パリンジェネシスをめがけて内からノーブルマーズが伸びてくる。外からはオセアグレイト、狭い部分からはステイフーリッシュが前を捕えにかかる。
残り300m。
先行勢が横一線になったところで、馬群を縫った2頭が一気に伸びてきた。
キングオブコージとアイスバブルだ。
横山典弘騎手とダミアンレーン騎手のたたき合い。
200mにわたる攻防は、赤い帽子キングオブコージーが競り勝つ形で幕を閉じた。
人気に応えた横山典弘騎手は左手で握りこぶしを作った。
これで4連勝を達成したキングオブコージ。
次はG1へ照準を合わせる。
各馬短評
1着 キングオブコージ
道中は15番手付近で脚をためる競馬。最後の直線、直線半ばを馬群の中を通って追い込み、上り最速を記録した。54キロのハンデも然ることながら、アイスバブルの追撃を抑え込んでの勝利は価値のあるものであろう。
今後の長距離戦線の主役に向けて、G1の舞台に挑む。
2着 アイスバブル
道中は中団に控え、キングオブコージーの隣で差し脚を伸ばした。上り3位を記録し、勝ち馬を追ったものの1/2馬身及ばずの2着。しかし近走の敗戦からの立ち直りを感じさせるレースとなった。
なおレーン騎手はダービーでもサリオスで2着。同一開催日に重賞を2回連続2着ということとなった。
3着 ステイフーリッシュ
トップハンデとなったステイフーリッシュは先団から直線ジワジワと追い込み、ゴール板付近では上位2頭にも迫るようなレースを見せた。57.5キロでこの馬らしさを見せるあたり、流石は実績馬だ。
こちらはハンデのなくなるであろう次走に期待感を持てるレースであった。