開場100周年を超える函館競馬場での開催が無観客になったのは、非常に残念な出来事だった。来年の開催こそは、大観衆の前で、白熱のレースが開催される事を願う。
夏競馬後半、いよいよ札幌開催がはじまる。
函館同様、コロナには注意しながら、今年も素晴らしいサラブレッドの走りを楽しみたい。
サラブレッドが生まれたのは、ほぼ9割がたが、北海道だ。サラブレッドたちは、北海道の風の匂いや大地の鼓動を感じ、どこか懐かしいような感覚になっているのではないだろうか。
例えるなら、実家の近くにでも帰って来た感覚かもしれない。
北海道最大の都市札幌。
その札幌のほぼ真ん中に、札幌競馬場はある。
某不動産屋さんの『住みここち「駅」ランキング北海道版2020』で、札幌競馬場のある桑園は、昨年の16位から2位に浮上した。所在地的には、全く申し分ない。街の真ん中でサラブレッドが走っていると考えてもいい。
あまりにもアクセスが良すぎて、競馬場から出てからの目的地には困らない。例えばサラブレッドに人格があるなら、お酒好きは間違いなくそう遠くないすすきのへ繰り出すだろう。美味しいお刺身を食べたいと思っているサラブレッドがいたら、競馬場の向かい側にある中央市場へ行けば、新鮮なタラバガニやウニなどにありつける。夏は、ほぼお目にかかれないが「八角(トクビレ)」は、絶品だ。食べられるチャンスがあれば、是非食べてもらいたい。
札幌は、毎年1月に行われるスキージャンプのワールドカップなどに参戦している世界のトップジャンパー達にも、人気があるそうだ。
とくにジャンプ競技が行われる大倉山シャンツェや女子の大会などが行われる宮の森シャンツェにしても、街を見渡せる山にあるシャンツェだけに、ビル街に飛び込む感覚があるようだ。
欧州などにあるシャンツェは、街もシャンツェも周りが山々に囲まれた環境の場所にあるだけに、都会にあるシャンツェは珍しいらしい。
大会当日の朝、調整の為に、ビル街をランニングしている選手を見かける事が出来る。
おそらく、サラブレッドも都会の風を感じているに違いない。自分が生まれた、大空と大地の北海道日高地域とは、ほとんど真逆と言って良い環境・札幌。そして、ほぼ札幌の中心部と言っていいと思う桑園地区。しかしやはりどこか、北海道らしさがそこら中に溢れかえっている。
そして、洋芝の緑まぶしいコース。ダートコースも夏空のブルーと砂の黒っぽい色が見事なコントラストで、まさに夏競馬らしさが感じられる。
北海道の短い夏を、暑く──もっと暑く、さらに熱くする、札幌競馬。
また、ひとつ夏の想いでが刻まれる。
サラブレッド達が、その想いをのせてコースを駆け抜ける。
その瞬間を、見逃さない。