桜花賞TR最終便は登録多数で出走すら困難!?
波乱必至の大混戦へ。
12日の阪神メインは桜花賞TRのフィリーズレビューが行われます。
桜花賞が行われる外回りの芝1600Mで行われるチューリップ賞とは違って内回りの芝1400Mで行われること、桜花賞まで中3週とやや間隔が短いことから、あまり桜花賞へと直結していない印象もあるかもしれません。ただし、昨年の2着馬ナムラクレアは後に函館SS・シルクロードSを制し、一昨年の2着馬ヨカヨカは北九州記念を制するなど、後にスプリント路線で活躍する馬を輩出しています。
桜花賞までを見据えるよりも、このレースで結果を出したい馬たちが揃ったレースとも言えるかもしれません。出走登録が28頭と多く、出走する段階から狭き門となっています。桜花賞への権利取りを含め、多頭数による激戦必至のレースと言えるでしょう。
近年は阪神で行われたファンタジーS組が注目か?
桜花賞TRであるフィリーズレビューですので、もちろん桜花賞を目指す馬が前哨戦に選ぶケースも見受けられますが、本番の桜花賞でも上位を争うような馬は同コースのチューリップ賞を前哨戦に選ぶケースが多いので、どちらかというと阪神JFでは伏兵だった馬やちょっと敷居が高かった馬が、チューリップ賞よりややメンバーの落ちるフィリーズレビューを選ぶ例の方が多いです。
20年のフィリーズレビュー2着だったヤマカツマーメイドや、21年の勝ち馬のシゲルピンクルビー、22年の2着馬のナムラクレアがそのケースに該当し、結果を出していますが、近年で注目なのが阪神で行われたファンタジーSを使っていた馬が同コースのこのレースで好走するケースです。
京都競馬場の改修工事により、20年と21年のファンタジーSは阪神芝1400Mで行われましたが、20年のファンタジーS出走組の多くが翌21年のフィリーズレビューに出走しています。同レースで2着だったオパールムーンは1番人気に推されて9着と敗れてしまいますが、同レースで5着だったヨカヨカが2着、同レースで6着だったミニーアイルが11番人気ながらも3着と好走しました。
21年ファンタジーS組も2着だったナムラクレアが翌22年のフィリーズレビューでも2着。5着だったアネゴハダもフィリーズレビューでは3着と好走しています。キャリアが少ない3歳牝馬ですので、同じ阪神芝1400Mでの重賞を経験しているメリットは大きいと言えるでしょう。今年も昨年のファンタジーSに注目すべきなのは明らかです。
フィリーズレビュー 注目馬紹介
リバーラ - 同コースのファンタジーS勝ちは実績上位。1400Mで改めて活路を見出すか。
昨年のファンタジーSを勝ったのがリバーラです。
2戦目の新潟芝1200Mの未勝利戦を勝った次戦にファンタジーSを選択。レースでは好スタートを決めて前半600M34秒5のペースで逃げていき、そのまま押し切って勝利しました。
続く阪神JFは押し出されるように先行しますが、ハイペースで先行したこともあって4角で手前を替えた時に気持ちが切れてしまったようです。馬の気分次第なところがあるので安定感のあるタイプとは言い難いですが、速い馬場で前が残りやすい傾向のある今の阪神の馬場ならスタートが決まって先行できれば、ファンタジーSと同様に巻き返す可能性が高いのではないでしょうか。
ブトンドール - 将来的にはスプリント路線で注目の1頭。素質の高さでここでも期待したい。
ファンタジーSの2着馬がブトンドールです。
連勝で函館2歳Sを勝利し、3戦目がファンタジーSでした。距離延長が課題になっていましたが、後方2番手からの競馬になり、3~4コーナーで大外を回って直線ではよく伸びました。結果は2着でしたが、1400Mにも対応できるところを見せました。続く阪神JFでも後方から外を回しましたが伸び切れず10着。1400Mへの距離短縮は向くでしょう。
ただ、1400Mになると後方からの競馬になると思われるので展開が向かない可能性もあります。
レース展開が鍵を握りそうです。
ポリーフォリア - まだ底を見せていない存在。関東の秘密兵器となるか?
キャリアが少ない3歳牝馬ですので、1勝クラス勝ちは相対的に力上位と言えます。
その中でも3戦2勝とまだ底を見せていないのがポリーフォリアです。
新馬戦は東京芝1800Mでしたが逃げて6着。
2戦目は中山芝1600Mに距離短縮してのレースで逃げ切り勝ちを収めました。
圧巻だったのは3戦目の1勝クラス。東京芝1400Mで行われたレースで離れた2番手を追走し、直線では少し後ろから伸びてきた2着馬との一騎打ちになりましたが、突き離して勝利をあげています。
牡馬混合のレースのため価値の高い勝利でしたし、2番手からでも競馬ができたのが大きな収穫でした。
今の阪神の馬場を考えれば、前目の位置につけて速い上りを使えるのは絶好の脚質。2連勝の勢い十分に重賞制覇してもおかしくありません。
トラべログ - 2戦2勝の無敗馬。関西遠征は自信の表れか。
今週行われる桜花賞トライアルは関西でフィリーズレビューがあり、関東ではアネモネSが行われます。そのアネモネSに出ていれば間違いなく勝ち負けできたであろうトラべログに注目です。
トラベログのデビュー戦は、福島の芝1200M。好スタートを切りつつも、ハナを叩く馬がいたので2番手に控えて直線へ。そこでは外へ外へと膨れてしまい一時的に逃げていた2着馬に突き放されてしまいましたが、立て直すと鋭く伸びてゴール前で差し切り勝ちをあげました。
2戦目の菜の花賞は好スタートからハナを切り、道中少しペースを緩めて直線へ。初戦では外に膨れていましたが、2戦目ではまっすぐスムーズに走って2番手以降を寄せ付けずに逃げ切り勝ちを収めています。ここでは明らかに力が一枚上と感じさせる勝ちっぷりでした。
菜の花賞はなかなかのハイレベルで、2着のニシノコウフクは続くデイジー賞(中山芝1800M)で3着、4着だったアリスヴェリテは前走つわぶき賞4着と好走しています。このつわぶき賞の3着がチューリップ賞を勝ったモズメイメイですから、菜の花賞は1勝クラスの牝馬限定戦としてはレベルが高かったと言えるでしょう。
この勝ちっぷりを考えれば日曜中山で行われるアネモネSに出走していれば勝ち負けできていた可能性は高いと言えます。そこを敢えて阪神コースのフィリーズレビューに出走してきたというのは手応えがあるか、桜花賞まで見据えているか──という事でしょう。スタートが速く、位置にはこだわらないタイプなので、先行激化する中でも巧い立ち回りを見せてくれるのではないでしょうか。連勝の勢いそのままに無敗で重賞制覇をしてしまうかもしれません。
シングザットソング - 先行激化の流れで、後方からの末脚一閃!
明らかに逃げ・先行馬が多く、桜花賞への権利を取りたい馬が多いメンバー構成となった今年のフィリーズレビュー。後方からの差し馬には展開が向く可能性もあるでしょう。
そこで浮上するのが、キャリアの3戦すべてで上り3ハロン33秒台を記録しているシングザットソングです。
新馬戦は阪神芝1600Mでスローからの瞬発力勝負になりましたが、外から上り3ハロン33秒5の切れを見せて快勝。2戦目の白菊賞では、スタートで出遅れて離れた後方からのレースとなります。3~4コーナーでもまだ最後方にいましたが、直線では最内に進路を取って伸びてきました。結果は5着でしたが、手応えのあるレースぶりだったと言えます。3戦目のエルフィンSでもスタートで出遅れて最後方からの競馬に。直線でも一番外から上がり最速で伸びて2着とクビ差の3着と着順をあげました。上り3ハロンは33秒2で、3戦続けて上がり最速で伸びています。
不器用な一面もあるので『阪神芝1400Mでどうか?』という懸念はあるでしょう。しかし大物感のある馬ですから、展開次第では後方からまとめて交わすシーンもあるのではないでしょうか。
ムーンプローブ - 先行激化する流れになりそうだからこそ、距離短縮組も魅力。
ここまで挙げてきた、リバーラ、ポリーフォリア、トラべログは逃げる可能性もある先行馬です。
阪神の馬場が速い馬場であることからもかなりの先行激化が予想されます。
元々フィリーズレビューは芝1600Mからの距離短縮組が有利な傾向のレースですが、今年のメンバーも先行激化で距離短縮組が浮上する展開になる可能性が高いです。
そんな中で注目なのが、阪神芝1600Mで2勝を挙げているムーンプローブです。
2戦目と3戦目は阪神芝1600Mでのレースでしたが、2戦目は3番手から、3戦目の白菊賞は2番手から押し切って勝利。しかも、3戦目の1勝クラス勝ちはファンタジーS3着馬のレッドヒルシューズですから価値が高いです。
しぶとく脚を使うタイプなので先行激化する混戦で力を発揮できるのではないでしょうか。前に行く馬を行かせて長くいい脚をしぶとく使って粘り込む…そんな競馬が見られるかもしれません。
桜花賞への権利取りを狙い、激しい先行争いで幕をあける熱戦になる可能性は十分です。
いよいよ桜花賞への出走メンバーも固まってくる時期となりました。華やかな桜花賞へ出走を望む牝馬たちの強い想いが桜花賞への期待を高めてくれるのではないでしょうか。この記事がその期待感を高めてくれること、そしてレースを楽しむための参考になれば幸いです。
写真:かぼす