[金鯱賞]プログノーシス、フェーングロッテン、ディープモンスター…。大舞台に向け好発進を見せるのはどの馬か。 - 重賞プレビュー

今年の金鯱賞は激戦必至!?
巻き返しを誓う馬達が集結し、火花を散らす。

今週から始まる中京開催。この開催の最後には高松宮記念があります。

開幕週の日曜メインは、大阪杯の前哨戦となる金鯱賞が行われます。
4月に行われる大阪杯の前哨戦という立ち位置にあるレースです。昨年勝ったジャックドールは大阪杯で2番人気5着、2着だったレイパパレは大阪杯でも2着、そして勝利したポタジェは金鯱賞では4着だったので、大阪杯との関連性が高いと言えるでしょう。今年も、大阪杯を占う上でも注目の一戦です。

今年のメンバー構成を見渡すと、前走で力を出し切れずに今ひとつの結果で終わってしまった馬が集まった印象です。ここで良い結果を残してG1に挑みたいという馬が中核を占めていますし、3勝クラス・OP競走を勝って重賞に挑む馬もいます。各陣営が仕上げて臨む一戦になりそうですし「どの馬が本当に力のある馬なのか?」「この馬はG1でも戦えるのか?」という点でも楽しめるレースと言えるでしょう。

今年も冬に芝の張替えを行っての3月開催。
レースの展開に大きな影響が出るか?

メンバー構成だけでも難解なレースではありますが、それに加えて中京の芝コースの傾向が掴みにくいのは確かでしょう。その中京コースで大きな影響を与えるのが、馬場状態です。中京開催は昨年の12月、1月開催と続いて使い込まれたために、最終週の馬場はかなり荒れた状態でしたが、開催が無い4週間の間に芝の張替えを行っています。昨年からこの時期に芝の張替えを行ったので、昨年の3月の中京開催は速い時計が出る馬場での開催でした。実際、昨年の金鯱賞はレコードタイムでの決着。ジャックドールが速いペースで逃げていった結果ではありますが、他のレースでも開幕日の2勝クラスの芝2000Mでも1分59秒2というはやいタイムが出ていました。

今年も1月開催後に芝の張替えを行っているのではやいタイムでの決着が予想されます。また、3~4コーナーは内から5.4M、直線部分は8.1Mほどの芝を張り替えたので内の馬場状態が良いことが想定されます。内、前を通る馬が有利になる可能性が高いのではないでしょうか。

福永騎手の引退で、中京コースは川田騎手の一強体制に?

中京開催ではっきりした傾向が見られるのが騎手成績です。

今年のこれまでの中京開催で、リーディングは川田騎手の21勝。
2位の福永騎手が12勝だったので、断然の成績と言えるでしょう。

3位が松山騎手で10勝、4位がD・イーガン騎手の10勝ですから、今開催で騎乗できない福永騎手とイーガン騎手を除けばより川田騎手の一強体制と言えるのではないでしょうか。

川田騎手は他のコース全体で含めて29勝を挙げていますが、その大半である21勝が中京と、かなりの固め打ちとなっています。しばらくは、重賞などで川田騎手が中京に来ている場合、注目すべきでしょう。ちなみに5位以下は坂井騎手(10勝)、岩田望騎手(9勝)、鮫島駿騎手(7勝)ですので、第3場扱いの時は彼らが中心になるのではないでしょうか。

金鯱賞 注目馬紹介

プログノーシス - 無冠の大器がここで重賞制覇か? 最強タッグで巻き返しを誓う。

メンバーの中で中心視される1頭がプログノーシスでしょう。
7戦4勝という素晴らしい戦績を誇る同馬。毎日杯では、後にダービーを勝つシャフリヤールの3着となり、自己条件で3連勝して一気にOPクラス入りを果たしています。その勢いのままOP競走や重賞も連勝したかったところでしょうが、アンドロメダSで2着、前走の中日新聞杯では4着と、その素質の高さを発揮し切れていません。

特に、前走の中日新聞杯ではスローペースのなか、道中後方2番手からの競馬となってしまい、直線では一番外を回して残り200Mでもまだ後方でした。残り100Mから一気に伸びてきましたが、勝ち馬から0秒1差の4着まで。完全に脚を余した印象になってしまいました。

今回もスローで流れる可能性が高いですし、内の馬場が有利な点から後方を回って届かない可能性もありますが、今回はこれまでの4勝全てを挙げている川田騎手に手が戻ります。
中京で圧倒的な成績を残している川田騎手ならうまく立ち回ってくれるのではないでしょうか。

フェーングロッテン - 飛躍を誓う明け4歳馬。積極策が実を結ぶか。

今年に入って重賞戦線で結果を出している明け4歳勢。
昨年のラジオNIKKEI賞を勝ったフェーングロッテンもまた、今年の飛躍を期待したい1頭でしょう。

新潟記念でも先行して3着と結果を残している同馬。その新潟記念を勝ったカラテは続く天皇賞秋で6着ですから、7着だったマリアエレーナに近い能力を持っていると言えます。前走の中山金杯の勝ち馬ラーグルフは続く中山記念で2着ということを考えれば、フェーングロッテンもこのメンバーでも勝ち負けできる力があると考えても良いのではないでしょうか。

中山金杯では逃げましたが、今回の中京コースは芝を張り替えたばかりの開幕週。
今回も同様の作戦に出た場合、展開を味方にできる可能性が高いと言えるのではないでしょうか。

マリアエレーナ - 牝馬限定重賞ではなく、混合G2戦を選択した陣営の心意気。得意の舞台で互角以上に。

5歳牝馬のマリアエレーナは、中山牝馬Sではなくこちらを選択。
中山牝馬Sはハンデ戦なので斤量が厳しかっただろうとは思いますが、それでもあえて牡馬の強い馬との対戦を選んだことには陣営の心意気を感じます。

小倉記念を圧勝した次走は、天皇賞秋で7着。さすがにここは敷居が高かった印象ですが、年明け初戦の愛知杯でも3着と、やや力を出し切れませんでした。重馬場で56.5キロの斤量はちょっと厳しかったようです。

今回は良馬場濃厚ですし、芝の張替えを行ったのでこの馬向きの軽い馬場になる可能性が高いです。展開的にもガンガン飛ばす逃げ馬がいないので、スローペースになりやすく、その流れで内、前の位置という絶好の位置が取れそうです。また、中京芝2000Mは4走して、1,3,2,3着と完璧な成績。強力な牡馬相手ですが、互角以上に戦えるのではないでしょうか。2週連続で重賞を制覇している松山騎手の勢いにも期待したいですね。

ヤマニンサルバム - 中京コースは4戦4勝! 成長著しい素質馬が、得意コースで重賞制覇を狙う。

今年の金鯱賞は、フェーングロッテンが逃げて、それをマリアエレーナがマークする形で流れていくと思いますが、馬場がいい開幕週ですから、思わぬ馬が先行して先行激化してハイペースになる可能性もあるでしょう。

そのように展開がどうなるか分からない時には、コース相性も気になるところ。
そこで、中京コース4戦4勝のヤマニンサルバムの立ち回りに注目が集まります。

2勝クラス、3勝クラス勝ちが同コースの中京芝2000Mである同馬。
2勝クラスでは道中3,4番手を進んで早め先頭で抜け出しての快勝、3勝クラスでは直線でも内目でじっとして進み、スペースができると抜け出して快勝ですから、今の中京の馬場にピッタリと言えるでしょう。

前走は切れ負けして3着でしたが、最内を通って2着のドーブネにアタマ差の3着。そのドーブネが中山記念3着ですから、初重賞でも好走できる下地があると言えます。得意の中京で内々を回る立ち回りが合いそうな1頭ではないでしょうか。

アラタ - プラス24キロを叩いた2走目。堅実派が綺麗な馬場で躍動するか?

今から振り返るとなかなかレベルが高かったといえる今年の中山金杯。
内、前が有利な展開で決まったレースかと思いきや、勝ったラーグルフが中山記念で2着に入ったことからも、そのレースレベルの高さを証明しました。

その中山金杯で、4着ながらも見せ場を作ったのがアラタです。
昨年の函館記念から、6,4、3,4着とワンパンチ足りない競馬が続いていますが、前走の中山金杯では内、前が有利の展開の中、馬群の一番外から追い上げて差の無い4着まで押し上げました。

馬体重が24キロ増で挑んだ前走は、馬体の成長分もあったものの結果的には少し重かった印象。叩いた今回は上積みを期待できますし、中京芝2000Mでも勝っているのでコース経験もあります。

重賞で堅実に走る同馬が馬体増で成長しているなら、一気に好走を期待しても良いのではないでしょうか。

ディープモンスター - 近走の安定度は抜群。戦ってきた相手を考えればここで通用する可能性は十分。

今年は「近走でやや崩れている馬がいかに立て直すか?」が焦点となるメンバーが集結した金鯱賞。

その中にあって近走で2,2,1着のディープモンスターの安定度は群を抜いていると言えるでしょう。

重賞ではなくOP競走での戦績ですので確、かにややレベルは低いですが、2走前のアンドロメダSの勝ち馬はマテンロウレオ。同馬はその後、中日新聞杯2着、中山金杯5着、京都記念2着ですから、アンドロメダSでの0秒2差2着は価値があります。マテンロウレオを物差しにするなら重賞で戦えてもおかしくない力関係と言えます。前走の関門橋Sでは長くいい脚を使って差し切っていますし、距離も引き続き2000Mなら勢いに乗ってそのまま重賞で結果を出してもおかしくありません。元々、21年の菊花賞で5着がある同馬。素質が開花してきたという事でしょう。

自分から動いて長くいい脚を使うタイプですし、回りの左右は問わないので、中盤から動いて長くいい脚を使えば今の中京には合うのではないでしょうか。

メンバー的にはプログノーシスが人気になりそうですが、馬場や展開から混戦模様の今年の金鯱賞。

21年には3冠牝馬のデアリングタクトが敗れたように、逃げ切る馬が出てきて波乱の結果になるかもしれません。昨年はこのレースの上位馬が大阪杯で結果を出したことからも注目の一戦。ここで良い勝ち方をして大目標に挑みたい馬も多いでしょう。各馬の熱い戦いに期待したいですね。

この記事が皆さんの参考になれば幸いです。

写真:かぼす、プロトン、ちゃぼ

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