[京王杯SC]ダノンスコーピオン、レッドモンレーヴらが激突する安田記念の前哨戦。 - 重賞プレビュー

マイラーVSスプリンター!
東京芝1400Mで交わる2つの路線。

13日土曜の東京メインでは京王杯スプリングカップが行われます。1着馬には安田記念への優先出走権が与えられるトライアルレースですが、近年の上位馬は3月末の高松宮記念を使った馬が多くみられます。19年のタワーオブロンドン、20年のダノンスマッシュといった短距離G1勝ち馬がこのレースを勝ち、昨年はメイケイエールが馬場の真ん中を鋭く伸びて勝利しました。今年はどんな馬が安田記念への出走権を手に入れるでしょうか?注目です。

このレースは1400Mという非根幹距離のため、1200M路線で戦ってきた馬と、1600M路線で戦ってきた馬が集うレースでもあります。そのため各馬の能力比較が難しく、展開も読みにくい難解なレースとなっています。

NHKマイルカップの日の東京競馬場の傾向を振り返る

安田記念への前哨戦ということもあって実力馬が揃ったため、どの馬が勝ってもおかしくないのですが、そんな実力伯仲の混戦をさらに難解にしているのが馬場状態です。天候面も含めて参考にしたいのが、NHKマイルカップが開催された先週日曜日日のレースです。

5月7日(日曜)東京コースの芝レースは全部で6レース。3着以内に入った馬が計18頭います。その内10頭が『近5走以内に東京コースで3着以内に入った馬』という傾向がありました。当たり前と言えば当たり前かもしれませんが、東京コースで結果を残している馬を素直に評価するべきというところでしょう。

また、東京コースが未経験で3着以内に入ったのは1頭だけ、左回りよりも右回りの方が勝利数が多かった馬も1頭だけでした(同数は2頭)。左回り、特に東京コースで実績を挙げている馬に注目するのがいいのではないでしょうか。

京王杯SC 注目馬紹介

ダノンスコーピオン - G1馬がここから始動。マイル王を目指すならば、ここでは負けられない。

注目馬を集めるのが、昨年のNHKマイルカップ勝ったダノンスコーピオンです。

昨年秋は東京芝1600Mの富士Sで始動。外を回って早めに先頭に並びかけ、最後はセリフォス・ソウルラッシュと3頭の競り合いになりましたが、クビ差・クビ差の3着と、惜しい競馬となりました。

続くマイルCSは11着で力負けという印象ですが、騎乗した川田騎手によるとまだ成長段階だったという事で、参考外と見て良いでしょう。続く香港でのマイルカップは乗り替わりでしたし、相手は香港の名馬カリフォルニアスパングルたちですから相手が悪かったと言えます。今回はメンバーの中でも中心的な存在ですので、成長を見せつつどんな走りをするのかが問われるレースになりそうです。

レッドモンレーヴ - 走り慣れた東京で、改めて期待。

前述したように、東京実績がある馬が有利になりそうな今年の京王杯SC。東京コースで改めて期待したいのが、このレッドモンレーヴです。

前走のダービー卿CTでは出遅れてしまって後方から。レースのペースがスローで進んでしまったので完全に展開負けでした。

また、久々の中山という事もあってか、返し馬の時点で気難しい面を見せてしまっていたので、競馬どころではなかったようです。

それでも上り3ハロンは最速の33秒0で追い込んできたので能力の高さは明らか。走り慣れた東京なら落ち着いて走れるはずですので、巻き返す可能性は高いのではないでしょうか。

トゥラヴェスーラ - 21年は上り3ハロン32秒5!切れ味比べもできる、晴れ雨兼用の実力派。

先週は雨の中で競馬が行われたので、馬場にダメージが蓄積しているかもしれません。重馬場適性も考慮すべきでしょう。

前走、不良馬場で行われた高松宮記念で3着だったトゥラヴェスーラには注目が集まります。

高松宮記念では1番枠から枠なりに内を通って直線でも最内へ。各馬が外に馬を出していたので、最内はかなり馬場が悪かったはずですが、しぶとく脚を使って3着に粘りました。この競馬ぶりから不良馬場適性があるのは確かです。そのため「切れ味勝負になりがちな東京でどうか?」という疑問もわきますが、意外にも(?)この馬は21年の京王杯SCで2着という実績を持ちます。しかも、上り3ハロンは32秒5と驚異的な数字。東京コースはその時以来になるので、同様の切れを見せる可能性もあるでしょう。

晴れ雨兼用の馬として、注意が必要ではないでしょうか。

ラウダシオン - 1200Mでもなく、1600Mでもない。1400Mのスペシャリストとして参戦!

ここまで好走条件を取り挙げてきましたが改めてまとめると、東京コース実績がある馬、渋った馬場でも走れる馬がベストと言えるでしょう。東京コースで出走馬最多の3勝を挙げているラウダシオンが今回巻き返す可能性も考えて良いのではないでしょうか。

20年のNHKマイルカップの勝ち馬である同馬。
好走歴が3歳、4歳時に集中しているので、今では競走能力のピークを過ぎている可能性もありますが、昨年の阪神カップでは3着と好走しました。追い込みの競馬で、新境地を開いたのかもしれません。

今年の2戦は海外で参考外。一番実績を挙げている東京コース、1400Mで今回はG1の前哨戦です。伏兵扱いの同馬がここを目標に激走する可能性も考えていいかもしれません。鞍上も一発を期待できる岩田康騎手。海外帰りでも調教の動きが良かったようですから、期待したい1頭ですね。

アヴェラーレ - ヴィクトリアマイルではなくこちらを選択。吉と出るか?

どの馬が勝ってもおかしくない混戦模様となった今年の京王杯SC。
混戦であればあるほど騎手の比重が大きくなるのは道理です。今年の東京ではルメール騎手が現在29勝でトップ。14勝の2位の戸崎騎手に15勝の差をつける圧倒的な成績を残しています。

今回の春開催ではそこまで圧倒的ではありませんが、引き続き東京コースでルメール騎手の存在は無視できません。今回騎乗するアヴェラーレも注目の存在でしょう。同馬は前走で3勝クラスを勝ってOP入りしましたが、まだ格下と言える存在です。ルメール騎手の力でどこまで浮上できるか? というところでしょう。

ただ、東京コースは最多タイの3勝、その3勝がルメール騎手でのものとなれば東京コースなら侮れない存在でしょう。結果的にではありますが、ヴィクトリアマイルにも出走できたアヴェラーレ。ルメール騎手の事情もあると思いますが、5歳牝馬で今年が最後かもしれない状況でのG2へのレース選択。このレースに賭ける陣営の気持ちがレースで好成績を呼び込むでしょうか?

ダディーズビビッド - 左回りの芝1200M、1400Mならどんなコースでも。

最後に、レースの展開から浮上する馬を取り挙げます。
メンバー的に先行馬が少ないので、先行しつつ持続的に脚を使えるダディーズビビッドに展開が向くでしょうか。

2走前の阪急杯で2着でしたが、元々は左回りで結果を出していた馬。
高松宮記念では不良馬場が合いませんでしたが、一度重馬場でも3着があるので、ある程度は渋った馬場でも対応できるでしょう。左回りなら中京でも新潟でも走ってきた同馬。東京コースでは結果が出ていませんが、今なら好勝負可能ではないでしょうか。1200M戦でも通用するスピードで先行して押し切る展開が向くかもしれません。

ここで取り挙げた他にも、前走ダービー卿CTで3着だったゾンニッヒや昨年のスプリンターズSで2着だったウインマーベル、21年のスプリンターズSを勝ったピクシーナイトも参戦する今年の京王杯SC。
実力伯仲の激戦は、文字通り安田記念への前哨戦と言えるでしょう。また、翌日のヴィクトリアマイルの参考になることは間違いありません。この記事が皆さんの参考になれば幸いです。

写真:かぼす

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