馳走(はせ・はしる)と申します。1995年に、「ダービースタリオンⅢ」の大ヒットをきっかけに中学生の頃から競馬を観始め、その初年度にいきなりサンデーサイレンス旋風の猛威を目の当たりにした40代。既に人生の半分以上を競馬と共に過ごしてまいりました。
現在は、主に一口馬主を楽しんでおりますが、そんな私の目から見た一口馬主の面白さや、思い出の名馬たちについて書いていければと思います。
新年は馬名決定の季節
年が明けると、一口ファンにとっては明け2歳の出資馬となりいよいよデビューに向けて始動する時期という季節になります。同時に、これまで「◯◯の2023」と呼ばれていた馬たちの競走馬名が決定する時期でもあるのです。
一口馬主は正確には「匿名型出資ファンド」と呼ばれる金融商品です。『一口馬主』という響きとは裏腹に、預託厩舎や騎手の選定、ローテーションなど、馬主として決定できるあらゆるものへの決定権を持ちません。
しかし、競走馬名に関していえば「出資者からの公募による決定」という形で自身の意向を反映させられる可能性があります。もちろん公募のため100%通るわけではないですが、大きな楽しみのひとつとも言えます。
私も、毎年出資馬の馬名を応募してはなかなか採用に至らず、実際に決まった馬名の由来などを見ては命名者のセンスに唸ったりしています。
個人的には、父キタサン【ブラック】と、母シャトー【ブランシュ(フランス語で「白」)】の半分、というところから着想を経て、昼夜分点を意味する天文用語より「イクイノックス」という名前を導き出した過程がとても大好きです。そうして命名された馬が競馬史に残るような成績を残して種牡馬入りしたことで、この名前が今後長く血統表に残っていくのが楽しみで仕方ありません(残念ながら非出資馬ではありますが…)。
シルクホースクラブの場合、馬名が採用されるとその証としてクリスタルオーナメントがもらえるのですが(じつは私もひとつ持ってます!)、それ以上に、自分がつけた名前がテレビや新聞の各種メディアに載り、名前が呼ばれ、活躍次第によっては血統表に名前が残っていくかもしれないという、これ以上ないほどの特典がついてきます。本当に一口馬主の醍醐味です。
私も毎年、馬名応募の季節になると(各クラブともおおむね秋ごろに行われます)ああでもないこうでもないと頭をひねらせては、日常で見かける些細な文字列、それこそチラシの隅っこまでを追いかけてネタ探しに奔走しています。
まさかこんなものが「増える」なんて…
そんな一口馬主のライフの中で「増えた」意外な持ちもの…それは「ネーミング事典」です。
一口馬主を続けていると、色々なものが増えていきます。例えば愛馬の写真を撮るためのカメラ(と、そこについてくるレンズ)が「生えてきた」みたいなことは「あるある」ですし、がんばれ馬券用の名刺ホルダーがいつの間にか本棚いっぱいに…などという事もよくある話です。しかし、ネーミング事典が本棚に並ぶようになったのは、私にとっては意外なことでした。
例えば、ある単語を◯◯語に言い換えたら…ということを調べたければ、WEBの翻訳サービスで事足りるのですが(それこそ、聞いたこのもないような言語までサポートされているので)、前述のイクイノックスのように発想を飛ばして…ということになると、専門的な用語辞典を挟まないとなかなかアイディアが出てこないものなのです。
私の家の本棚にも「ファンタジー用語辞典」や「ミリタリー用語辞典」など、ニッチな用語辞典が増えてきました。いずれも読み物としても面白いので、これは一口馬主を始めたことで新たに見つかった思わぬ楽しいことでした。
自分の応募した馬名が採用されるかどうか、結果が出る時期…。1歳馬出資可否の決定直前くらいにワクワクが止まらないのが、一口馬主ライフにおける年明けなのです。