関西が誇る伝統の2歳重賞「デイリー杯2歳ステークス」。
今年は例年の開催地・京都競馬場ではなく、阪神競馬場の芝1600mで行われた。
すなわち12月に行われるG1朝日杯フューチュリティステークスや阪神ジュベナイルフィリーズと同じ舞台であり、次走を見据えた上ではいつも以上に貴重な前哨戦となった。
このレースをステップにクラシック戦線に名乗りを上げるのは果たしてどの馬か。
レース概況
今年のデイリー杯2歳ステークスは少頭数の8頭立てで行われた。
そんな中、主役と言われていたのはレッドベルオーブ。
ここまで2戦は1勝2着1回。前走の未勝利戦では3馬身の差をつけての快勝。さらに、兄には昨年このデイリー杯2歳ステークスを制覇したレッドベルジュールがいるという良血。
血統・戦績の両面で人気を集め、1.3倍もの厚い信頼を受けた。
向こう正面からのスタート。
ゲートが開くと、好スタートを決めたカイザーノヴァとホウオウアマゾンが先行争いを繰り広げる。
そしてゲートの出が悪かったスーパーウーパーが引っかかりながらも上昇し3コーナー手前で先頭に立った。
レッドベルオーブは、道中4番手。
少頭数も相まって馬群は固まって直線に向いた。
直線に入ると逃げるスーパーウーパーを捕えてホウオウアマゾンが先頭に立つ。
外からはカイザーノヴァとスーパーホープが進出を開始、レッドベルオーブは内に進路を求めた。
トップ争いは粘るホウオウアマゾンと内を通ったレッドベルオーブとの争いに。
その攻防は200m近く続いた。ぴったり合った馬体の追い比べはもつれながらゴールに入線。
最後もうひと伸びしたのは、内レッドベルオーブであった。
迫力ある追い比べを制して、重賞初制覇となった。
各馬短評
1着 レッドベルオーブ (福永祐一騎手 1人気)
馬場の良い内側を通り見事1着を取り切った。
道中は4番手辺りを追走。その間ラチ沿いを譲らず経済コースを徹底した。そして直線に向くとスペースが出来た内側を突いてホウオウアマゾンに競り勝つ競馬。
2歳戦とは思えないような、勝負根性を垣間見せる1戦となった。
2着 ホウオウアマゾン (松山弘平騎手 2人気)
レッドベルオーブに競り負けたものの、この馬の強さを感じさせる1戦であった。
好スタートを決め先行勢の一角としてレースを進め、直線に向くとすぐに先頭に躍り出た。
そして詰め寄るレッドベルオーブと激戦を繰り広げ、相手に抜かせない力強さ・粘り強さは今後も武器になるだろう。
3着 スーパーホープ (川田将雅騎手 4人気)
中団やや後ろを追走したこの馬が3着に滑り込んだ。
中団やや後方から直線に向くと熱戦を繰り広げる上位2頭を猛追。交わすまではいかなかったものの鋭い脚で1馬身差まで詰め寄った。
坂のあるコースをもろともしないその末脚は、本番でも期待ができそうだ。
総評
2歳戦とは思えない大人らしさのある激戦となった今年のデイリー杯2歳ステークス。
勝ったレッドベルオーブはこのタイトルを兄弟で制覇。
また1頭、2歳戦──そしてクラシック戦線に名乗りを上げたと言って良いだろう。
そしてホウオウアマゾンやスーパーホープといった各馬も力強いレースを見せた。
どの馬も今後が楽しみになる、そんな仁川決戦であった。
写真:半熟一口馬主