[連載・片目のサラブレッド福ちゃんのPERFECT DAYS]卒業記念撮影会(シーズン1-76)

急遽、北海道に向かうことになりました。福ちゃんが碧雲牧場からエクワインレーシングに移動になることが決まったからです。本音を言えば、もう少し牧場にいさせてあげたかったのですが、小眼球症の馬を受け入れてくれただけでありがたいので、我がままは言えません。セレクションセールが始まる前に移動し、他馬よりもひと足早く馴致を進めてもらえると考えれば悪い話ではありません。

トントン拍子に移動の話が進んだため、福ちゃんの記念撮影も慌てて決行することになりました。スパツィアーレ23のセリ向け写真・動画をお願いした、ノードネットワークス株式会社に今回も頼んでみたらどうかという提案が慈さんからあり、僕も諸手を挙げて賛成しました。シモジュウこと下村社長もセリに向けた販売馬の撮影依頼をしていたり、「コノド」という引退馬牧場を運営されている足立さんがいらっしゃるのも知っていました。福ちゃんの成長した姿を撮ってもらうとしたら、ノードネットワークスさんしかいません。

当初は立ち写真と動画のどちらも撮影してもらおうと依頼していました。福ちゃんは片目が見えないためセリに出場することはできませんが、セリに出すときと全く同じように福ちゃんもしてあげたかったのです。「私だけ撮ってもらえなかった…」と後から言われるのも嫌ですからね(笑)。立ち写真は左側から、正面から、後ろからの3枚、そして1歳時のウォーキング動画も撮って残しておこうと思いました。

ところが後日、「社内で協議しましたが、セリに出すわけではないのであれば、立ち写真だけで良いのではという意見が出ました」とノードネットワークスさんがおっしゃっていると慈さんから連絡が入りました。言われてみれば、ノードネットワークスさんにウォーキング動画まで撮影していただかなくても良いかも、立ち写真だけで十分だと考え直しました。せっかく来ていただくならば両方と思っていたのですが、動画を撮らないだけで北海道までの片道の交通費ぐらいは浮きますし、先方からの提案ということであれば受け入れやすいです。相手のことを考えて、本当に必要なサービスを提供するノードネットワークスさんのスタイルは素晴らしいですね。

福ちゃんが碧雲牧場から移動する数日前に、撮影は決行されました。セリの販売馬の撮影で忙しい時期に、セリに出さない馬の記念撮影まで引き受けてくださって感謝しかありません。撮影の様子を理恵さんたちも動画に収めてくれて、いつもとは違った人たちや雰囲気に福ちゃんもやや戸惑いながらも、なんとかポーズを決めます。撮影が終わって帰っていく福ちゃんの姿を愛おしく見てしまいます。我が愛娘が成人式を迎えた父親のような心境です。僕は娘がいないので、初めてのリモート体験です。

実はこの日の撮影に向けて、碧雲牧場では福ちゃんの全身を洗い、ブラシで磨いて毛艶をピカピカにして、たてがみまで三つ編みに結ってくれました。福ちゃんは初めて体を洗われるので、水がかかるとどのような反応を示すのか分かりません。驚いて大暴れする馬もいるようで、人間もおっかなビックリです。よく競馬場で馬が気持ちよさそうに洗われているシーンを見たりしますが、あれは馬も慣れているからこそ。初めての水洗いの様子を動画に収めてくれたのですが、福ちゃんは意外にもすんなりと洗ってもらっていて、碧雲牧場の皆さんとの関係ができているからこそだと感じました。馬と人の間に信頼関係を築いていくことで、何をするにしても、スムーズかつ安全に行うことができるのでしょう。

たてがみを綺麗に三つ編みしてもらった福ちゃんは、まるで別馬でした。あとから送られてきた写真を見て、改めて「大きくなったなあ」という感慨が湧いてきました。毎日、動画で見ていると、時の経つのはあっという間で、大きくなっているのは分かっていても、こうしておめかしして写真に撮ってもらうと、実に大人の美しさを醸し出していて、何だかあの福ちゃんではないような気になります。

僕のお気に入りは、福ちゃんの左側から撮影した顔の写真です。普通の馬とは違って目が小さく、最初は違和感を覚えるのですが、しばらく見ているうちに慣れてきて、愛おしく思えてきます。僕たち人間の勝手な思いなのかもしれませんが、よくぞここまで育ったなあと、写真越しに撫でてあげたくなるような、つぶらな瞳です。

photo by 株式会社ノードネットワークス

後日、ノードネットワークスの足立さんからは撮影時の動画も送られてきました。僕たちがYouTubeチャンネルをやっているのを知っていて、サービスで撮ってくださったのだと思います。痒いところまで手が届く、素晴らしい仕事だと感激しました。その動画には碧雲牧場の皆さんの姿も映っていて、どれだけ福ちゃんが愛されて育ててもらったかが伝わってくるようでした。

慈さん、理恵さん、お母さま、ミヅキさん、ミユさん、青木さん、コーセーくん、皆さん本当にありがとうございます。1頭の馬がこの世に生を受け、1年半、牧場で大切に育てられていく日々を共に過ごすという、お金では買えない最高の体験ができました!

photo by 株式会社ノードネットワークス

(次回へ続く→)

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