![[世界への挑戦]ドバイのオールウェザー元年を制した女傑-レッドディザイア](https://uma-furi.com/wp-content/uploads/2026/04/p97-RED-DESIRE2-scaled.jpeg)
ライブリマウントが初めて挑戦した第1回のドバイワールドカップから日本馬はナド・アルシバの地に挑み続け、トゥザヴィクトリーの2着が最高着順。惜敗はあれど、勝利を挙げることはできていなかった。だが、2010年に開催場がメイダン競馬場に移った際、コースが従来のダートからオールウェザーに移設。これまでの芝やダートとは全く違う未知の世界が開かれた元年に、日本から初めてこの馬場に挑んだのがレッドディザイアである。
日本では同世代のブエナビスタと幾度となくデッドヒートを繰り広げて秋華賞を制覇したレッドディザイアは、続くジャパンカップで3歳牝馬としては13年ぶりに3着以内に入線するなど大活躍を遂げる。そんな彼女が古馬となって選んだのが、日本馬にとっては初となるオールウェザーのレース。しかし彼女はここで、歴戦の猛者たち相手に鮮烈な勝利を遂げたのである。
今回は、レッドディザイアのマクトゥームチャレンジラウンド3での偉業を振り返る。
■ 初めて尽くしのオールウェザーで魅せた華麗な末脚
1996年、シガーが優勝した第1回ドバイワールドCからはじまった中東の競馬はその14年後に転機を迎える。ドバイにおける競馬の中心地でもあったナド・アルシバ競馬場が閉場し、2010年、メイダン競馬場に舞台が移った。
メイダンはナド・アルシバの隣に位置し、敷地の一部が重なっている。すぐ横にお引越しといった感じではあるものの、メイダンはダートではなく、オールウェザーコースが敷設された。ちょうどアメリカで馬場状態を均一に保てるオールウェザーコースの導入が義務づけられ、ダート最強馬たちの凡走からダートへの回帰の声が高まった時期と重なる。
ドバイのオールウェザーは開発社の名前をとり「タペタ」と呼ばれた。2010年のドバイはこのタペタへの適性が話題のひとつだった。メイダン元年、日本からはレッドディザイア、ウオッカの牝馬2頭が前哨戦から参戦。舞台はマクトゥームチャレンジラウンド3。オールウェザー2000mで争われる。
過去2年、ナド・アルシバの芝に挑んだウオッカと秋華賞馬にしてジャパンC3着のレッドディザイアの挑戦は、タペタがダートより芝適性に近いという読みがあった。レッドディザイア陣営はタペタへの適性をみて、本番は同舞台のワールドCか芝を選択する予定だった。
ライバルは年上の日本ダービー馬のほかにも、前年のドバイワールドC2着グロリアデカンペオンや凱旋門賞3着キャヴァルリーマンと強敵ぞろい。初の海外遠征、未知なる馬場タペタ。レッドディザイアが乗り越えなければならない壁は多かった。
鞍上オリビエ・ペリエ騎手は初手で後方からのレースを選択した。前では逃げるグロリアデカンペオンに対し、ウオッカが3番手につけ、各馬折り合いに専念しながら静かに進む。3コーナーを迎えてもグロリアデカンペオンは仕掛ける気配がなく、レッドディザイアは後方2番手付近のまま。直線入り口で鞍上が2番手以下の脚色を確認したグロリアデカンペオンは余裕たっぷりに仕掛けていく。好位勢につかまる気配はなく、前年2着馬はタペタを一切苦にしない。押し切り濃厚と思われたゴール前。外から一頭飛んできた。レッドディザイアだ。

まるで芝を走っているかのような豪脚で鮮やかに差し切ってみせた。勝ったと思った瞬間の強襲にさぞグロリアデカンペオンも度肝を抜かれたにちがいない。
この勝利から5年後、メイダンはタペタからダートに変わった。維持費や管理上の問題とされるが、主流をダートに戻したアメリカから一線級が参戦しなくなったことも響いたようだ。結果としてオールウェザーの重賞を制した日本調教馬はレッドディザイアと、翌年ワールドCを勝ったヴィクトワールピサしかいない。
文:勝木淳
写真:Dubai Racing Club
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