[ウマ娘]競馬からウマ娘、ウマ娘から競馬へ。4人の『ウマ娘』ファンに魅力をインタビュー!

メディアミックスコンテンツ『ウマ娘 プロジェクト』。
競馬ファンがウマ娘を好きになり、ウマ娘ファンが競馬を好きになる──。
そんな風に相乗効果を発揮しているコンテンツだが、今回は「競馬→ウマ娘」「ウマ娘→競馬」と競馬・ウマ娘にハマった双方のファンに、競馬・ウマ娘の魅力を伺ってきた。

『ウマ娘』から入り込み、競馬でビールを飲む幸せを知る。

「元々、父親は競馬好きでした」と語る"みそにこみ”さん。ウマ娘を見て、競馬ファンになった一人だ。
みそにこみさんとウマ娘との出会いは、友人宅だった。

「友達が家でずっと『うまぴょい伝説』を流していまして。さすがに1日中聴かされると気になってきて、帰宅後にアニメを観ました」

そしてアニメ『ウマ娘』を見始めると、一気に引き込まれた。特にお気に入りは、1期最終話の『うまぴょい伝説』が流れるシーン。『ここに繋がるんだ!』と思い、感動したのを今でも覚えているほど。
「まさに『萌え』ならぬ『燃え』アニメですよね」と、みそにこみさんは熱弁する。

「初めて競馬場に行ったのは、2019年。同じくウマ娘が好きな友人に誘われて、足を運んでみました。目の前で見る競馬は格別ですね! お酒が好きなこともあって、昼からビール飲みながら馬を応援できるのは最高です」

初めて訪れた競馬場は、中山競馬場。
どこか、懐かしい雰囲気を感じた。
これまで競馬にあまり興味がなかったが、今ではとても楽しいものに変わったのだとか。

「ウマ娘は、史実を調べて、そのモデルとなった競走馬をより深く理解すると、もっと楽しくなるコンテンツだと思います!」

そんなみそにこみさんの"推し馬"は、初めて馬券を当てた時の勝ち馬ヴェロックス。ウマ娘ではトウカイテイオーがお気に入り。今は、コロナ禍の終息、そして競馬場でのんびりとビールを飲む時間が戻ってくることを、願っている。

みそにこみさんが描いた
トウカイテイオー

モデル馬の歴史に興味を持つ"楽しみ"に目覚めた!

"でじまり"さんも、同じくウマ娘から本格的に競馬の扉を開いた。
ウマ娘を知ったのは、Twitterでフォロワーさんに勧められたことがきっかけだ。

「とにかくキャラクターみんなが可愛いですよね! 私はマヤノトップガンちゃんがドンピシャで、ウマ娘の世界にのめり込んでしまいました(笑)」

でじまりさんが初めて競馬に触れたのは、2009年の有馬記念。テレビでの観戦だったという。
しかし当時は競馬が全くわからなかったので、名前からテイエムプリキュアを応援したのだとか。
テレビ越しに聞こえるお客さんの歓声に、本当にテンションが上がったというでじまりさん。それだけに、競馬への偏見は少なく「競馬はスポーツというイメージが強かった」とのこと。

「ウマ娘に触れてから本腰を入れて競馬を見始めたことで、アーモンドアイやキタサンブラックといった最近の名馬達はもちろんのこと、キャラクターを通じて過去の名馬のことも分かってきたので、さらに好きになりました!」

そんなでじまりさんの”推し”ウマ娘は、もちろんマヤノトップガン。
元気で可愛いところが本当に大好きなのだという。
そして競走馬の”推し”は、オグリキャップだ。

「小さいころに家にオグリキャップのビデオがあって、よく見ていました! 当時は知らなかったのですが、地方から中央への挑戦にドラマ性があって、果敢に挑戦したオグリキャップは本当にかっこいいです!」

でじまりさんはゲーム『ウマ娘』を、ウマ娘を知らない方もおすすめしたいと語る。

「元々『ウマ娘』を知らない方でも、プレイしているうちにキャラそれぞれの可愛さや、さらにはモデル馬の歴史について興味を持てて純粋に楽しめると思います! もちろん『ウマ娘』が好きな方は、キャラクターと二人三脚で目標に向かって頑張れること、そして最後のレースを勝った時の達成感を味わえることは最高ですよね! 競馬の方もウマ娘にゆかりがあるキャラクターを追いかけて応援するのも楽しいです。女性の方も楽しめるUMAJO SPOTもあるので、また競馬場に行けるようになったら女子会なんかもおすすめです!」

製作陣の『競馬愛』の深さに脱帽。

一方で、すでに競馬ファンとして『ウマ娘』に触れた神谷あいささんは、最初は抵抗感があったという。

「正直、名前もそのままに牡馬も牝馬も美少女化することに、抵抗はありました。サイレンススズカやライスシャワーといった、特に色々な人の思いがある馬もキャラクター化していますし、そのあたりは大丈夫なのかな、と」

元々、家族の影響で競馬を始めた神谷あいささん。
その後メダルゲームなどを通じてどんどん競馬の魅力にとりつかれた。

「競走馬って美しいですよね! 特にGⅠレースの出走馬はぴかぴかに仕上がっていて、見とれてしまいます。そして『何が起こるか分からない』というのも、競馬のおもしろいところだと思います。本当に様々な要素が組み合わさっているので、『絶対』がありませんから」

神谷あいささんがウマ娘に触れるようになったのは、アニメが始まってから。
第1期のアニメを見てからも「おもしろいけれど、まだ色物コンテンツだなぁ……」という印象は拭えなかったという。本格的にハマったのは、アニメ2期とゲームのリリースから。理由は、製作陣の競馬愛を感じたことによるものだった。

「ゲームの育成ストーリーやキャラクターの言動から、本当に競馬が好きな人たちが作っているということを感じます。競馬好きとしても楽しめるものだな、と。アニメ2期の10話では、こんな風にストーリーを組み合わせるのかとびっくりしましたし、思わず泣いてしまいました」

今では競馬だけでなく『ウマ娘』にも夢中な神谷あいささん。
『ウマ娘』から競馬に興味を持った方へのおすすめの楽しみ方は「レースを観るときに、1頭応援する子を決めて観ていくこと」だという。
「そうやって見ていくと『この前応援した子がまた出てる!』『応援してた子達が一緒のレースに出るんだ!』と、だんだん楽しみが増えてきてきます。そのうち応援している馬の両親のことなどを調べるようになり……その先はもう沼ですね!」

競馬ファンも納得の作り込みに感動!

"まっちー"さんは、中学生の頃、ゲームセンターで見かけた競馬ゲームを何となくプレイしてみたことがきっかけで競馬ファンになった。史実馬も多く登場するゲームだったため、そこから競走馬の成績やレース映像を調べていき、次第に競馬中継も毎週見るようになったのだとか。

「競馬にハマり始めた時、ちょうどディープインパクトが皐月賞に出始める頃だったのですが、当時はディープインパクトがどのくらいすごい馬なのかも理解していませんでした。しかし三冠レースや引退レースの有馬記念までに見せてくれた圧倒的な強さに感動してしまい、今でも僕の中のヒーローです」

そんな長年競馬ファンとして過ごしてきたまっちーさんがウマ娘と出会ったのは、アニメ1期が開始する時。
「競走馬の擬人化アニメが始まるそうだぞ」という友人からの情報で、放映当時に5話くらいまで録り溜めてから一気に視聴した。観る前までは「いやいや、競走馬なんて貴いものを擬人化、しかも全員女の子って……」と懐疑的な姿勢だったそうだ。

「競馬を長く嗜んでいる方ならご理解いただけるかもしれませんが、私は、競走馬を"とても神聖な生き物"だと思っています。そして何より、競走馬一頭一頭には馬主さん・調教師さん・厩務員さん・牧場関係者の皆さん等々、多くの方が関わっています。決してウマ娘のアンチではありませんでしたが、そういったものを擬人化するとはものすごい冒険をしたな……と当時は思っていました」

ところが実際にアニメを観ていくうちに、「あれ、これもしかしてものすごく力を入れて作っている作品なんじゃないか……?」と夢中になっていった。すぐに、次週の放送まで、毎日のように1話から最新話をひたすら繰り返して視聴する日々を過ごすことに。

「競走馬に対する製作陣のリスペクトが詰まっていると感じたこと、そしてウマ娘達の間に負の感情が存在しないことが夢中になった大きな要因です!」

そう語るまっちーさんは、世界観やウマ娘一人ひとりの設定がとにかく細かいという点に舌を巻いたという。
ウマ娘の世界には馬が存在しない=「馬」という漢字が存在しないところ、ウマ娘専用の電話の受話器があるところ、ウマ娘専用道路があるところ……実際に『ウマ娘』が存在していたらどんな世界になるだろう、という点での作り込みに余念がないことに、引き込まれた。

「競馬好きにはたまらない『史実ネタ』も大事な要素です。僕がウマ娘に心酔したきっかけの一つが、アニメで皐月賞に出走したセイウンスカイがゲート入りを嫌がって係員に入れてもらうシーンです。当時見た時は、実際のセイウンスカイが皐月賞でゲート入りを嫌がっていたことは知りませんでしたが、この描写を見て『もしかして史実では?』とピンときたんです。そして、まさにその通りでした。ウマ娘というアニメ作品を作るにおいて、そんな1,2秒程度で終わるシーンをわざわざ入れる必然性はないかもしれません。特に競馬を知らない人は当時『今のシーン、何? 意味ある?』と思っていたかもしれません(笑)」

夢中になった大きな要因のひとつにあげられた「ウマ娘達の間に負の感情が存在しないこと」。
ウマ娘の世界では、同じチーム同士どころか、違うチームの子相手でも応援したり讃えあったりするという点に惹かれたのだという。ライバルのことでも応援するし、ライバルに負けても讃える、だからライバルからも讃えられる──そんな爽やかな関係性で繋がっているからこそ、トレーナーであるプレイヤーも純粋な気持ちでウマ娘達を応援することができるのかもしれない。


そうした『ウマ娘』『競馬』ファンに共通するのは、『ウマ娘』を通じて競走馬の魅力を深く知る楽しみを感じていることかもしれない。競走馬の魅力を広く伝えていくためのきっかけの一つとしても『ウマ娘』の貢献は大きいに違いない。

取材:スオミアッキ
編集協力:ウマフリ編集部

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