馬を愛する人のための場所『銀座 Cafe&Barムーティエ』

銀座の一等地、地下にある小さなバー。
そのバーの客層には、とある特徴がある。
カウンターに座る人を見ていくと、一口馬主オーナー、地方競馬オーナー、乗馬ファン……ずらりと「馬が好き」が揃っているのだ。
今回はそんな馬好きの集まる場所、Cafe&Bar ムーティエをご紹介する。


名馬カクテルがズラリ!あなたの好きな名馬カクテルは?

Cafe&Bar ムーティエ名物のひとつ、名馬カクテル。
東京競馬場にあったBar 5Th CORNERの元店長でもあるマスターが腕によりをかけて振る舞うカクテルは、どれも見た目に美しく、味も一流だ。

しかし何よりも馬好きの心を惹きつけるのは、そのコンセプト。
それぞれが、名馬の名前をつけられているのだ。

「1番人気は『シーザリオ』ですね。日米のオークスを制覇したという名馬なので、このカクテルのコンセプトも日米の融合です。和テイストとして梅と紫蘇のリキュールを使い、そこに洋テイストとしてコーラを合わせています。これが意外と飲みやすいんですよ!」

オルフェーヴルはその実馬の美しい栗毛と金髪をイメージした一杯。
ブランデーにアマレットシロップで味付けをし、そこにレモンジュースとジンジャエールで割った非常に飲みやすいカクテルとなっている。その他、金箔を使ってゴールドを表現したゴールドシップなど、競馬ファンであれば楽しい気分になれるカクテルは盛りだくさん。

また、フードメニューでは特製ローストビーフや数の子の燻製などが人気だそうだ。

「馬好き」さんが、横のつながりを作れる場を目指して

2017年11月15日にオープンしたCafe&Bar ムーティエ。
「なぜあえて銀座に?」と思う人もいるかもしれないが、そこにはオーナーのこだわりがある。

「これまでも競馬コンセプトのバーや競馬居酒屋はありました。でもどちらかというとワイワイ予想を楽しむような場所が多かったような気がしたんです。ですからあえて、自分の欲しかった『落ち着いた雰囲気で、馬好きな方々が横の繋がりを作れるような場所』を目指しました。そのために、華やかなイメージのある銀座を選んだんです」

店内は20席ほどのコンパクトなつくり。たしかにどんちゃん騒ぎというよりも、競馬愛をじっくりと語り合うのに向いている。

そうして作られた、「馬」への愛情が溢れる場所。
その『馬への愛情』とは、競馬だけではなく乗馬が好きな人も含まれる。実際、乗馬クラブに通っているお客さんも、多く来店するという。

「もちろん全く予想の話をしないわけではないです。そもそも、店内ではグリーンチャンネルを流してますから(笑)」

Cafe&Bar ムーティエのオーナーは、タニノムーティエが勝利したダービー(1970年)を子供の頃に見て競馬ファンになったという、筋金入りの馬好きだ。
大人になって一流商社に入ってからも、競馬への愛を深めていったという。
一口オーナーとしても、アーモンドアイ、サートゥルナーリア、インディチャンプといった一流馬たちの一口を所有する活躍ぶり。
仕事の場が香港に移っても、そこでさらに競馬界の人脈を広げた。北海道にも足を運び、そこでさらに馬好きの人との交流を深めたという。
そんなオーナーにとって、競馬とは「馬の後ろに多くの人あり」。

そのオーナーが作り上げたお店だからこそ、馬好きの人にとって落ち着きやすい空間になっているのかもしれない。

「人と馬と夢を繋ぐ場所」は、次なるステージへ。オンラインサロンへの想い。

開店以降、順調に客足が増えてきたCafe&Bar ムーティエ。
丹下日出夫さんや鈴木淑子さんといった大御所や、ジャスタウェイの馬主でお馴染みの大和屋さん、さらには調教師・騎手といった競馬関係者も顔を見せるような場所となった。
東京以外からの訪問者が増えるに連れ、20名で満席になる店内だけでの活動には限界が出てくる。

「多くの人に、同時にイベント参加をしてほしい」という思いから「オンライン上で何かやれないか?」というアイディアに結びついた。
そして2019年4月、オンラインサロンを開設。「うまぬし未来塾」と名付けられたサロンは、【人と馬と夢を繋ぐ場所】として活動を展開してきた。

そのイベントのひとつ、六本木で開催した講演会には、サロンメンバーを中心に多くの馬好きが集まった。
アジア人として初の国際ウマ専門獣医師殿堂入りを果たした青木修先生が語る『ディープの走り、そしてオルフェーヴル、アーモンドアイの走り』というテーマは、競馬ファン・乗馬ファンであれば心踊らさずにはいられない内容だ。

「先生の講演会では“オルフェーヴルが凱旋門賞で敗れたのはフォームが安定し過ぎてきれいに真っ直ぐ走った事が裏目にでた”というセリフが印象的でした。参加された方々からは『また違う講演も聞きたい』という声や『目から鱗の話が多かったです』という声が聞かれましたよ。かなり満足度の高いイベントだったかと思います」

それ以外にも、北海道の牧場見学ツアーや、オークスデーに馬主席ご招待の抽選会など、イベントは盛りだくさん。参加者からは「馬好きの友達が出来て嬉しい」という声や「馬と至近距離で触れ合える事に感動しました」という声が聞かれる。

「お店主催のPOG大会もやっているんですが、今年はスタッフが優勝しちゃったんですよね(笑)サリオス・ミヤマザクラ・リアアメリアなどを指名していて。ただ、スタッフがすごい相馬眼というよりは、ウチでやったシルクの募集馬検討会で元大手牧場出身で今は育成関係のお仕事をしている馬見のプロがサリオスを推奨していたというだけなんですが……(苦笑)」

オンラインサロン上では馬主資格取得までの流れを分かりやすく解説するコンテンツや購入競走馬のアフターサポートするサービスなどもある。馬主入門者としての知識も得られる場になっているのだ。
オンライン上はもちろん、リアルの場でも、共通の趣味を持つ仲間を得られる場所として、サロンは拡大中だ。

バーやオンラインサロンを通じて人と馬と夢を繋ぐ。
そんな「ムーティエ」の行方を、見守りたい。

あなたにおすすめの記事