[阪急杯]実績のグレナディアガーズ、勢いのアグリ。本気度の高いメンバーが揃った興味深い一戦に。 - 重賞プレビュー

今年は本気度の高い陣営が集結!?
1400Mの舞台での勝利を目指す馬たちが火花を散らす

今週は阪急杯が行われます。
阪急杯と言えば高松宮記念の前哨戦であると同時に、引退する騎手・調教師にとって最後の重賞の舞台として注目されるレースでもあります。先につながるワクワクと、引退する競馬関係者の寂しさが同居する不思議なレースですが、今年はそんな例年の傾向とは少し違ったレースになりそうです。

今年のメンバーの特徴は『昨年のスプリントG1に出走していたのがグレナディアガーズ1頭だけ』という点。
中京競馬場で行われたシルクロードSは、勝ち馬のナムラクレアが昨年のスプリンターズSで5着だったことをはじめ、多数のG1出走馬が出ていたのに対し、正式な前哨戦であるはずの阪急杯にはG1出走馬が集まりませんでした。高松宮記念へ向けた始動戦というよりも、1400M戦を求めてベテランたちが集まったレースと見た方が良さそうです。逆に言えば、ここをなんとしても勝ちたい馬が揃っているとも言えます。

レースとしてはトライアルレースではありますが、勝利を目指した激しい争いが見られるのではないでしょうか。

阪急杯 注目馬紹介

グレナディアガーズ - 1400Mスペシャリストの称号は譲れない。

やや重賞実績が少ないメンバー構成の中で、断トツの戦績を誇るのがグレナディアガーズです。

2歳時は朝日杯FSを勝ち、3歳時は年末の阪神カップで勝利。
4歳となった昨年は、海外遠征を経て、連覇を狙った昨年末の阪神カップでもクビ差の2着と好走しています。勝ったダイアトニックの驚異的な差し返しに敗れはしたものの、阪神芝1400Mの適性の高さを見せつけました。

地力の高さとコース相性、戦績から考えると、ここは負けられない一戦と言えます。

アグリ - 連勝中の勢いそのまま重賞制覇を狙う新星。

メンバーの実績から言えばグレナディアガーズが抜けていますが、勢いでは3連勝中のアグリにも注目したいところです。

3歳春は結果が出ませんでしたが、夏の札幌で1勝クラスを勝ち、昨年の後半に同コースの阪神芝1400Mで連勝してOP入りを果たしました。特に3勝クラスでの勝ちタイムは1分20秒3と、1週後の同コースの阪神カップから0秒1差という好タイム。馬場もほぼ同じ状態だったことを考えれば、タイム面でいけばグレナディアガーズと互角に戦えると考えて良いでしょう。

管理する安田隆厩舎は昨年末にグレナディアガーズに競り勝ったダイアトニックが所属していた厩舎。引退した先輩の後を引き継ぐ意味でも、ここは譲れない一戦です。

ルプリュフォール - 豪脚一閃! ハマった時の破壊力はメンバー随一。

まだ開幕して3週目と馬場状態が良いですし、人気になりそうなアグリと1400Mで先行して結果を出しているホウオウアマゾンが先行する展開になる可能性が高い今回の一戦。前半のペースが速くなる場合、期待したいのが豪快な末脚を持つ追い込み馬でしょう。そんな期待を抱かせるのがルプリュフォールです。

圧巻だったのは3走前の朱鷺S(新潟芝1400M リステッド)です。
道中は最後方を進んでいましたが、新潟内回りの短い直線で大外から一気に伸びて差し切って勝利。この時2着に負かしたのがその後スワンSで2着、続くキャピタルSと京都牝馬Sを連勝するララクリスティーヌですから、その価値は高いでしょう。ルプリュフォール自身もその後スワンSで3着と、実力を証明しています。

前走の阪神カップは13着と敗れてしまいましたが、出遅れて一か八かで内を突いたものの前が開かなかったことによるもの。追い込み馬の宿命とも言えるような展開で、度外視して良い敗戦と言えます。

今回も後方からになると思いますが、騎乗するのは横山典騎手。道中最後方からの追い込みに期待が高まります。一発の魅力が高まったと言えますし、地力そのものも高い馬です。豪快な追い込みを見せてもらいましょう。

ダディーズビビッド - 右回りが鍵も、1400Mなら上位。

阪急杯は高松宮記念への前哨戦なので、次走で高松宮記念に出走しそうな馬にも注目です。

今回のメンバーだとダディーズビビッドが該当するでしょうか。
昨年はセントウルSで差の無い4着と健闘。続く信越S(新潟芝1400M リステッド)では勝利と重賞でも勝ち負けできる力を示しています。ただ、(4、4,2,9)の戦績で3勝、2着4回、3着2回が左回りでのものという典型的なサウスポーなので、今回の右回りがどうか…という面は拭いきれません。

ただ、1400Mは守備範囲ですし、リステッド勝ちもあるので実績は上位。
G1に向けていい走りができるでしょうか。

メイショウケイメイ、ショウナンアレス - 引退する調教師たちに最後の思い出を作れるか。

2月の最終週は引退する調教師のラストウィークでもあります。
このレースでは南井調教師がメイショウケイメイを、池添兼調教師がショウナンアレスを出走させます。

南井調教師は騎手時代にナリタブライアンなどでG1を16勝、通算1527勝を挙げた名ジョッキー。調教師としてはウイングアローでジャパンカップダートを制し、2月19日現在では446勝を挙げています。個人的に、管理した馬の中ではホウライアキコの印象が強く残っています。2歳時はそのスピードから3連勝で小倉2歳S、デイリー杯2歳Sと重賞連勝しましたが、まだ3歳1200M重賞の葵Sがなかった時代だったのでその後はマイルの距離で戦ってきましたが、結果が出ない中で奮闘した姿が目に焼き付いています。今回出走するメイショウケイメイは多くの馬を預かってきた『メイショウ』さんの馬。多数の思い出とともに頑張ってほしいですね。

ショウナンアレスを管理する池添兼調教師は池添謙一騎手、池添学調教師の父。管理していたヤマカツエースでは息子の謙一騎手との親子タッグでG1に挑んでいった姿が印象的でした。また、松山騎手は池添兼厩舎の所属、調教師では橋口慎介、上村洋行現調教師が厩務員として所属と多くのホースマンを育てた人でもありました。今回出走するショウナンアレスは格上挑戦ではありますが、相手なりに戦える馬なので頑張ってほしいですね。


今年のメンバーはグレナディアガーズにアグリが挑むという2強の構図になっているようにも感じられます。しかしこの1戦が勝負気配の馬も多く、ここの走りによっては、スプリント路線やマイル路線に向かう馬も出てくるかもしれません。2月末で引退する調教師が送り出す馬たちと、これからの飛躍へ期待が高まる馬たちとの様々な感情が合わさる季節の節目のレースを楽しみたいですし、この記事が皆さんの参考になれば幸いです。

写真:かぼす

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