[中山記念]シュネルマイスター、ヒシイグアス、スタニングローズ…。各路線から有力馬が集ったスーパーGⅡ。 - 重賞プレビュー

大舞台への前哨戦! 各路線、各世代から有力馬が集まった春のスーパーGⅡ

今週から、関東は中山開催に替わります。
この開催の最後には牡馬クラシック第一冠・皐月賞が行われます。そんな中山開催の開幕週の今週は中山記念が行われます。近年では、ここから大阪杯やドバイ遠征に向かう馬たちにとって重要な前哨戦としての地位を確立するとともに、距離が1800Mであることから安田記念を目標にするマイラーと大阪杯・ドバイを目標にする中距離馬、年初のレースを勝ってきた明け4歳馬が集まることもあって、各路線・各世代から有力馬が集まる興味深いメンバー構成になることが多いレースとなりました。

単純に「どの馬が強いのか?」という点でも実力伯仲のレースが見られそうですし、ここでの走りが次走以降の大舞台に大きな影響を与えることは間違いありません。有力騎手はサウジ遠征に出ているので乗り替わりが多くなっていますが、かえって馬の地力を見極めるという点では注目度の高いレースになることでしょう。この一戦だけでなく、各馬のその後にも要注目です。

ヒシイグアス - 実績はメンバー随一! 右回りの中距離なら休み明けでも。

有力馬が多数いるので1番人気がどの馬になるかは分かりませんが、G1での実績を考えるならヒシイグアスが上位馬としてあがるでしょう。21年冬の香港カップでラヴズオンリーユーの2着の後、22年は大阪杯で4着、宝塚記念で2着と、G1戦線で一流馬と差の無い走りをしてきました。

直線での切れよりも持続力で勝負するタイプなので、中山コースはピッタリ。
21年の中山記念を勝っているようにコース実績もあるので、べストなコースでの復帰戦と言えるでしょう。

気になるのは前走の宝塚記念後に出た熱中症の症状がかなり悪化して、休養が長引いたこと。今回9か月ぶりのレースになるところがどうなるか、という点が焦点になるかと思いますが、所属する堀厩舎は休み明けでもしっかり仕上げて勝ち切る厩舎ですし、馬の状態もいいようです。今回は乗り慣れた松山騎手に戻るので、その点でも心強いでしょう。

自身の能力を存分に出し切れば、この馬が最有力候補と言えるのではないでしょうか。

シュネルマイスター - リズムに乗れなかった昨秋の悔しさを胸に。改めて真価が問われる。

2022年秋のシュネルマイスターは、どこか噛み合わないシーズンを送りました。

秋初戦はスプリンターズSでしたが、休み明けで1200Mのペースに戸惑って後方から追い込み切れず9着。次走のマイルCSでは、得意のマイル戦でしたが外から伸び切れず5着。はっきりとした敗因は不明で、物足りない結果と言えます。そして秋3戦目の香港マイルは、マイルCSから短い間隔だったこともあってか出遅れてしまい、道中もルメール騎手が追いっぱなしでついていくのに精一杯。勝負ところでも位置を上げられずに直線では失速してしまいました。こちらは明らかに、その潜在的な能力を出し切れていない一戦に思えます。

考えてみれば、秋緒戦のスプリンターズS以降、どこかちぐはぐな感じになってしまっていたのは確かです。立て直して力を発揮できれば昨年の安田記念2着の実績があるように、ここでは力上位のはず。1800Mの距離も、3歳時には中山芝2000Mの弥生賞ディープインパクト記念で2着と実績もあるので、むしろ1200Mよりは向くと思われます。

今回はバシュロ騎手とのコンビですが、外国人騎手と好相性の印象がある手塚厩舎なので、地力が出せる環境が整ったと言えるでしょう。休養を挟んだ今回は、巻き返しを期待できるのではないでしょうか。

スタニングローズ - 好調の明け4歳牝馬。秋華賞馬の力を、ここでも示せるか。

今年に入って、明け4歳馬が古馬の重賞戦線に入ってきて結果を出しています。
先日の東京新聞杯で明け4歳牝馬のナミュールが2着、プレサージュリフトが3着だったことからも、世代レベルの高さは明らかです。今回の中山記念でも明け4歳のスタニングローズに注目が集まることでしょう。

昨年秋は中山芝2000Mの紫苑Sを勝ち、続いて秋華賞を制したスタニングローズ。
前走のエリザベス女王杯は道悪馬場が合わなかったこともあり大敗しましたが、明け4歳牝馬勢では二冠馬スターズオンアースに次ぐ実績を持っている1頭であることは間違いありません。

今回は開幕週なので先行馬のこの馬に展開が向くでしょうし、休み明けは2戦2勝と好相性。斤量や展開が向きそうなことからも安定度が高いと言えます。他の有力馬は前にいるスタニングローズを直線で交わせるかどうか、という点がレースの焦点になりそうです。

ダノンザキッド - 一時のスランプを乗り越え再び充実期へ。久々の勝利を目指す。

上位候補の1頭と言えば、ダノンザキッドも挙げられるでしょう。

昨年は安田記念6着の後、夏の関屋記念から始動。同レースは3着でしたが、続く毎日王冠ではレコード決着の中で3着と健闘しました。続くマイルCSでも2着と力を見せ、前走の香港カップでも2着に健闘と、強敵相手に差の無い競馬をしてきました。

昨秋に大崩れなく走ったという点では、他馬にはない充実ぶりを示しています。

マイルCSでの2着はここでは最先着ですし、近2走で騎乗していた北村友一騎手の継続騎乗という点もプラスでしょう。持続力があって、しぶとい走りをする点から1800Mがベストの可能性もあるかもしれません。まだ5歳とキャリアの割に若いですし、近走成績から3着以内の可能性で言えばメンバートップかもしれません。

イルーシヴパンサー - 昨年の安田記念1番人気は伊達じゃない。ここで実力を見せられるか。

年明け初戦の京都金杯を勝ったイルーシヴパンサーは、今回M.デムーロ騎手に乗り替わることも含めて注目の1頭です。

昨年は東京新聞杯を含む4連勝で、G1の安田記念でも1番人気に推されました。結果は、スローからの瞬発力勝負で後方からでは届かない展開になってしまい、8着と敗戦。その次に関屋記念に出走しましたが、11着と敗れてしまいます。明確な敗因がわからないまま休養に入りましたが、年明け初戦の京都金杯では最内からうまく抜け出て勝利しました。左回りでは能力の高さを示しましたが、今回は右回りの中山でデムーロ騎手に乗り替わり。

これまで通り後方から差してくるのか、ある程度位置を取りに行くのか、それとも道中で捲っていくのか──。

開幕週の馬場だけに、その位置取りと走りが注目される1頭ではないでしょうか。

ドーブネ - 開幕週の馬場とレジェンドの腕が噛み合えば上位進出も。

開幕週の中山の馬場なので、逃げ・先行馬に注目が集まるのは間違いありません。

加えて、有力馬たちは次走に大レースを控えているので前半からガツガツ先行争いをしに行くと思えませんし、そもそも先行馬が少ない組み合わせ。なら、名手・武豊騎手の手腕も含めてドーブネの押し切りに期待するファンもいるでしょう。

有力馬たちが後方で牽制し合ってくれるなら絶好の展開になりそうです。
去年はパンサラッサが逃げ切って勝ったようにこの馬も逃げて押し切る結果もあるのではないでしょうか。

ここまで中山記念の有力馬を紹介してきました。

取り上げられませんでしたが、他にも重賞2勝馬のソーヴァリアントや、中山金杯のラーグルフもいるという豪華メンバーになった中山記念。まさに『G1につながるスーパーG2』と言えるレースになるのではないでしょうか。

このレースが終われば3月。いよいよ春が近づいてきます。G1馬の始動戦から春の大舞台への期待を高めていければいいのではないでしょうか。このレースが皆さんの参考になれば幸いです。

写真:かぼす

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