[連載・クワイトファインプロジェクト]第2回 JBC2歳優駿で輝くか、いにしえの名牝の血。

読者の皆様、こんにちは。

……なぜ、こんにちはと書き出したかと言いますと、今日は祝日、JBCデーです。
クワイトファインとも縁の深い2つの競馬場(金沢、門別)で、JBC4競走が行われます。
今日のコラムはJBC出走馬にまつわるエピソードをご紹介しますので、ウマフリ編集部さんに無理を言いまして記事の公開時刻を少し早めていただきました。

残念ながら、トウカイテイオーと血統的に関わりのある馬はエントリーしていません。
正直なところ、この頃は母父や母母父にトウカイテイオーが入っている馬もだいぶ少なくなっているなという印象です。父系を受け継ぐギンザグリングラスをはじめオルフェーブル産駒やゴールドシップ産駒にその名を見ることが出来るメジロマックイーンが羨ましいな、と思うことも日々ありますが、クワイトファインを通じてトウカイテイオーの遺伝子を受け継ぐ競走馬を1頭でも多く残していけたらと思います。

さて、今日のJBC。中でも未来のダート戦線での活躍が期待される若駒が揃ったJBC2歳優駿の出走馬たちの中から、いにしえの名牝の血を受け継ぐ2頭をご紹介したいと思います。

何故わざわざJBC2歳優駿なのか……と思われる読者の方もいらっしゃるかと思いますが、昨今のJRA開催の芝2歳重賞に出走するような馬は、綺羅星の如く良血馬ばかりで、2代母くらいまで遡ると圧倒的に横文字が多くなる印象があります。その点、ダート戦線は種牡馬も牝系も芝よりはバラエティーに富んでいる傾向にあるのではないでしょうか。
今回も、JBC2歳優駿のJRA出走予定馬の5代血統表をみて、思わず「あっ懐かしい」と呟いてしまいました。

サーティファイド号(栗東鮫島厩舎、牡、父マクフィ) 母母の名前を見ると「サンドピクチャー」とあります。オールドファンの方なら「サンドピ」まで見たらすぐに思い当たる名前があるかと思います。1989年のエリザベス女王杯を、単勝43,060円、最低20番人気で優勝したサンドピアリスです。サンドピクチャーの母、つまりサーティファイドからみて3代母がサンドピアリスと言うことになります。 サンドピアリスのエピソードは、すでにいろいろな書物や媒体で紹介されていますし、実は私が競馬に興味を持ったのはこの2年後なのでこの時のエリザベス女王杯をリアルタイムでは見ていません。今では1レースの出走可能頭数は最大でも18頭なのでそもそも20番人気というのはあり得ないですし、当時のエリザベス女王杯は3歳牝馬限定のレースでした。時代の移ろいを感じます。
しかし、G1単勝最高配当の記録は今でも破られていませんし、今後も更新はないのでは、と思います。
その意味ではサンドピアリスの名前と一世一代の大駆けはは後世まで語り継がれるでしょう。 大万馬券を演出した名牝のひ孫、今後の現役生活でもどこかでアッと言わせる大駆けを見せてくれるかも知れません。

もう1頭は、コマノカモン号(美浦伊藤圭厩舎、牡、父ルーラーシップ)。
こちらは先に答えを明かしてしまいますが、4代母が1991年のエリザベス女王杯を制したリンデンリリーです。 リンデンリリーは、トライアルのローズSを制し、エリザベス女王杯も1番人気支持され見事それに応えました。鞍上はデビュー4年目の若武者、岡潤一郎騎手。このレースがG1初勝利になりますが、プレッシャーをはね除けた見事な勝利でした。しかし、この喜びの瞬間から1年2か月後、京都競馬での落馬事故に遭い、懸命の治療もかなわず24歳の若さで還らぬ人となりました。 1968年生まれの岡騎手は私の1歳上でしたがほぼ同世代でしたので、かなりショックを受けたのを覚えています。

騎手の話で言えば、サンドピアリスで勝利した岸滋彦騎手は、当時まだ19歳。彼のことも私と同い年でしたので注目していました。エイシンサニーでのオークスやダイタクヘリオスとの名コンビ、またビワハヤヒデの最初の主戦騎手でもあります。しかし、怪我等で徐々に精彩を欠くようになり彼も30代前半で現役を引退することになりました。

……ちょっと悲しい話になってしまいましたが、岡騎手とリンデンリリーのエピソードも、日本で競馬が続く限り語り継がれると思います。

話は少し変わりますが、この1991年エリザベス女王杯は、その後の名馬たちの母馬や関係する馬が多く出走しています。 3着スカーレットブーケはダイワメジャーやダイワスカーレットの母。12着タニノクリスタルはタニノギムレットの母。
タニノギムレットが種牡馬として送り出したのがウオッカです。

13着エミノディクタスは、ウマ娘でも有名なイクノディクタスの全妹になりますし、他にも、この年の出走馬を母とする重賞勝ち馬が多く出ています。

また、1991年3歳世代といえばトウカイテイオーの同期です。オークス馬イソノルーブルはエリザベス女王杯にも出走(16着)しましたが、桜花賞馬シスタートウショウは別路線を歩みました。そして、シスタートウショウの孫バトルクウが今年、クワイトファインの仔を受胎しています。今年のJBC2歳優駿出走馬たちに追いつけるよう、まずは無事に産まれてくれることを祈ります。

今回取り上げた馬たちがどんな走りを見せるかわかりませんが、ダートの実力馬は息の長い活躍をすることもありますので、ファンの皆様にも長い目で見守っていただければと思います。

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