[重賞回顧]尾張から羽ばたく者は〜2021年・ファルコンステークス〜

2週連続で春の嵐が吹き荒れた日本列島。

しかしながら競馬カレンダーは、いよいよG1戦線の足音が聞こえ始めてきた。翌週にG1高松宮記念を控える中京競馬場では3歳短距離重賞ファルコンステークスが行われた。

今年は2歳王者を含めた重賞ウィナー3頭が参戦。いつになく好メンバーで行われた今年のファルコンステークスは、どのような展開となったのか。

レース概況

何といっても注目は、昨年の朝日杯フューチュリティステークスの勝ち馬であるグレナディアガーズ。3歳時の目標をマイル戦線に定めているこの馬の始動戦である。今後の3歳マイル組を占ううえで見逃せない。

さらに京王杯2歳S勝ち馬のモントライゼや新潟2歳S勝ち馬のショックアクション、重賞戦線でも結果を残すルークズネストやインフィナイトなどが顔を揃え、まさに豪華な前哨戦の様相となった。

レースは向こう正面からスタートする1400m戦。ゲートが開くと各馬一斉にきれいな飛び出しを見せた。

広がった先行争いの中から先頭に立ったのは最内枠のルークズネスト。続いてグレナディアガーズも好位2番手に取り付き、3番手にはラングロワが続いた。後ろも固まり、サルビアやインフィナイトが先団を形成。

前半の600mは33秒7と、淀みないペースを刻んだ。

4コーナー手前でグレナディアガーズが2番手から少しルークズネストと間隔を詰める。後方からは各馬が手を動かしながら追って、直線に向いた。

先頭は粘るルークズネスト。少し右にもたれそうになるも、幸英明騎手の懸命なムチにこたえる。そしてグレナディアガーズも負けじと末脚を伸ばしルークズネストを捕まえようとする。気が付けば直線では完全な2頭のマッチレースとなった。

粘るルークズネストか、それとも差すグレナディアガーズか──。

両者がぴったりと並んだゴール板。着差アタマ差わずかに制したのは、逃げたルークズネストだった。タフな中京馬場を制し、見事前走・シンザン記念2着のリベンジ達成となった。

各馬短評

1着 ルークズネスト (幸英明騎手 3人気)

グレナディアガーズの猛追を振り切った逃げ切りであった。最内枠の利を活かし、先頭を奪うとマイペースで刻みながら直線の攻防へ。馬場の悪い内側をあけて直線伸び、グレナディアガーズと並ばれたがアタマ差振り切ってのゴールインだった。

パワーを要するこの馬場での逃げ切りは見事。前走重賞2着の借りを返す見事な走りとなった。

2着 グレナディアガーズ (川田将雅騎手 1人気)

逃げたルークズネストとマッチレースを演じ、惜しくも2着入線となった。道中はルークズネストを見る2番手集団の一角からレースを進めた。4コーナーで手応え良くルークズネストを捕らえにかかり、直線では馬場の真ん中から追い込んだ。

アタマ差及ばなかったが、それでもG1馬の力は証明。次につながるレースとなった。

3着 モントライゼ (C.ルメール騎手 2人気)

重賞馬モントライゼが3番手争いを競り勝った。こちらは道中後方寄りを追走し、追い込み勝負に徹した。前2頭が後続を離したマッチレースを繰り広げる中で、上がり2位のタイムを繰り出し、サルビアに競り勝った。

前が残る展開で苦しいレースとなったが、しっかり上位に入着するのは見事。世代上位の実績馬は、今春のG1も楽しませてくれそうだ。

総評

実績馬が多数集ったファルコンステークスは、結果的には人気馬3頭の決着となったものの、上位2頭のマッチレースは圧巻であった。

今年の3歳戦はどのカテゴリも大混戦だが、ここでも新たな重賞ウィナー誕生となった。2か月後に迫ったマイルカップに向けて、熾烈な争いは続いていく。

写真:@berry29051387

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