[重賞回顧]熊本の夢、成就の時〜2021年・北九州記念〜

2021年8月22日。メインレースを終えた小倉競馬場は拍手に包まれた。

雨の中でのレースとなった今年の北九州記念は競馬史に残るメモリアルなレースとなった。
1200m先に存在したドラマは一体何か──小倉のメインレース北九州記念を振り返る。

レース概況

依然として雨模様が続く日本列島。

日曜の小倉競馬でも雨が断続的に降り続き、メイン付近になるとやや雨脚が強まった。
馬場状態も稍重で、11R北九州記念を迎えた。スプリントハンデ重賞に、今年はフルゲート18頭の出走。

メンバーではG1勝利経験のあるモズスーパーフレアや重賞でも力を見せるジャンダルムやアウィルアウェイ、3歳注目のヨカヨカなどが出走した。しかしながらハンデ戦とあって明確な本命馬は不在。大激戦の様相を呈し、発走時刻を迎えた。

今週は発走順が入れ替わり小倉が最初の発走。各場のメインレースの火ぶたを切って北九州記念がスタートした。まずはロケットスタートを決め先行態勢に入ったモズスーパーフレアが飛び出す。そしてファストフォースが続いたが、空いた内をボンセルヴィーソが駆け上がりポジションを上げる。大外からはヨカヨカやファンタジステラも先団に取り付き、やや縦長で向こう正面を進んだ。

それでもモズスーパーフレアは一人旅。3馬身ほどのリードを保って直線に向いた。
馬場状態から内を開けて走る馬がほとんどながらモズスーパーフレアとボンセルヴィーソはラチ沿いをぴったり付いて追い出した。G1馬モズスーパーフレアは止まらず残り200mでも先頭は譲らない。2番手のボンセルヴィーソが苦しくなって代わりに大外からヨカヨカが突っ込み、連れてファストフォースも差し脚を伸ばす。

──その瞬間、小倉競馬場の空気が一変した。
場内の歓声に乗ってヨカヨカは末脚を伸ばし、ゴール前でモズスーパーフレアをとらえた。
最終的には1馬身のリードをつけて1着フィニッシュ。

熊本産馬として初めての重賞タイトルを地元の小倉で手にした。

各馬短評

1着 ヨカヨカ (幸英明騎手 5人気)

3歳馬ヨカヨカが、小倉の地で重賞制覇を果たした。

道中は大外枠から先団に取り付いて3番手を追走。
直線では内を開けて馬場の大外から追い込んで勝利した。

斤量51キロも好材料に向いたがレースの展開を捕らえてG1馬を差しきったのは見事。
悲願の重賞制覇を九州で飾った。

2着 ファストフォース (鮫島克駿騎手 4人気)

CBC賞からの連勝を狙ったが、惜しくも2着となった。

道中は3番手で折り合い、直線ではヨカヨカと共にモズスーパーフレアを追った。こちらも馬場の外寄りを伸びたが、わずかに及ばずの2着。

前走では圧巻の日本レコードを叩き出したファストフォースだが、反動は全く感じさせない走り。
得意の舞台で、しっかりと結果は残した。

3着 モズスーパーフレア (松若風馬騎手 2人気)

G1馬モズスーパーフレアは3着となった。

代名詞のロケットスタートはいまだ健在。先頭を奪ったモズスーパーフレアはぴったりラチ沿いを進んで逃げて行った。直線100mまで先頭は譲らなかったものの外の差し馬にやられての3着。

昨年の北九州記念から馬券圏内が無かっただけに、この3着は復権への足掛かりとなるだろう。

総評

熊本産馬として初の重賞制覇。

ヨカヨカは偉業を地元・九州で成し遂げた。これは陣営、生産者、そして競馬ファン全てが待ち望んだ瞬間だったことだろう。

小倉競馬場を包んだ大きな拍手。
ヨカヨカには小倉競馬場に居たすべての競馬ファンや関係者、そして全国のヨカヨカを祝福する人々の想いが届いたに違いない。

写真:十三夜

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