[重賞回顧]晩夏のロングストレート勝負〜2021年・新潟記念〜

9月初週。早めの涼しい風が吹き抜ける日本列島で真夏最後の重賞競走が行われた。関東・新潟ではサマー2000シリーズ最終戦の新潟記念が行われた。夏競馬を締めくくり、秋にいい流れを持っていくべく、越後路をトップで駆け抜けたのは果たしてどの馬なのか。新潟競馬場のビッグレース新潟記念の火ぶたが落とされた。

レース概況

今年の新潟記念は17頭立て。ハンデ戦らしく人気がばらけるようなメンバー構成であった。その中で注目に上がったのは重賞連勝を掛ける2頭だった。エプソムカップからの連勝を狙うのはザダル。6月の勝利から休養を経て満を持しての登場。切れ味勝負に強く、新潟でもオープン勝ちの実績があり1番人気に支持された。そしてもう1頭の注目がトーセンスーリヤ。こちらは夏競馬・函館記念からの連勝を狙う。今や名タッグと言える横山和生騎手を背に重賞連勝、そしてサマーシリーズのタイトルを射止めるべく必勝でこのレースに臨んだ。もちろん他の各馬にも勝利のチャンスがあり、大混戦を予感させた新潟記念。いったいどの馬が越後路を真っ先に駆け抜けたのか──。

広大な新潟競馬場。その一番右奥でゲートインが進んだ。最後にトーセンスーリヤが入って17頭が飛び出した。好スタートから5頭ほどがまず先団へ。外からはラインベック、最内からはショウナンバルディ、さらに4枠2頭のマイネルサーパスとギベオンが前を追った。

レッドサイオンが引いて5番手付近。代わって復権をかけるリアアメリアが3番手付近まで上昇した。1番人気のザダルはアドマイヤポラリスを前に置いた中断前を追走。トーセンスーリヤもこの後ろに付け、サトノアーサーやパルティアーモと並んで中団を形成した。

長いバックストレッチから3コーナーにかかる。16頭を引き連れるショウナンバルディ。その後ろのラインベックからあまり差は広がらず、比較的馬群のまま長い直線へと向けた。直線に入ると17頭は大きく広がって追い比べを見せた。先行勢は馬場の真ん中から。そして追い込み馬は最内と大外に分かれた状態に。

まるで直千競馬のような追い比べ。

その中で直線の伸びは大外を選択した各馬に軍配が上がった。17番のトーセンスーリヤが良い脚で追い込み、粘る先行勢を捕らえる。しかし2番手追走のラインベックが驚異の盛り返し。さらに観客席に近いラチ沿いからマイネルファンロンも脚を伸ばし、馬群の真ん中からはクラヴェルとヤシャマルが迫る。

迫力ある攻防。大接戦の中抜け出したのは大外から伸びたマイネルファンロンであった。新潟らしい大外差し切り勝ち。6歳での嬉しい重賞初制覇となった。

各馬短評

1着 マイネルファンロン (M.デムーロ騎手 12人気)

12番人気のマイネルファンロンが上がり最速で差しきった。道中は最後方付近を追走。それでも先頭からは大きくは離されておらず、直線に向くと外ラチ沿いを駆け上がり前を走るトーセンスーリヤを捕らえて1着。

函館のイメージが強かったマイネルファンロンだが、この新潟で見事な重賞初勝利だった。

2着 トーセンスーリヤ (横山和生騎手 3人気)

重賞連勝を狙ったトーセンスーリヤは惜しくも2着。道中は中団でレースを進め、直線は外寄りから満を持して伸び1度は先頭に立つシーンもあった。

最終的にはマイネルファンロンに差されてしまったが夏に付けた勢いは本物。今後の活躍も期待できる。

3着 クラヴェル (横山典弘騎手 2人気)

3着に入ったのはクラヴェルであった。こちらも道中は後方。そして伸びてきたのはトーセンスーリヤの内だった。

馬群をさばきながら伸びてきたクラヴェルも、あわや1着という伸び脚であった。これで重賞では3戦連続馬券圏内。初重賞制覇もそう遠くはないだろう。

総評

夏競馬のフィナーレは、やはり波乱含み。

12番人気のマイネルファンロンが制した。

直線ではコースを前面に使ってのド迫力な追い比べを繰り広げた17頭。ある意味どこを見ればよいか分からなくなるような接戦を制したマイネルファンロンは初重賞制覇。小回り巧者のイメージを打ち砕くような切れ味溢れる差し切りであった。

新たな中距離戦線の新星としてマイネルファンロンはこれからもいぶし銀の活躍を見せてくれるだろう。

写真:かずーみ

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