秋の中距離戦線へ飛躍を誓う未来の「上り馬」が集結する「サマー2000シリーズ」。

今年も福島競馬場の七夕賞でシリーズの火ぶたが切られた。今年も梅雨空の下で行われた七夕賞は、トップハンデ57キロから52キロの間に16頭が集結。
名牝アパパネの子供として注目されたジナンボー、福島記念を制したクレッシェンドラヴ、福島競馬場で無類の強さを誇るマイネルサーパスなど個性が光る出走メンバーとなった。短冊の願いが叶う馬は果たしてどの馬であろうか。

福島競馬場芝2000mスタート地点は4コーナーの置くに設置されている。スタートしてからは直線を一杯に使った先行争いが繰り広げられることになる。

レース概況

15時45分レーススタート。
スタートしてからの先行争いは内外離れた争いとなった。内枠の利を活かしたウインイクシードとパッシングスルーがスッと前につけ、外目からノーブルマーズとリュヌルージュが並びかける。
その後ろは縦長の展開となっていた。

向こう正面に入るとパッシングスルーが3馬身ほどのリードをとった。2番手は経済コースにこだわったウインイクシード、ノーブルマーズが3番手につける。ウインイクシード以外は馬場の3分どころを走り、内を大きく開けた状態で走っていた。

3コーナーを迎えたあたりで後続の手が動き始める。後方に位置したクレッシェンドラヴ、ジナンボーなど人気各馬が前へと上がり、目まぐるしく馬順が入れ替わる。

そして、4コーナー。
先頭はパッシングスルー。内を通ってウインクシード、さらに外目をついてマイネルサーパスとブラヴァスが上がって直線を向いた。誰もが外から捲りあがる各馬の戦いだと馬場の外目に注目を向けた瞬間、内からするすると上がる一頭の馬がいた。

後方を追走していたクレッシェンドラヴだ。

なんと3、4コーナーで外目に進路を求めた各馬によって空いた内側をスルスルと上がり、4コーナーでは気づけば4番手付近まで上昇していたのだ。
パッシングスルーをとらえて一度は先頭に立ったブラヴァスを、内から一気に交わし去ったクレッシェンドラヴ。
追いすがるブラヴァスと追い込んだヴァンケドミンゴを抑えゴールイン。
福島コースで重賞2勝目を挙げた。


福島記念に続いてのタイトル、思えばこの馬も「福島マイスター」であった。そして鞍上の内田博幸騎手は2週連続の重賞制覇となった。馬場が悪く、少しでも外に行きたい各馬のスキを突き、内からまるでワープのように捲りあがる内田騎手の手綱さばきは、ゴールドシップに騎乗していた時代を彷彿とさせる迫力をも感じさせた。
有馬記念に出走できなかった悔しさを持つこのコンビは、昨年よりもはるかにパワーアップした形で秋の古馬戦線に挑んでいく。

各馬短評

1着 クレッシェンドラヴ

福島記念の勝ち馬とあって七夕賞ではトップハンデ57キロを背負っての戦いとなった。しかし終わってみれば終始自分の競馬に徹して優勝。福島巧者の力をしっかりと見せつけた。
これで重賞2勝目となり、秋の中距離戦線にまた新たなタイトルを引っ提げて挑むこととなった。

2着 ブラヴァス

重賞初制覇はまたもやおあずけとなってしまったものの、力強さは非常に感じられるレースであった。
道中は中団を追走。各馬が動き始めた3コーナー付近から外目をまくり上げ、直線では1度先頭に立ったシーンも見せた。
結果は2着という着順ではあるものの、新潟大賞典とは違ったレースもこなせたという意味では大きな収穫もあったレースだろう。

3着 ヴァンケドミンゴ

この馬もまた、福島との相性が良い馬であった。
道中はブラヴァスの後ろで待機。直線前ではブラヴァスの後ろをぴったりとマークしながら追い出し、最後は上位2頭を追い詰めた。
人気薄ながら上位陣に食い込む走りは、コース相性だけではない能力がある証拠だろう。

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