宝塚記念が終わり、いよいよ夏競馬に本格突入する7月初旬。
関西の夏競馬開幕を飾る重賞は毎年中京競馬場で行われているCBC賞だ。
このレースはサマースプリントシリーズに指定されている一戦で、夏のスプリント王を目指す馬や秋のスプリンターズステークスを目指す馬など、バラエティに富んだ面々が集まってくる。ハンデ戦らしく、波乱の結果になることも少なく無い。
2016年のCBC賞も、単勝一桁オッズが5頭と混戦模様となっていた。
今回はそんな2016年のCBC賞について振り返っていく。
2016年のCBC賞は前述の通り、大混戦メンバーであった。
その混戦の中で、オーシャンステークスを制し、高松宮記念でも5着に好走したエイシンブルズアイが1番人気に支持されていた。
続いてスプリント路線で安定感があったベルカント、オープン特別を勝って初重賞に挑むレッドファルクス、2014年のスプリント王スノードラゴンなどが人気に推された。
曇り空ですっきりとしない天候の中京競馬場だったが、それとは裏腹に、非常に多くのファンの方が来場して賑やかな大歓声が響いていた。
電撃戦1200mのスタート地点から、レーススタート。スタートから飛び出したベルカントが予想通りハナを切る展開に。続いてラヴァーズポイントとシンデレラボーイが2番手で並び、エイシンブルズアイも先行勢の一角として続いた。馬群はひと塊のままレースは流れ、あっという間に4コーナーから直線を向く。
直線に入っても、前の勢いは止まらない。
ベルカントが再び突き放し、さらにラヴァーズポイントも離されずに食い下がる。
熾烈な争いを繰り広げるこの2頭で決着かと思った、残り200m地点。
その瞬間、後方からとてつもない豪脚で追い込んできた馬がいた。
芦毛の馬体──レッドファルクスであった。
一気に先団まで追いつくと、ゴール前で内2頭をまとめて差しきって1着。念願の重賞制覇を果たした。
ラスト600mのレッドファルクスのタイムは32秒7。ただ1頭繰り出した32秒台の脚は、まさに名のごとく鋭い切れ味の脚だった。
レッドファルクスはこの後スプリンターズステークスを連覇するなど、短距離界を席巻。桶狭間で見せた豪脚は、しっかりとG1につながったのだ。
梅雨の終わりの、短距離戦。
今年はいったいどんなニューヒーローが誕生するのか。伝統のハンデ戦から、目が離せない。