世代を超えた一戦 - プリモシーンが制した2018年関屋記念を振り返る

春のクラシックが終わり、3歳馬たちはそれぞれ新たな道を歩み始める。さらなる飛躍を求めるもの、世代の頂点を目指し続けるもの、そして、古馬と向き合うことを決めたもの。

古馬との対戦を選んだ3歳馬達にとって、その舞台のひとつとなるのが、関屋記念である。新潟競馬場で長い歴史を重ねてきたこの一戦は、古馬たちが秋へと向けた足掛かりとして臨むレースである一方、3歳馬にとっては世代の枠を越え、自らの力を試す格好の舞台でもある。

2018年の関屋記念にも、それぞれ異なる目的を抱えた古馬たちが集った。秋へ向けた始動戦として臨む馬。サマーマイル路線で結果を求める馬。思いが交錯する中、その中でただ一頭、3歳馬としてゲートに収まったのがプリモシーンだった。

桜花賞の前哨戦であるフェアリーSを制したプリモシーンは、クラシック戦線へと駒を進めた。しかし、春の大舞台では思ったような結果を残すことができずに夏を迎えた。そんな中、陣営が選んだのは同世代との一戦ではなく、古馬との初対戦だった。

迎え撃つ古馬勢には、2年前の覇者ヤングマンパワー、サマーマイルシリーズ第2戦・中京記念3着から臨むリライアブルエース、和田竜二騎手に乗り代わり2戦連勝と好調のまま初重賞を狙うエイシンティンクルなど、それぞれ異なる立場の顔ぶれが名を連ねた。

世代の戦いを離れ、初めて古馬と相まみえるプリモシーン。その走りに注目が集まる中、15頭が、新潟競馬場の芝1600メートルに姿をそろえる。真夏の陽射しが照りつけるターフで、第53回関屋記念の幕が上がった。

ヤングマンパワーとエイシンティンクルが好スタートを切ると、持ち前のスピードを活かしたエイシンティンクルがハナを主張した。そのまま無理なく先頭へ立つと、隊列は大きな混乱もなく決まっていく。真夏の新潟らしい速い馬場を意識するように、各馬は前々の位置をうかがうが、道中では折り合いを欠いてしまう馬も見られ、それぞれが思い描いた通りには運べない難しさものぞかせていた。
スタートを上手く決めたプリモシーンは、中団のやや後方付近でじっくりと構える。初めて古馬と顔を合わせる一戦だったが、北村宏司騎手は慌ててポジションを押し上げることなく、末脚を信じて機をうかがった。

レースが3コーナーへ入っても、先頭を進むエイシンティンクルの手ごたえはなお充分。好位につけたスターオブペルシャやウインガニオンが徐々に差を詰め始めるが、隊列は大きく動かない。中団やや後方で脚を溜めていたプリモシーンも少しずつ進出の機を窺う。最後の直線へ向いた15頭を、大歓声が迎えた。約660mの長い長い直線を前に、それぞれが満を持して追い出しを開始する。

最後の直線へ向いても、先頭を行くエイシンティンクルの脚色は衰えない。後続各馬が一斉に追い出しを開始する中、逃げ馬は懸命にそのリードを守り続ける。残り400mを切ったところで後続各馬が一気に伸び脚を見せてきた。
その中から先頭へ迫ったのは、一昨年の勝馬ヤングマンパワーだった。古豪の意地か、勢いに乗るエイシンティンクルの粘りか。2頭どちらも譲らず、熾烈なたたき合いが始まるのか、そう思った時だった。
しかし、その2頭の争いを横目に、外から鋭く伸びてきた馬がいた。春の大舞台では苦戦を強いられた3歳牝馬、プリモシーンだった。

直線に入ると外へ進路を見出したプリモシーンは、北村宏司騎手の合図に応えて一気に加速する。51kgの軽斤量も味方につけるように、その脚色は最後まで衰えることなく、あっという間に先頭へ躍り出た。

しかし、勝負はまだ終わっていなかった。

最後方で脚を溜めていたワントゥワンとM.デムーロ騎手が外から猛烈な脚で迫ってくる。
新潟の長い直線、最後の最後まで続く激しい攻防。先に抜け出したプリモシーンと、追い込むワントゥワン。その差は見る間に縮まっていく。それでも、プリモシーンが先頭を譲ることはなかった。
古馬との初対戦で挑んだ一戦は、レースレコードにコンマ1秒差まで迫る激闘となった。
その勝負を制したのは、プリモシーンだった。
2着には最後方から鋭い末脚を繰り出し、古馬勢の中でも屈指の瞬発力を見せたワントゥワンが入った。3着には、レースを引っ張っり、自身の持ち味を存分に発揮した。エイシンティンクルが粘り込んだ。

春の舞台で敗れた経験を抱えながら、それでも新たな挑戦を選んだプリモシーン。その決断が間違いではなかったことを、夏の新潟で証明してみせた。

3歳牝馬による関屋記念制覇は、実に31年ぶりの快挙。古馬を相手に手にしたこの勝利は、プリモシーンにとって大きな自信となる一歩だった。
この日の新潟で繰り広げられたのは、ただ一頭の勝利だけではない。先頭で粘り続けたエイシンティンクル、最後まで迫ったワントゥワン、そして古豪として意地を見せたヤングマンパワー。それぞれが異なる思いを胸に挑んだ一戦で、最後に輝いたのがプリモシーンだった。

世代の枠を越えた挑戦。その夏の走りは、我々の胸にひと際鮮やかな印象を残した。

写真:@pfmpspsm

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