大井、船橋、川崎、そして浦和。
全部で4箇所ある『南関競馬場』のうち、最もローカル色の強い競馬場が、浦和競馬場ではないでしょうか。
浦和競馬場は1周1200m、直線は220mと、コンパクトな競馬場です。
埼玉県主催の公営浦和競馬を初めて開催した競馬場で、2018年に開場70周年を迎えました。
間近で見られる迫力満点のレース。
美味しいグルメが楽しめる屋台。
昔ながらの雰囲気残る場内。
「馬が近い、空が広い、笑顔がいっぱい」の浦和競馬場を一緒に覗いてみましょう!
まずは電車で最寄り駅まで向かいます。
JR浦和駅、もしくは南浦和駅、どちらも徒歩15分ほどで浦和競馬場へ到着します。
南浦和駅からは5分間隔で無料送迎バスが出ていますので、今回はそちらを利用することにします。
満員のバスに揺られながら、「本当に競馬場に辿り着けるのだろうか?」と思うほどの住宅街が続きます。
しかしおよそ5分ほどで、突如、空がひらけて──浦和競馬場へと、到着します。
入口付近に券売機はなく、改札に入場料の100円を直接入れるスタイル。
クーポンなどをお持ちではない方は、小銭を用意して行ったほうがよいですね。
南関東場外、中央競馬場外での開催のときは入場無料です。
中に入ってみると、すぐにアーケードが現れます。
左手には新聞売場。
ここで専門紙が購入出来ます。
そのままアーケードを進んでいくと、正面には2号スタンドが。
2019年秋に新しく完成したスタンドです。
新スタンドの入り口上部には、浦和所属の騎手、重賞優勝馬の写真が飾られています。
さて、浦和で開催されるレースと言えば、どんなレースを思い出しますか?
地方全国交流で南関東牝馬クラシック一冠目となる桜花賞。
秋の大舞台へ向けての交流重賞、テレ玉杯オーバルスプリント。
そして、浦和の二大レースとなっている、さきたま杯と浦和記念。
コースも規模も大きいとは言えないかもしれませんが、浦和競馬のレースの「熱さ」は他の競馬場に負けず劣らず。
浦和出身の名馬も多く存在しています。
キングハイセイコー、ゴールドスペンサー、ダーリンググラス、ヒカリカツオーヒ、エフテーサッチ──。
長い歴史の中で、本当に多くの競走馬たちが浦和競馬を盛り上げてきました。
他にも、1993年桜花賞、関東オークス優勝のホワイトアリーナ。
1994年NARグランプリサラブレッド系3歳最優秀馬に選出された、ヒカリルーファス。
ゴールドチェストは1994年、1995年と浦和記念を連覇。
浦和1300mのコースレコーダーであるグランプリクンは、1997年ニューイヤーカップ、埼玉新聞杯、1998年金盃などを制しています。
また、中央に移籍し、GⅠ馬となったトロットサンダーも浦和所属として9戦8勝という戦績を残しています。
また、競走馬たちとともに浦和競馬を支えてきた、浦和所属の騎手たちからも目が離せません。
浦和競馬をリードし続け、騎手会長も務めている、繁田健一騎手。
ピンクの勝負服がトレードマーク、「ミスターピンク」で知られる内田利雄騎手。
そして南関競馬に8年4ヶ月ぶりに誕生した女性騎手、中島良美騎手も浦和の所属です。
多くの競走馬、騎手、そして関係者の皆さまの力によって、浦和競馬は今日まで続いてきたのです。
さて、浦和競馬への思いを巡らせたところで、新スタンドにいざ潜入してみましょう。
1階は無料観覧席。
浦和ファンから愛される「里美食堂」が入っていて、食事をするスペースもあります。「黄色いカレー」でお馴染みの名店で、一度は食べて損がない、心温まる懐かしさを味わえます。
2階以上は特別観覧席(有料)となっています。
新スタンドの隣、ゴール側の坂道は広めの階段状となっていて、そこからレース観戦することも可能です。
ここに立って観戦することで、今までよりも多くの人が一緒に楽しめるイメージがわいてきます。
コース側から新スタンドを見ると、こんな感じです。
今までなかったウイナーズサークルも完成していました。
これにより、観客が移動することなく、表彰式やイベントを行うことが可能となります。
浦和競馬の魅力は、もちろん新スタンドだけではありません。
昔ながらの雰囲気漂う、売店のある風景も忘れてはなりません。
ファン歴の長さにかかわらず「ここの広場の雰囲気が大好き」という声を、よく耳にします。
平成を飛び越えて、まるで昭和にタイムスリップしてしまったかのような錯覚に陥ることができる、貴重な場所です。
そうした錯覚がまた、非日常なのにどこか落ち着く──そんな心地よい空間を創り出しているのでしょう。
他にも、雨が降ってもへっちゃらな屋根つきのパドック、開催ごとに埼玉各地から出店するグルメなど、浦和競馬場には見どころがたくさんあります。
今回お伝えしきれなかった浦和競馬場の魅力は、ぜひ足を運んでいただいて、皆さんのその体で──そして心で、感じてみて欲しいと思います。
また、浦和競馬開催日以外、場外開催の浦和競馬場のあの独特の雰囲気も、病みつきになりますので、中央開催の「ウインズ浦和」としての浦和競馬場も非常におすすめです。
まだ見つかっていない魅力も、きっとたくさん眠っているはず……そんな気分にさせてくれる場所。
都心からほど近い浦和競馬場に、ぜひ遊びに行ってみてはいかがでしょうか?
写真:笠原小百合